兵庫県南部地震は典型的な都市直下地震で, 震度VII地域に存在する道路や鉄道施設は, 甚大な被害を受けた. 地震記録の解析から, 被災構造物には, 建設当時の設計地震力 (0.2
g) の約10倍 (2.0
g) の力が働いたものと推定され, 大被害もこの観点からはやむを得なかったと言える. 従来の耐震設計手法で設計しようとすると, 短周期構造物では, 許容塑性変形性能をμ=8程度と仮定しても約0.4
gの弾性強度が必要である. 道路や鉄道などの社会基盤施設には, 大地震後, 多少の機能停止があっても, 比較的短期間のうちに, 復旧することが強く要求されている. 大きな塑性変形性能に期待すると, 地震後の残留変形が大きく, 修復が不可能になる可能性が高い. こうしたことから, 構造物に作用する地震力そのものを積極的に低減し, 地震後の構造物の耐震性能を向上させようとする免震・制震技術の開発を進めなければならない. 本文は, 最近注目されている性能設計の枠組みの中で, 先端技術を応用した免震・制震設計法を適用することにより, 極限地震動に対する公共構造物の要求性能を満足させようとする方向を示したものである.
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