本研究の目的は, フイルム巻きパイプ集合体を力学的支持材として利用する可能性を, パイプの構成方法の差異による力学的効果から検討することである。具体的には, 12種類の構成パイプを製作し, 圧縮強度の測定から力学的特性を検討した結果, 以下のことが明らかとなった。1)基本外枠パイプの内容にパイプを配置することは, 破壊までの荷重値の大幅な増大と, 破壊に至るまでの変位量を増大させる効果がある。2)断面積の増加, 即ち, フイルム使用量の増加によって, 最大荷量と最大応力が増加する。3)材料量がほぼ同じであっても, 構成方法を工夫することによって最大荷重, 最大応力を高めることが可能である。以上から, 本研究の範囲内では, フイルムの巻数と断面積が一定であれば, 小径のパイプを外周に多数配置することが好ましく, 加えてパイプ集合体は比較的低強度ながら, 一般的な力学的支持材として利用できることがわかった。
抄録全体を表示