デザイナーの創造作業というものは,コンセプトに対して,それを最もよく具現化するカタチを採ることであり,これは昨今話題となっている"逆問題"を解くことにあたる。この"逆問題"を解く研究は,デザインの分野でもいくつか行われてきた。しかし,その推論にはファジィ逆推論や遺伝的アルゴリズムを用いていたため,最適解はその解のとり得る範囲や最適解を得ても一つもしくは数個であり,その解が全てなのか,もっとよい解が存在するのではという疑問が残っていた。そこで,本研究ではニューラルネットワークの一種の恒等写像モデルを利用して,教師信号の情報を三次元かつ有界に圧縮して,その圧縮された解空間を視覚化し,最適解の探索を可能とした逆推論システムを開発した。さらに,その逆推論システムを利用してシミュレーションを行った。その結果,本システムにより多様解の探索が可能なこと,加えて,恒等写像モデルによる情報の圧縮の特徴などが確認された。
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