繊維学会誌
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40 巻, 9 号
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  • 力学物性,分子配向におよぼす延伸倍率の影響
    高広 政彦, 奥居 徳昌, 酒井 哲也
    1984 年 40 巻 9 号 p. T311-T316
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    振動応力下,結晶分散温度域でゾーン延伸法により,超廷伸ポリエチレン繊維を作製した。得られた繊維は透明で均一であった。ヤング率の逆数と延伸倍率の2乗の逆数との間には良い直線関係があった。さらに複屈折率も延伸倍率の2乗の逆数と直線関係を示した。非晶相中のタイ分子鎖の配向はヤング率の増加と密接な関係がある。このタイ分子鎖の配向度も延伸倍率の2乗の逆数に比例した。延伸過程中におけるこのようなタイ分子鎖の配向特性は,タイ分子が延伸方向にのみ変形可能であることを示している。
  • 上平 初穂, 山内 愛造, 長沢 順一, 一條 久夫, 末廣 哲朗, 南村 国宏
    1984 年 40 巻 9 号 p. T317-T321
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    二種の光架橋ポリビニルアルコール,トリメチルアニリニウムイオンを導入したものおよびしないもの,のフィルム中にインベルターゼを固定化した。固定化状態のインベルターゼの熱安定性を水溶液中のそれと比較するために熱測定をおこなった。熱測定結果は,水溶液中では天然状態のインベルターゼはオリゴマーを形成している事をTしている。水溶液中の変性温度pH依存性があり, pHが等電点に近い程高いが,フィルム中でも同様に変性温度はフィルムを浸すのに用いた緩衝溶液のpHに強く依存した.固定化によって熱変性温度は上昇し,変性のエンタルピー変化は減少した。固定化による変性温度の上昇の主な原因は,ポリビニルアルコールのネットワーク中にインベルターゼが高濃度で固定化されたことによると考えられる。
  • 石井 穆
    1984 年 40 巻 9 号 p. T322-T326
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    蛋白質分解酵素により,シノン繊維にミクロボイドが導入されることを前報で報告した。本報では,このミクロボイド導入によるシノン繊維の熱伝導度の変化を検討した。処理シノン織物を何枚も重ねた圧縮集合体の熱伝導度は,繊維固体物質,繊維間の空気,繊維内のミクロボイドに保持される空気の3つの熱伝導からなっている。この中で,繊維中の空隙が酵素処理に起因する固有の性質であるので,保温性に有効な熱伝導度を、繊維中のミクロボイドに保持される空気と固体部分の両者で評価した。かくして,このミクロボイド導入により,シノン繊維の有効熱伝導度(0.227kcal/m/h/deg)は,ウールのそれ(0.19kcal/m/h/deg)のレベルまで減少させることが出来ることがわかった。
  • 中村 邦雄, 畠山 兵衛
    1984 年 40 巻 9 号 p. T327-T331
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    生糸の精練工程で廃水中に溶出するセリシンを用い,各種ビニル系モノマーのグラフト重合を試みた。ビニル系モノマーはスチレン,酢酸ビニル,メタクリル酸メチル,アクリル酸メチルを用いた。グラフト共重合体の重合条件,すなわちラジカル開始剤の種類と濃度,反応時間と温度,モノマー濃度とポリマー収率(トータルコンバージョン),グラフト収率及びグラフト効率の関係を検討した。その結果,水溶性のラジカル開始剤である過硫酸カリウム,硝酸第二セリウムアンモニウムを使用した反応系の方が,油溶性であるアゾビスイソブチロニトル及び過酸化ベンゾイルを使用した場合より高いグラフト率及びグラフト効率を示した。またグラフト率及びグラフト効率はモノマーの種類に強く依存することがわかった。さらにスチレンのようなベンゼン環を持つモノマーより,アクリル酸メチル,酢酸ビニルのように構造的に類似しているモノマーのグラフト共重合体の方がセリジンとの相溶性が良いことが明らかとなった。
  • 吉田 博久, 中村 邦雄, 畠山 立子, 畠山 兵衛
    1984 年 40 巻 9 号 p. T332-T336
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    絹の精練工程で産出する廃水中のセリシンに種々のビニルモノマーをグラフト共重合させた。用いたビニルモノマーはメタクリル酸メチル,スチレン,メタクリル酸,酢酸メチルである。スチレン系ならびにメタクリル酸メチル系の共重合試料のガラス転移温度は,セリシン組成が増加するにともない減少した。共重合試料の応力-歪曲線より得られたヤング率と破断までに吸収されるエネルギーはセリシン組成によって変化した。メタクリル酸メチル系の共重合試料の引張り強度は,セリシン総成0.1付近で最大を示した。最大の引張り強度を示す試料の破断面に,光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡下でミクロクレイズが観察された。ビニル系モノマーにセリシンを共重合させることにより得られる優れた機械的性特性は,試料中に分散しているセリシンが応力集中体となり外部歪を吸収する役割をになっているためと予想された。
  • 稲垣 訓宏, 河合 秀司
    1984 年 40 巻 9 号 p. T337-T343
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    テトラフルオロメタン,パーフル君ロメチルシクロヘキサン,およびパーフルオロトルエンとアンモニアガス混合系のグロー放電重合を行ない,生成物を元素分析, IRおよびESCAスペクトルより検討し,さらに,生成ポリマーの物性について若干の検討を加えた。
    上記フルオロカーボンのグロー放電重合は,アンモニアガスの混合によって促進される。アンモニアガスの混合によってF成分が脱離し, N成分は主にアミドとしてポリマー中に導入される。これに伴なって表面は疎水性から親水性へと変化する。生成したフィルムのガス透過性は混合したアンモニア濃度に影響を受ける。窒素ガスに対する酸素ガスの透過係数比は2以上となる。
  • 数種の菌株による染料の脱色速度
    矢留 智津子, 小川 利彦, 井高 英一
    1984 年 40 巻 9 号 p. T344-T349
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    アゾ,トリフェニルメタン,アントラキノン及びメチン染料の微生物分解について,活性汚泥から単離した数種の菌株を用いて検討した。その結果から,モノアゾ染料は,一般に分解されやすく,一方,ジアゾ熱料,トリフェニルメタン染料,アントラキノン染料及びメチン染料は,一般に難分解性であることが明らかとなった。
    また,染料の微生物の生育に及ぼす影響について検討した。その結果, Pseudomonas SP.により分解されるP-アミノアゾベンゼン及びStrain-3によって分解されるC. I. Acid Orange 20は,その微生物の生育を阻害し,一方, Pseudomonas sp., Strain-4及びStrain-2により分解されないC. I. Direct Red 28及びStrain-1により分解されないC. I. Acid Orange 20は,その微生物の生育に影響を及ぼさないことが明らかとなった。
    モノアゾ染料(C. I. Acid Orange 7, C. I. Acid Orange 12及びC. I. Arid Orange 20)の水/オクタノールへの分配から,グラム陰性菌の膜透過性について討論した。
  • 辻 和一郎, 中尾 時技, 土山 由美, 林 佳苗, 西村 紀子, 三宅 彰子
    1984 年 40 巻 9 号 p. T350-T358
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    木綿およびポリエステル繊維の修飾が汚染,洗浄性に及ぼす影響を検討した。油性成分を含有したカーボンブラックの田塩化炭素分散液を汚染液として使用した。木綿のカーボキシメチル化,酢化は特に汚染性を低下し,洗浄性を高める。アルカリ減量加工およびカチオン可染性ポリエステル織物は高い洗浄性を示した。織物構造も大きい影響を持ち,一般に織密度の小さい織物や編物は汚染性が大きい。繊維断画形状の複雑なオクタローバル繊維は円形断面繊維よりも低い洗浄性を示した。乾燥汚染法についても検討し,ポリウレタンキューブを用いた移染法が均一な汚染を与えることを認めた。
  • 清水 祐一, 福森 保則, 高井 光男, 林 治助
    1984 年 40 巻 9 号 p. T359-T364
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    バガスを酵素により,効率的に加水分解するための前処理として,アルカリ性酸素酸化による脱リグニン処理を行ないその効果を検討した。
    室温で0.5~3.5%NaOHに1時間浸漬してしぼった後,オートクレーブ中で酸素存在下, 40~120°C各温度で処理した。各条件における収率,脱リグニン率およびこれれらの前処理をした試料の酵素分解性を調べた。
    脱リグニンが進むにつれて,酵素による分解率は向上し,酸素初圧5kg/cm2Gにおいて80°C, 0.5~2%NaOHあるいは60°C, 3%NaOHの条件で前処理すると,脱リグニン率は約80%となり,その分解率は約90%に達した。
    未処理の分解率は19.8%であるので,前処理によって分解率は大きく向上した。また糖分析から,すべてが還元糖として分解していることがわかった。過度の脱リグニンは分解率の向上にはつながらず,また収率の面から不利であった。
    また,酸素圧を2,0kg/cm2Gと下げても,その前処理効果は5kg/cm2と大差なく,処理に当ってはそれほど酸素加圧は必要ないこともわかった。
  • 近田 冨士雄, 黒崎 新也, 横井 輝之
    1984 年 40 巻 9 号 p. T365-T370
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    コーミングローラによる分繊方式を用いてスライバを分繊し,高速で飛行する繊維集団の大きさを光電的方法で検出した。デジタルメモリに記憶した時系列データを取り出し,コンピュータにより高速フーリエ変換および逆フーリエ変換し,パワースペクトルおよび自己相関々数を求めた。短時間内における分繊状態は時間的にランダムであって,パワースペクトルはピンクノイズの傾向を示した。これに対し,比較的長い時間でのスペクトルは低周波の一部を除き,周波数に対しパワーレベルが一様なホワイトノイズの傾向を示した。また,スライバ中に存在していた繊維長の2~3倍のむらが分繊後のパワースペクトルにあらわれた。
  • ジェファーソン エドワードG.
    1984 年 40 巻 9 号 p. P557-P563
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • クロップマン W.A.
    1984 年 40 巻 9 号 p. P564-P576
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 田中 文雄
    1984 年 40 巻 9 号 p. P577-P594
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 藤吉 次英
    1984 年 40 巻 9 号 p. P595-P602
    発行日: 1984/09/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
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