デザイン学研究
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41 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 林 東龍, 材野 博司
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    近年ストリート・ファニチャー等,外部空間やパブリックスペースに置かれる都市装置が多く設置されるようになってきた。必ずしも人間の行動とスムーズに対応しているとは言い難いものも多い。それは,一方では装置そのものが,外部空間等における人間の動きに対応した利用に向いていない面があるとともに,他方では,装置とそれをとりまく空間との対応に欠けている面の両面がみられるがためである。そこで,本研究では,外部空間(又は,パブリックスペース)において,都市装置が人間行動とどのように対応しているかを調べることにより,外部空間(またはパブリックスペース)における都市装置と人間の行動との対応関係への展望を探り,次のことを明らかにした。空間が異なれば,それぞれに置かれている装置の利用状況が異なること。また,人間の利用目的によって,装置群により様々な場が形成されること。さらに,パブリックスペースにおける行動頻度の高い座行動から視野景観の特長が抽出できること。
  • 渡辺 誠
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 2 号 p. 9-18
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本論は,腕時計文字板のデザインを支援するシステムの構築に関するものである。文字板デザインは,アワーマーカーを決定する思考過程が主体となる。そしてこの思考過程は,イメージ分担型思考過程であると言える。本論では,腕時計ケースの支援システムと同じく,造形イメージとアワーマーカーの知識にファジィ理論を応用したシステムの構築を行った。また,形の交互作用については,エントロピー関数を導入しシステムでの対応を可能とした。実システムは,34種類のカテゴリー・27通りのコンビネーションパターンを対象に構築した。この構築したシステムの妥当性は,実製品と推論結果の比較により,その一致度が高いことより明らかにした。今まで文字板のデザインは,デザイナーの嗜好によりカテゴリーを決定してしまいがちであった。本システムはカテゴリーやコンビネーションパターンを網羅的にとらえることができ,デザイナーからは有効なシステムであると評価を得ることが出来た。
  • 山口 眞理, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 2 号 p. 19-28
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    近年,「デザインによる地域振興」を地域行政の第一目標に掲げ,種々の計画・実践を展開している自治体も少なくない。本稿では,全国都道府県・政令指定都市へのアンケート調査に基づき,各自治体のデザイン行政の実態を明らかにするとともに,主成分分析により,各自治体におけるデザイン振興行政の類型化を試みた。その結果,以下の点が明らかになった。(1)デザイン行政は,産業振興を中心とした施策から生活者や生活環境の充実にむけた振興施策へ広がりを見せているが,依然として産業振興が各自治体において重視されている。(2)デザインを専門とする者を行政職として位置づける体制が整えられていないなどの理由から,総じて,自治体におけるデザイン行政は必ずしも充全であるといえない。(3)各地でデザインセンターなどのデザイン振興拠点が設置されつつあるが,ハード整備が優先され,肝心なソフト整備が立ち遅れつつある傾向にある。(4)デザイン業の集中度が高い都市圏に比べ,相対的に,集中度の乏しい地方都市においてはデザイン振興行政の積極的な取り組みがみられる。
  • 久保 光徳, 小林 正信, 青木 弘行, 宮崎 清, 鈴木 邁
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    歴史的所産の代表格とされる漆椀には,多くの優れた特性が秘められている。本研究は,これらのなかでも特に重要とされる熱伝導現象に着目し,形状と材質の両観点からその秘密を解き明かすことを試みた。形状に関しては,椀が有する温度変化を目的変数,形状を説明変数として重回帰分析法により,材質に由来する熱伝導特性に関しては,熱伝導有限要素解析法を用いて検討した。その結果,(1)湯温の低下は薄手な椀の方が少なく,椀温度(胴温)の上昇が大きくなる。これとは逆に,厚手な椀は湯温の低下が大きくなる反面,胴温の上昇は少ない(物理的保温性)。(2)人の温度感覚を反映した感覚的保温性の観点から検討すると,物理的保温性とは逆に,厚手な椀の方が保温性が高いと体感されていることが明らかとなった。得られた結果を総合すると,厚手な椀は中味がさめにくいとされる一般認識や椀の使用法に関する伝承は,相反する物理的保温性と感覚的保温性を,科学的視点に立脚した高い次元で融合させていると判断できる。
  • 近藤 朗, 清水 忠男
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 2 号 p. 37-46
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    オフィスにおける作業の焦点は,単純情報処理から創造的問題解決に移りつつある。本小論では,「情報環境」という視点からオフィス環境を捉えなおし,グループによる創造的問題解決であるコラボレーションの「場」に関する研究の方向性を求めることを目的とする。そのため,オフィスの情報環境の現状を,それを構成するツールを中心に,業務の異なる部署別にアンケートおよびインタビュー手法で調査した。その結果,創造的問題解決の初期段階では各業務同様なツールを使用し業務が具体性を帯びるに従い業務特性にあったツールを使用している事が明らかになった。コラボレーションの「場」におけるツールに求められる機能としては,1)情報の共有化および展開を支援する機能,2)遠隔地の人々とも円滑に協調作業ができる情報伝達機能が求められていることが考察される。
  • 久保 光徳, 青木 弘行, 卯都木 克有, 鈴木 邁, 吉田 旺弘
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 1994/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    代表的な生物学的形状の一つである骨形状について,力学的な観点からの形状解釈を試みた。形状解釈対象の骨として,豚の上腕骨を使用し,その骨が外界から受ける最も支配的な荷重である圧縮荷重に対する力学的挙動を,圧縮破壊実験および有限要素モデルによるシミュレーションによって解析した。これらの検討の結果,骨は,最小重量を維持しつつも任意の圧縮荷重に効率よく対抗することができる構造物であることが明らかとなった。また,この形状は,圧縮および引張を受ける部分を一定に維持することで無駄のない材料配置を可能にするS字形状,および圧縮荷重を曲げ力とねじれ力に分力して,骨全体で均等に荷重を受けることを可能にする骨軸方向のらせん形状の二形状によって特徴づけられることが明らかとなった。以上の結果より,局所的な検討や二次元的な解析では得ることのできない新しい骨形状の力学的解釈を提案することができた。
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