デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
41 巻, 5 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 原田 利宣, 森 典彦, 杉山 和雄
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 5 号 p. 1-8
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,ヒトの平面や立体に対する認知に基づいた「認知幾何」という既成の幾何とは異なった概念およびその幾何学としての可能性を提案し,「認知幾何」と既成の幾何との比較を行った。その結果,いくつかの相違の例から,「認知幾何」が既成の幾何から多少ずれたところに存立する可能性があることが推測された。次に,「認知幾何」の公理を定義するとともに,一面体と六面体の間に,ヒトの認知として違った面構造を持ったジオン(geon)が何種類あるのかについて算出し,その面構造を分析する。さらに,その面構造の違いが,どのようにそのジオンの認知およびジオン間の類似性に関係するのかについてアンケート調査を行い,MDAを用いて分析した。また,MDAによる結果とゲシュタルト理論から考えられる結果の比較考察を行った。その結果,ゲシュタルト理論により,各種のジオンは,球系,立方体系,円筒系,および鞍形系の4タイプに分類され,この分類方法が立体図形認知に影響していることが推測された。
  • 近藤 朗, 清水 忠男, 勝浦 哲夫
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 5 号 p. 9-18
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    コラボレーションの「場」で使用するための様々なツールが開発されているが,それらツールはコラボレーション参加者になんらかの影響を与えると考えられる。本小論では,実験的に設定したコラボレーションの「場」において,人々が受ける影響を定量的に評価することを目的とした。評価の指標としては,心理生理学的指標,評定尺度法に基づく主観指標,創造科学の分野で用いられている創造性テストの指標により分析を進めた。分析は以下に示す4つの視点で行った。(1)ツールが精神活動に与える影響 (2)ツールが情報処理に及ぼす影響 (3)ツールが感性面に与える影響 (4)ツールが発散思考に与える影響 その結果,ツールはその特性,特に操作性,コミュニケーション環境などに応じて,参加者に影響を与えていることが明らかになった。また,評価手法の妥当性に関しては,心理生理学的指標で顕著な差が見られなかったが,その他三つの手法については,相互に対応する結果がみられ,評価手法として妥当性が得られた。
  • 松岡 由幸
    原稿種別: 本文
    1995 年 41 巻 5 号 p. 19-28
    発行日: 1995/01/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    自動車開発におけるサイマルティーニアス・プロセスの導入(サイマル化)は,的確な設計解を短期間に求め,開発期間の短縮などを実現する方策として検討が進められている。しかしながら,現在では,開発における上流・下流工程間での単にタイムリィーな情報共有化だけではサイマル化の推進が難しく,そのボトルネック要素の設計方法の改善が必要となっている。本稿では,自動車開発のサイマル化を取り巻く課題と戦略的視点を述べ,事例として開発期間短縮のボトルネック要素であるテールランプ設計方法の改善とそのサイマル化を検討した。テールランプ設計方法の改善では,従来感覚設計であった外観設計を多変量解析,コンジョイント分析,ニューラルネットワークを用いて,定量予測の可能なものとした。サイマル化では,その外観設計と従属関係の強い機能設計(配光設計)との共存解を求める方法として,階層構造グラフを用いるプロセス化を試みた。本結果は,ランプのサイマル設計方法を提案すると共に,今回の方法がサイマル化に有効であることを示した。
feedback
Top