デザイン学研究
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52 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 玉垣 庸一
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    分光反射率を入出力とする平行投影作用素を、センサ、ジェネレータ、および色データ変換逆行列の連結によって表現した。照明光の分光組成を含むようなセンサの導入により、色データ変換逆行列は照明光の色味を打ち消す役目を果たすようになった。さらに、色順応の度合い(色順応率)をべきとするようなパワー関数を照明光の分光組成に組み込み、不完全色順応変換を表せるようにした。こうして、従来のvon Kriesタイプ色順応変換式の延長線上に、センサと色データ変換逆行列を連結した新たな不完全色順応変換式を得た。この変換式を用いて、明度5のマンセル色票に対するA光照明下での対応色を算出した。A光照明下での色順応率を調整することによりvon Kriesの変換式を用いた従来の報告例に見られる等クロマ曲線の黄緑一紫方向の"つぶれ"をうまく再現することができた。
  • 大森 峰輝
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 2 号 p. 9-14
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、University Avenue Strategic Plan(UASP)に着目し、その立案プロセスについて調査した。加えて、政策・戦略を整理し、以下の都市デザインに関する考え方と特徴を抽出した。1) UASPは、住民らが主体となって、地区の課題を共有し、将来像を描き、具体的な政策・戦略を立案したものである。つまり、幅広い合意・協議を通して立案された計画である。2) 地区の特性を維持しながら居住地区としての魅力を向上させ、有効利用されていない既存建築物の改修・改築により居住者増を図ることが重点課題であると位置付けているところに特徴がある。3) その内容は、現行ゾーニング規制の改定、建築制限等の提案にまで踏み込んだものである。また、建築物等に関するデザイン・ガイドラインも示され、魅力的な地区を中長期的に形成していこうとしている。
  • 澤島 秀成, 畠中 順子, 杉山 陽二, 石本 明生, 岡田 明, 山岡 俊樹
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 2 号 p. 15-22
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    高齢者向け在宅配食サービスにおいては, 一般に食事の保温や保護を目的に, 配食用保温容器(以下, 配食保温容器)が用いられる。本研究では, 配食保温容器に使用する食器の平面形状, 大きさ, 盛り付けおよび食器の配置等について, 高齢者および若年者による主観評価をもとに様々な検討を行った。その結果, 食器の平面形状・大きさについては, 食品毎にそれぞれ一定のものが選択される傾向が見られたが, 高齢者・若年者間および男女間において特に有意な差は見られなかった。また, 盛り付けに関しては, 高齢者において, 1つの食品を1つの食器に盛り付ける傾向があることが分かった。さらに, 食器および食品の配置については, 高齢者・若年者間に有意差の見られるものもあったが, 男女間における有意差の方が大きく, 女性が一定の場所に決まった食品を配置する傾向があるのに対し, 男性はその配置が分散する傾向があることが分かった。これらの主観評価結果から, 配食保温容器における食器および食品の配置について提案した。
  • 李 錫賢, 山本 早里, 三村 翰弘
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 2 号 p. 23-30
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本論は、環境色彩と風土は密接な関係があるという考えに基づいた、韓国の伝統的な村落を対象にした調査研究である。地域情報調査や文献調査を通して環境色彩と地域環境との関連性を明らかにした上、伝統的な村落における風土的環境色彩のデータを獲得し、望ましい都市環境色彩について検討することを目的とし、事例として韓国の代表的な5つの伝統村落に対する2回の現地測色調査、写真撮影、サンプル収集を行った。そして各村落間の風土性に基づいた色彩に対して比較分析を行うことで環境色彩の風土性を明らかにする一方で、韓国の伝統的な村落景観が持つ風土的環境色彩の傾向を把握した。その結果、各調査対象地が持つ素材の特徴、地域風土との関係が把握でき、また高明度、低彩度の色相YR系を中心とした韓国の風土的環境色彩の具体的な色彩データや色彩傾向が把握できた。さらに各村落間の色彩比較を通じて各村落が地域の風土に合わせた色彩傾向を持っていることを明らかにした。
  • 松波 晴人, 山岡 俊樹
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 2 号 p. 31-40
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    ISO13407の制定によりユーザ中心の視点での機器開発や、ユーザリクアイアメント(ユーザニーズを設計要件としたもの)を捉えてユーザ価値の高い機器を提案することが求められている。一般的な家庭用機器であるガスコンロを調査対象として、アンケートによる記述法と定義法、参加者に討議してもらうグループインタビュー、さらには調理行動を行っている現場を観察した上でユーザにヒアリングを行う行動観察と、4種類のユーザリクアイアメント抽出手法を実施し、得られた結果から各手法の評価を行った。その結果、記述法では具体性の高いリクアイアメントが数多く得られ、定義法では具体性レベルが幅広くユーザ価値の高いリクアイアメントが単独でも得られ、グループインタビューでは使用文脈も含む具体性の高いリクアイアメントが得られた。行動観察では他の3手法では得られないリクアイアメントがさらに得られ、ユーザが言語化するに至っていない潜在的なリクアイアメントを抽出する手法として有効であることが示唆された。
  • 徐 希姃
    原稿種別: 本文
    2005 年 52 巻 2 号 p. 41-50
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    20世紀美術は、科学技術の進歩を背景として技術を造形表現に積極的に導入しなから繰り広げられた。モホイ=ナジもモーター、金属部品、写真、光学機器などを自ら造形表現に導入して先駆的な活動を展開し、テクノロジー・アートの先駆者として認められている。本研究では、モホイ=ナジの造形理念の中心を占める「光の造形」概念を彼の作品と理論書から探り、モホイ=ナジによってなされた「光の造形」の視覚的意味を探ることを目的とする。そこで、彼の「光の造形」概念の形成過程を踏まえて、「光の造形」概念の中心を占める"Optical"という意味をVisualという言葉との比較によって検討し、"Optical"概念から検討した「光の造形」の視覚的意味を探った。モホイ=ナジの「光の造形」は、1922年にベルリンに亡命し、ドイツの工業化された環境の影響を受けて形成されたもので、物に光が当たることによって物の表面が明るく見える現象を造形に取り入れることから始まった。彼は眼が光を媒介として物を見るという視覚に関る生理的な仕組みを意味する"Optical"という概念に基づき、光そのものやそれによる視覚の生理的な反応を用いた表現を「光の造形」概念としている。彼の「光の造形」概念は、工業的な環境を背景にして用いられ始めた光という新しい材料とその表現について考える上で良い手がかりになると思われる。
  • Naoto SUZUKI
    原稿種別: Article
    2005 年 52 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 2005/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    The Paper firstly states the main development objectives for promoting artisan crafts for regional development : Reduction of poverty, Traditional cultural heritage, and Improvement of the country's trade balance. It then defines traditional crafts and innovative handicrafts as the targeted artisan crafts for achieving these objectives. Identification and analysis of the problems follows, focusing on those hindering the sound accomplishment at Policy, Institution, and Producers' Levels. They are, among others, lack of coherent policy and measures, and decisive government intervention for human resource development (HRD), lack of support facilities, lack of recognition on traditional values and future potential, low craft quality, lack of cooperation among producers, low managerial and design capability. It puts forward recommendations in the end to overcome the identified problems to the promotion of artisan crafts. These are : Formulation of clear policy and future visions, Strengthening institution-building, Market development, Applying traditional values as a driving force for regional development.
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