デザイン学研究
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41 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 原田 利宣, 森 典彦, 杉山 和雄
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 4 号 p. 1-8
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、はじめに、曲線の"性質"が、どのようにその印象に関与するのかについて、いくつかの事例に基づいて考察を行った。その結果、曲線の"性質"と印象との間に、何らかの関連があるのではという仮説があげられた。次に、曲線の"性質"を任意に特定して、その"性質"から曲線を求めるアルゴリズムを開発すると共に、曲線の"性質"を制御して実際にいくつかの曲線の創成を行い、曲線の印象がその"性質"によってどのように異なるのかについて考察を行った。これにより、曲線の"性質"の違いが、その印象にかなり関与していることが確認されると共に、曲線の"性質"を制御して、様々な印象の異なる曲線を得られるようになった。さらに、このアルゴリズムにより、一般的な数学的曲線式(例えば、放物線Y=aX^2など)にはない"性質"の曲線が創成可能となり、自動車のキーラインのデザインやカーブ定規設計などへの応用が考えられた。
  • 李 震鎬, 宮崎 紀郎, 村越 愛策
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 4 号 p. 9-16
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    視認性に及ぼす走行環境の影響を調べる目的で,現在使用されている道路案内標識をとりあげ,文字を中心にそれらをどのように認知しているのかを明らかにしたものである。内容は実験I.として視認性に及ぼす走行速度の影響を調べるために,走行速度を30,50,70km/hの3種類に設定し,同一地名に対する検索時間などで視認性を調べた。実験II.としては視認性に及ぼす情報量の影響を調べるために,九つの異なる情報を設定して視認性を調べた。その結果,I.走行速度は50km/h,30km/h,70km/hの順に視認性に対して優劣関係にあることが明かとなった。II.情報量から見た場合の視認性は,文字の複雑さの要因が大きくて,画数の少ない,簡単なものから読み始める傾向が顕著である。また,視認したという判断については,漢字のみの構成ならば画数にしたがっているが,カナや数字が入ってくると,それらが視認されてから他の文字をはっきり視認しなくても推測が働き,漢字単独の状態よりも早い段階でその情報を認知していることを確認した。
  • 両角 清隆, 渡辺 誠, 杉山 和雄, 高梨 令
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 4 号 p. 17-26
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    ユーザーインタフェースデザインのあり方を,機器への最初の取り付きのわかりやすさを中心に分析した。6人の被検者に2種類のビデオテープデッキ(VTD)を操作してもらい,機器との相互作用をどのように行うか,どのような問題が発生しその原因となる機器の要素は何かを考察した。その結果,次に示す5つの障害要素がわかった:1)ユーザーズモデルが当てはまらない,2)ユーザーズモデルを修正しにくい(分節化の難しさ等),3)操作の手順が見えない,4)操作の入り口が見つけられない,5)操作子間の関係情報不足。目的達成のため機器と相互作用を持つとき,モデルがないと速やかに操作を進めることができないといわれているが,ユーザーズモデルの生成。修正を阻害する機器の要素を抽出できたと考える。特にバッチ型処理は,処理した結果をすぐに確認できない,同時に複数の処理をした場合,問題が発生したとき障害の原因を特定しにくいといった問題があり,その結果,ユーザーズモデルを修正できないという問題の発生原因をシステム的に内在している。
  • 両角 清隆, 渡辺 誠, 杉山 和雄, 八馬 智
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 4 号 p. 27-36
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本論は、バッチ処理型機器の操作におけるユーザーの学習のしやすさに関して研究したものである。操作における障害と学習の効果を明らかにするために、バッチ処理型機器の代表であるビデオテープデッキ(VTD)を用いて、時間をあけて(2週間)同じ内容の実験を行った。実験の結果から、繰り返し操作することで障害が克服されるかされないかをグルーピングし、されない場合の要因を考察した。さらに、初期操作において発生した障害要素16項目(前報)と今回新たに抽出した5項目の計21項目により、学習しやすさの観点より階層構造を作成した。その結果、学習が可能な要素は「操作子(空間系)」に関する障害であり、操作を繰り返しても学習が難しい要素は「操作の流れ(時間計)」に関するものであることがわかった。「操作の流れ」に関する要素の下位階層には、「フィードバック(操作の反応を与える)」や「操作の自動化(自動化されるべき操作とそうでない操作を十分に分類する)」が存在する。従ってこれらが、学習しにくさを克服するための効果的な要素であるといえる。
  • 松岡 由幸
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 4 号 p. 37-44
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    自動車開発においてシートの定量的設計方法の構築は,確実な商品力確保,開発の期間短縮などの今日的課題からしても重要課題の一つとなっている。本稿では,まず,企業でのシート開発に携わる専門家と一般ユーザの評価構造の差異を官能評価実験結果から明らかにすることで開発側の仮説設定,即ち市場評価予測の一助とすることを試みた。次に座り心地評価とシートの体圧分布,たわみ・振動特性など物理特性との対応関係について相関分析,重回帰分析を用いた解析し,座り心地代用特性としての選定検討を行った。その結果,専門家,一般ユーザの評価構造は共にフィット感の寄与が大であるものの,専門家が腰椎支持,一般ユーザが柔らかさをより重視している点で差異が認められた。また,座り心地の代用特性として,体圧分布上の腰椎支持割合等4物性,たわみ・振動特性上の静ばね定数とヒステリシスロス率の合成値等3物性等,合計8物性値が選定され,今後の定量的設計方法への活用可能な設計因子として示した。
  • 久保 光徳, 須田 高史, 青木 弘行, 鈴木 邁, 松岡 由幸
    原稿種別: 本文
    1994 年 41 巻 4 号 p. 45-52
    発行日: 1994/11/20
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    車椅子による移動が主な行動手段である歩行障害者の,日常生活における行動自由度の向上を目標として,材料力学的観点から,新機能を有した歩行補助具の提案を試みた。現在普及している高剛性材料を用いた歩行補助具では困難である,歩行時の姿勢保持機能と着座時の姿勢変化機能といった相反する両機能を同時に保有することができる歩行補助具モデルを,低剛性材料の弾性座屈挙動を友効に利用することによって製作した。このモデルの実現可能性を,下肢部とそれに装着する補助具の両方をモデル化した圧縮座屈試験モデルを用いて,実験的に検証した。実験結果より,歩行補助具として適切な弾性座屈挙動を示す補助具モデルは,体重や歩行時の衝撃力によって下肢部にかかる圧縮荷重の主方向のみに複数のロッド(弾性棒)を配した,ロッド補強型モデルであることが明らかとなった。さらに,実際の使用における本モデルの問題点を考察し,その実現に必要な改善項目を抽出した。
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