土木学会論文集
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1999 巻, 623 号
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  • 耐震設計から先端技術を応用した免震・制震設計へ
    家村 浩和
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 1-8
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震は典型的な都市直下地震で, 震度VII地域に存在する道路や鉄道施設は, 甚大な被害を受けた. 地震記録の解析から, 被災構造物には, 建設当時の設計地震力 (0.2g) の約10倍 (2.0g) の力が働いたものと推定され, 大被害もこの観点からはやむを得なかったと言える. 従来の耐震設計手法で設計しようとすると, 短周期構造物では, 許容塑性変形性能をμ=8程度と仮定しても約0.4gの弾性強度が必要である. 道路や鉄道などの社会基盤施設には, 大地震後, 多少の機能停止があっても, 比較的短期間のうちに, 復旧することが強く要求されている. 大きな塑性変形性能に期待すると, 地震後の残留変形が大きく, 修復が不可能になる可能性が高い. こうしたことから, 構造物に作用する地震力そのものを積極的に低減し, 地震後の構造物の耐震性能を向上させようとする免震・制震技術の開発を進めなければならない. 本文は, 最近注目されている性能設計の枠組みの中で, 先端技術を応用した免震・制震設計法を適用することにより, 極限地震動に対する公共構造物の要求性能を満足させようとする方向を示したものである.
  • 中田 雅夫, 山地 宏志, 松原 澄行, 岡野 成敏, 野村 貢
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 9-22
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    交通トンネルやエネルギー施設等に代表される地下空間利用の増大に伴って, 安全で高速なトンネル掘削工法の確立が望まれている. 高強度繊維製ケーブルボルトはこのような用途に適した支保部材と考えられるが, 繊維製品加工の困難さも手伝って, 現在のところ実用的な製品は存在しない. 筆者らは, 日本古来の組紐製法を採用することで, 巻き取りが可能な高強度繊維製ケーブルボルトの開発を試みた. 本論文は, 当該繊維製ケーブルボルトの実用性を検証するために実施した各種室内実験, 及び原位置試験の概要と結果を示し, その妥当性と問題点を論ずることで, 今後の高強度繊維製ケーブルボルトの開発方向を検討したものである. 一連の試験結果から当該の繊維製ケーブルボルトは, 鋼製ケーブルボルトと同等な引張強度, せん断抵抗, 並びに付着耐力を有し, 特に付着特性に関しては組紐製法を採用することで, 非常に良好な特性を実現することができた.
  • 齋藤 優, 山田 清臣
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 23-34
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    泥土圧シールド工法は幅広い土質で適用が可能なものの, 地盤の状態によっては排土機構ゲート部での地下水の噴発や機械負荷の増大が生じて掘進の中断を招く場合も多く, 安定した掘進を維持するためにその対策が必要であった. シリカシールド工法は, これら課題の解決を目的として, 添加材としてシリカゼリーを適用する新しいタイプの泥土圧シールド工法である.
    本研究は, シリカシールド工法の開発および実用化に関して研究を行ったもので, 本報ではシリカゼリーによる掘削礫質土の土性改良効果を中心に, 添加材注入率の定量化および安全性等について検討した.
  • 前中 良啓, 右城 猛, 八木 則男, 矢田部 龍一
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 35-44
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 湖成堆積粘性土地盤上の護岸改修工事に伴い発生した提体が変状を起こした機構の解明と対策工の検討を行ったものである. その結果, 変状発生の主要因は深層混合処理工法による改良体の弾性的曲げ変形と軟弱粘性土地盤の有する卓越したクリープ変形特性にあることがわかった. また, 改良体の構造をブロック状にすることにより変状の発生を抑えることができることも確認された.
  • 古山 章一, 瀧内 義男
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 45-55
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    緩い砂礫地盤に直接基礎を採用する場合には, 地震による地盤強度の低下と基礎の沈下が問題となる. 今回, 秋田新幹線工事において, 支持力性状の把握を目的として大型平板載荷試験を実施し, 上記の問題を解決し比較的緩い砂礫地盤に直接基礎を採用した. 本報告では, まず平板載荷試験によって明らかとなった支持力性状について延べ, つぎに建設時に測定した沈下量との比較から, 直接基礎とする場合の載荷試験の評価法と沈下量の算定法について提案する.
  • 萩森 健治, 牧野 卓三, 大塚 勝司, 浜田 元, 岩垣 富春, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 57-67
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    住宅地直下の硬岩トンネルを直径5m級のTBMにより掘削する工事において, 掘削時に振動・騒音を計測しスペクトル解析を行ってその特性を明らかにした. 掘削時の振動レベルは, 直上の集合住宅 (TBMからの距離が約25m) で60dB前後で, 騒音レベルは50dBであった. 振動速度はTBMから測点までの距離の1.8乗に逆比例する傾向が認められた. 住民からは振動, 騒音に対する不快感や睡眠の妨げなどの苦情があった. 集合住宅 (4階) に伝播した振動は, 水平成分は5Hz, 30~60Hz, 90~100Hz, 鉛直成分は30~60Hz, 80~110Hzの周波数成分が卓越しており, 集合住宅付近の地表での騒音, 低周波音のスペクトルとよく対応していることから, 騒音および低周波音は, 集合住宅の振動により二次的に生じた固体音であると考えられる.
  • 工藤 奎吾, 小山 俊博, 小松崎 勇一
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 69-83
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模地下空洞の掘削に当たっては, 調査・試験, 解析・設計, 施工・計測の各種要素技術が相互に関連付けられ, 総合技術としての機能を発揮することが不可欠であるが, 従来それぞれの要素技術のアンバランスから実際には必ずしも期待通りの機能を果たさず, 個別の問題に直面する都度, 技術的な解決を図ってきたのが実態である.
    本論文は過去の地下発電所の掘削経験を基に, 各種要素技術の開発経緯について言及すると伴に, 最近の葛野川地下発電所における調査から掘削完了までを含めた各種要素技術の高度化並びにこれらを総合技術として体系化した「情報化設計施工技術」の適用について報告するものである.
  • 中田 雅博, 三谷 浩二, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 85-95
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高速道路トンネル建設時にトンネル側壁部の押出し量として計測される最終内空変位量の頻度分布を調べると, ほとんどが20mm以下と小さく, 支保工の変状もほとんどない. これは支保工が変位抑制効果を発揮した結果なのか, 地山の性状に依存した結果であるのかという課題と, 何を基準に支保工を増減するかという課題を提起している. そこで, 一般的な地山の現場を中心として支保工量を積極的に削減し, 変位量や支保工応力の変化を試験施工により検討し, 支保工削減の可能性と支保工の役割を明らかにすることを試みた. その結果, 変位は主に地山条件により決まり, 支保工の役割は変位量を制御することよりもむしろ, 緩みの増大や岩塊の抜け落ちを防ぐことにあると強く推察された.
  • 福手 勤, 阿部 正美, 真鍋 昌司, 栗栖 孝雄
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 97-108
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼材は, 海洋・港湾構造物を建設するための重要な建設材料であるが, その利用にあたっては信頼性の高い防食法を適用することが不可欠である. 各種防食法の防食効果や耐久性を評価するには, 実際の海洋環境下で長期間追跡調査することが, 現在では最も信頼性の高い方法と考えられている.
    著者等は桟橋構造物の鋼管杭に各種被覆防食を適用し, それらの防食効果の経年変化を調べ, 技術改良を行っている. 10年間にわたる追跡調査の結果, 各防食法とも概ね満足すべき結果を示したが, 保護カバーを用いる工法ではカバー等は波力に耐える強度が必要であること, 塗装にはジンクリッチの下塗りが必要であること, 電気化学的モニター法には改良の余地があることなどが明らかとなった.
  • 登坂 敏雄, 前田 昌康, 福田 勝美, 西村 元男
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 109-118
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    一般に, NATMの二次覆工は, 化粧巻きとの考え方にたち, 大きな荷重が作用することを想定していないのが現状である. しかし, 膨張性地山などの特殊地山条件でのトンネルにおいては, 一次支保のみで地山の変位を完全に抑止することができずに, 二次覆工に荷重が作用する場合がある. この場合, 永久構造物として二次覆工の所要耐力を決める設計手法が必要となるが, 未だ確立されていないのが現状である. 今回, この膨張性地山トンネルにおける一連の試験・計測の結果から, 地山変位と二次覆工に作用する荷重との関連を解析・検証した結果, 実用の可能性のある推定手法を得た. 地山の物性値の決定等を更に精算することにより, この手法が, 今後の膨張性地山における二次覆工の設計法の一例として有効なものとなり得ると思われるのでここに提案する.
  • 加納 米二, 南出 英男, 中川 浩二, Finn OUCHTERLONY
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 119-130
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳トンネルの発破掘削における長孔削孔心拔き発破について, 従来の高性能爆薬 (本報ではエマルジョン爆薬) によるものと, 最近話題になることの多いANFOを用いた実験を行った. そこでは Langefors らにより提案されている平行抜き発破の実験式を参考に, 高性能爆薬とANFOの装薬集中度, 抵抗線の関係等について実験的に比較ならびに検討を行った.
    エマルジョン爆薬およびANLFOによる1発破進行4mの長孔削孔ら抜き発破について, 石灰石鉱山のベンチという限定された条件下ではあるが爆薬量, 孔間隔など基本データを得ることができ, これらのデータをもとにそれぞれの爆薬を用いた心抜き発破における Langefors らの装薬量計算式を修正提案した.
  • 中田 雅博, 三谷 浩二, 八木 弘, 西 琢郎, 西村 和夫, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 131-141
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    切羽観察結果から標準支保を客観的に選定するための新しい切羽評価の考え方を提示した. (1) 切羽に現れる地山状況は, 総合的な岩盤強度とその岩盤が置かれている場の状態で評価する. (2) 総合的岩盤強度を評価する項目は「岩石強度」「風化変質」「割れ目頻度」「割れ目状態」の4項目であり, 場の状態を評価する項目は「湧水」「水による劣化」と「地山強度比」の3項目である. (3) 総合的岩盤強度の評価点は岩種と項目にそれぞれ応じた加重平均より算出し, 場の状態の評価点は湧水と劣化の組み合わせ, あるいは地山強度比のランクによって総合的岩盤強度の点数から値を減じる調整点とする. この考え方が有効であるかを確認するため, 旧切羽観察結果から5つ岩種グループを抽出し評価点を計算したところ, 支保パターンの判別にある程度の有効性が推察された.
  • 室 達朗, 延本 基春, 馬越 英貴
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 143-152
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ポイントアタックビットの進行方向切削ピッチ, 横方向切削ピッチおよび回転切削ドラム回転方向がモルタルの衝撃切削能力におよぼす影響について実験を行い, 単位仕事量当たりの切削土量が最大となる最適な進行方向切削ピッチ, 横方向切削ピッチおよび切削ドラム回転方向を見いだすことである. その結果, 単位仕事量当たり切削土量は, 進行方向切削ピッチの増加とともに増大すること, 切削深さが小さいとき, 最適な横方向切削ピッチが存在することおよび最適な切削ドラム回転方向は実機と逆方向であることが判明した.
  • 本城 勇介, 松尾 稔
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 153-162
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年さまざまな分野で地球環境の悪化が論じられており, 社会基盤施設の建設においても, エネルギー・資源と環境の持続的な保全を可能にするシステムの構築が求められつつある. 本研究は, 建設工事におけるエネルギー使用量・環境負荷の実態を把握し, これらを考慮した新しい設計法の構築を目指すものである. 具体的には二酸化炭素排出量をエネルギー使用量・環境負荷の指標として用い, 一定の構造物の信頼性のもと, 二酸化炭素使用量と経済性 (コスト) など複数の指標を評価要素とし, 多目的意思決定手法の内, 階層分析法と多属性効用分析法を用い, 海上埋め立て地の護岸を例題として, 複数の設計代替案より最適なものを選択する手法を研究した.
  • 小西 一寛, 辻 幸和, 伊藤 洋, 藤原 愛
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 163-176
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋コンクリート構造物の初期透水性状を実験的に評価するために, まず構造物規模の透水試験方法を検討し, 試験温度および注水圧力を一定とする加圧注水型の透水試験方法を提案した. 試験対象として, 外径が7.25m, 高さが5.25m, 側壁の厚さが1.25m, 底版と頂版の厚さが1.5mの中空円筒形のマスコンクリート構造物試験体を, 通常施工を模擬し水平打継目を設け温度ひび割れを制御および誘発して2体作製した. 提案した透水試験方法を2試験体に適用し, 初期の平均的な透水係数が10-11m/sおよび10-10m/sオーダであることを求めた.
  • 三上 市藏, 田中 成典, 黒田 護, 村田 真一
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 177-190
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    著者らは, 先に鋼道路橋 (飯桁・箱桁) を対象とした詳細設計支援システムを開発した. このシステムでは, 詳細設計の推奨構造図を交換する際に, STEPのPart21ファイルフォーマットで記述する必要がある. しかし多くのCADソフトウェアにはPart21ファイルフォーマットを取り扱う機能が備わっていないため, このシステムを利用する設計技術者が推奨構造図を提案することが難しい. また, 推奨構造図を加工して再利用することができない.
    本研究では, ドメインCADを開発して推奨構造図の標準化図面の獲得が簡単に行えるようにした. また, ドメインCADに推奨構造図を加工できる機能を設けることで, 多くの設計技術者の知識を取り入れた推奨構造図の獲得・洗練が迅速かつ容易にできるようになる. そして, 詳細設計を行う際に, 推奨構造図を共有できる.
  • 武内 秀木, 御手洗 良夫, 鈴木 雅行, 松重 宗徳, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 191-202
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山岳工法によって不良地山にトンネルを施工する場合, 切羽の安定性確保や地表面沈下防止を目的に補助工法として長尺鋼管フォアパイリングが用いられることが多い. 一方, 長尺鋼管フォアパイリングは現場では補助工法としての評価は高いものの, 効果のメカニズムは未だ解明されておらず, したがって設計法も確立されるには至っていない. 本論文は, 長尺鋼管フォアパイリングの一種であるAGF工法 (All Ground Fasten Method) の鋼管の断面設計法について提案しその適用性について考察するものである. 提案する鋼管断面設計法の計算モデルには弾性支承上梁モデルを用い, 設計荷重の形状や支保工バネの設定方法を工夫した. その適用性はAGF工法が施工された4トンネルの現場計測データによって検討した.
  • 鄭 勝仁, 中村 秀明, 宮本 文穂
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 203-218
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    外ケーブルプレストレス技術は, 橋梁構造の広範囲に渡り適用可能な技術と言える. 近年, 我が国において, 本技術は既設鋼飯桁橋の効果的な補強技術の一つとして注目されており, 各研究機関で種々の研究が行われている. このことより, 今後, 鋼橋に対して本技術を適用した補強設計事例の増加が予想される. 本論文では, 合成鈑桁橋に対する本補強技術を用いた技術的検討作業の合理化を目的に, CAE (Computer Aided Engineering) 的なエンジニアリングシステムとして構築した補強設計支援システム“DSSEPT: Design-Strengthening Support System for Composite Plate Girder Bridge using the External Prestressing Technique”について述べている.
  • 今田 徹, 山崎 良一, 野本 寿, 三戸 憲二, 山崎 宏
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 219-231
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    シールドトンネルのセグメント形式は多様であるが, その殆どは, セグメント端部を突き合わせボルトあるいはほぞなどで力を伝達する形式となっている. この突き合わせ部で曲げ, 軸力, せん断力の伝達が行われることになるが, これらは接触面を介して行われることになり, 接触問題として局部的に非常に複雑な応力状態になる. 本論文は, 矩形, 台形, 凸型などのコンクリートセグメントで採用される単純突き合わせ, ほぞなどの基本的な継手構造に関し, 軸力, 曲げ, せん断を受けたときの局部応力の状況を光弾性実験により検討を行ったものである. その結果, 応力の伝達が円滑に行われる場合もあるが, 状況により大きな応力集中が生ずることを明らかにした.
  • 武内 秀木, 河上 清和, 折橋 恒春, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 233-246
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最近, 切羽安定対策や地表面沈下対策として長尺鋼管フォアパイリングが用いられることが多くなってきたが, その効果のメカニズムは必ずしも明らかになっていないようである. 本研究では, 長尺鋼管フォアパイリングの一種であるAGF工法 (All Ground Fasten Method) の効果を, 施工実績データと室内模型実験データおよび現場計測データを使って, 分析・検討した. その結果, 施工実績データと室内模型実験からAGF工法には切羽安定効果があることが, 現場計測データから地表面沈下抑制効果は注入式フォアポーリングよりも高いことが, 明らかになった. さらにAGF工法を適用したトンネルでは地表面沈下曲線と鋼管たわみ曲線にはいくつかの特徴的な挙動があることがわかった.
  • 熊谷 樹一郎, 大林 成行, 川井田 実, 齋藤 元也
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 247-257
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 衛星データや地理データ, さらにはそれらの処理/解析結果等の二次生成情報を対象に, シラス地帯に計画された路線に対する広域的な事前土地評価 (崩壊影響評価) のためのアルゴリズムを開発した. シラス地帯に広く分布する侵食斜面では斜面崩壊の発生とともに多量の土砂が流下するケースの多いことに着目し, 衛星データと地理データより作成された斜面安定性評価図から崩壊影響評価に関わる情報を抽出・整理した上で二次生成情報として採用した. 提案したアルゴリズムを実際の計画路線に適用した結果, 崩壊が発生した場合の影響を路線周囲に位置する集水域ごとに比較・評価できるとともに, 広い範囲から砂防施設の設置必要箇所を効率よく抽出できることが示された.
  • 沖村 孝, 二木 幹夫, 岡本 敦, 南部 光広
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 259-270
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 地震による宅地地盤被害を対象として, 兵庫県南部地震による被害を述べるとともに各種要因との関係を分析し, 被害原因について考察を行った. さらに, 変状のあった代表的な箇所での安定解析を実施し, 水平震度と安全率との関係について分析を行った. その結果, 地震による被害発生の原因と地震時に作用した安定解析上の水平震度の大きさについて概ね推定することができた.
  • 山田 均, 沢田 繁樹, 篠原 修二, 風間 浩二
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 271-276
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震以降, 橋梁構造物や建築構造物では免震構造物が多く建造されている. 具体的な免震装置としては, 構造の単純さと経済的に優れた点が評価されて積層ゴムタイプの支承が採用される機会が多くなっている. これらゴム支承は, 想定した地震に対して所要のアイソレータ機能及び復元力特性を発揮するよう設計されるが, 振動モードによっては, 常時の動的交通荷重や風に起因する振動を助長することが懸念される. 本論文では, 簡単な橋梁モデルを用い, 支承部 (鋼製支承, 積層型ゴム支承) の特性差が, 橋梁の固有振動特性や振動応答特性に及ぼす影響について, 数値解析による基礎的な検討結果について報告する.
  • 倉田 克彦, 口田 登
    1999 年 1999 巻 623 号 p. 277-280
    発行日: 1999/06/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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