デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
53 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 李 俐慧, 佐藤 公信, 原 寛道, 清水 忠男
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 1-10
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    台湾・高雄市の都市観光を手がかりとしたまちづくりにおける歩行者空間の使われ方、および利用者の要望と評価について調査を行った。その結果、都市観光という概念を導入して、既存の歩行者空間に空間演出を施し、新しい都市印象を作り出すことは利用者に肯定的に受けとめられていた。ー方、歩行者空間における行為の支援や、魅力づくり、永久性/持続性/調和性、多様性、管理、交流などに関する問題点も少なからず指摘されていた。これらから、観光活動と連携するソフト面の充実の必要性や、現場での利用者の行動や意識の把握に基づいた計画やデザインの重要性が示唆された。
  • 東 恒人, 島田 恭宏, 高橋 武志, 佐々木 武
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 11-20
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本手法で取り扱うメッシュは、2種類の曲線で構成されている.一つは横断面の形を表す曲線であり,もう一つは上記の曲線の配置関係を表した曲線である.これらの曲線は等しい長さの線分から構成されており,各曲線の形状は隣接した線分の間の角度の分布に依存する.本論文では、このような構造のメッシュについて、その形状的な特徴を定量的に分析するために,かつ,角張った形状のメッシュを生成するために,以下のような方法が提案されている.この方法では、二種類の曲線のうちの一方の種類の曲線の角度配布に対して、ウォルシュ変換対が適用され、他方の種類の曲線の角度配布に対して、フーリエ変換対が適用され、変換成分の一部を削除することにより、二種類の曲線のうち、一方の種類の曲線の形状の滑らかさの程度と他方の種類の曲線の形状の角張りの程度が強調されたメッシュが生成されている.
  • 伊藤 恵士, 桐谷 佳恵, 小原 康裕, 玉垣 庸一, 宮崎 紀郎
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 21-26
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    商品購入時のパッケージデザインの重要性をふまえ、日本酒のパッケージデザインのあり方を考察するため、まず本研究では、日本酒ラベルの現状を探った。日本酒ラベルのデザイナーのインタビューからは、1)デザイナーと蔵元との間のイメージの不一致、2)吟醸酒などのクラスを意識したデザインがされていない、3)蔵元の保守的傾向、が問題点として上がった。そして、現行の日本酒ラベル689点に加え、20年前の日本酒ラベル245点、瓶などの形状が日本酒に似た焼酎と泡盛から、それぞれ207点、113点のラベルを収集し、デザインを分析した。その結果、クラス別に差別化が行われているとは言いがたいが、多少の傾向の違いはみられた。数量化理論剛類の結果から、現行ラベルは「単純一複雑」、「調和一独立」の観点から記述できる事がわかった。そして、過去のデザインの特徴と合わせて考えると、複雑で独立的なデザインから、調和あるいは単純な方向への2つのデザイン潮流も見いだされた。
  • 桐谷 佳恵, 田中 美遠, 小原 康裕, 玉垣 庸一, 宮崎 紀郎
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 27-34
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、ストライプを模様として見た時とその柄のスカート着用時の印象の差、さらにはストライプ構成要素が印象に及ぼす影響を明らかにすることである。まずはファッション誌に掲載されているストライプ柄の衣服を185点抽出してデザイン傾向を分析し、16サンプルを得た。次に、模様のみとスカート着用写真の刺激をそれぞれ用意し、20代の男女を対象とし、印象評価を行った。その結果、厳粛さ、斬新さ、軽快さの3つの観点からストライプの印象が記述できた。厳粛さは、柄とスカート着用の印象差が少ないが、斬新さと軽快さには違いのあるパターンもあった。さらに、厳粛さはストライプの様々な要素が相互作用的に働き合って印象を決めていた。幅の狭いストライプは模様としては斬新だが、スカート着用時には太い方が斬新に見え、色数も影響した。模様としての軽快さは様々な要素が影響したが、スカート着用時の軽快さの印象は色のみで決まっていた。
  • 李 知恩, 長谷川 雅也, 長 幾朗
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 35-44
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本研究では、知識社会とも称される今日において、デジタル・メディアにおけるデザインの役割について「情報」と「知識」をキーワードとして解明を試みた。デジタル・メディアにおける情報流通は膨大な量に及び、質および美的側面等のみの管理や評価は困難に等しい。このような状況において、デザインは従来の表現の経験則に加え、文字や言語表現に留まらない、五感を駆使した空間、時間、音響や映像等の、多様なメディアとしての創造へと進化し続けている。デジタル・メディアにおける情報とは、複製や加工が容易で、かつ不特定多数への配布やアクセスも可能である。これらは情報収集の利便性をもたらすと共に、情報そのものの価値を減衰させてもおり、知識社会としての概念や、「知識」の重要性の認識はここから生まれたとも言えよう。本研究では、日進月歩の様相を呈するデジタル・メディアの現状について考察を進め、知識社会における知識とは、自体に価値を有するものではなく、経験に基づいた新たな価値を創出を可能とするものを指すと定義した。また、デジタル・メディアにおいては、情報消費者とも呼ばれるユーザは無限とも思われる情報を常に取捨選択しており、これらに選択されるに相応しい価値の創出に参加する事が、デザイナーに求められている役割だとも言えよう。
  • Antoine ABI AAD
    原稿種別: Article
    2007 年 53 巻 6 号 p. 45-54
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    This paper is divided into six sections: Fact-Idea-Problem-Solution-Application-Effect. There is a Fact that most Lebanese mix two or three languages in their daily life: Arabic, French and English. This fact became a characteristic of the Lebanese culture. To this verbal cultural situation, I created a visual, the Idea, the purpose of my study. It shows the spoken mixture of languages visually: writing Arabic with Arabic letters and writing English and French with Latin letters. The Arabic letters are written from right to left while Latin script is written from left to right, thus, when combined, there are problems of readability. One problem is the direction of reading: when combined, should the reader start with Arabic or with Latin script? The second problem is the omission of a script: some readers judge it enough to read one language and drop the other. The Solution is the connection of letters: it forces the reader to read both scripts and imposes a direction of reading. The fifth part is the Application of these connections in a useful context. The Effect is the last part, the conclusion. It shows some effects and the potential these connections have on communication.
  • 金 明蘭, 樋口 孝之, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 55-64
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    フットスケープデザインは、まだ概念が明確に確立されていない。本稿では、フットスケープデザインの意義、役割、手法について整理と検討を行い、地域的、親環境的なフットスケープデザイン開発のために必要な枠組みの構築を試みた。その結果、(1)歩道舗装における技術面のみでなく、歩行者の感性に訴求する歩道舗装環境を構築することの重要性、(2)フットスケープデザインの整備が地域景観への創出に果す役割、(3)歩行者空間の類型に適応するようにフットスケープデザインの展開が要求されること、(4)歩行者空間の目的別に適切とされるフットスケープデザインの方向性、(5)今後の歩道舗装に求められる技術的・機能的課題、(6)フットスケープデザインの造形について基本要素の抽出とその技法、上記の観点を導出するとともに、デザイン開発のための要件を指針として提示した。総じて、歩行者に適応し、地域的景観形成に寄与し、親環境の配慮がなされた舗道舗装の具現に向けたフットスケープデザインの枠組みを導出した。
  • 李 煕周, 植田 憲, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    2007 年 53 巻 6 号 p. 65-74
    発行日: 2007/03/31
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    本稿は、近代における韓国最初の裁縫専門書といわれる金淑堂著『朝鮮裁縫全書』(1925年)の記述を通して伝統的な「針仕事:バヌジル」の様相を明らかにするとともに、その著に触発されて「針仕事」を生涯の仕事として行ってきた楊甲兆氏への聞書き等に基づいて、韓国女性にとっての「針仕事」の意義を考察したものである。「針仕事」は韓国女性が習得しなければならない大切な徳目とされ、韓国の女性たちは、子どものころから母親や姉妹のなす「針仕事」に触れながら、技術の習得を行ってきた。彼女らは、家族が着用する在宅着や外出着、表着や下着のすべてを、手づくりしてきた。それらには、季節の巡りに対応した材料選択と形状構成がなされていた。加えて、女性たちは、決して端切れさえも無駄にしなかった。一針一針に心を込めて縫い合わされたチョガッポには、自ずと、女性たちの感性が美しく表現されている。男尊女卑の厳格な儒教倫理が生活の隅々にまで貫徹されていた時代のなかで、その生涯を「針」とともに生き抜いてきた女性たちは、「針仕事」を通して自己のアイデンティティを表出し続けてきた。『朝鮮裁縫全書』にはそのような韓国女性の「針仕事」の文化が反映している。
feedback
Top