貯水池の富栄養化対策は, 流域における排水規制などの発生源対策と, 選択取水や流動制御など湖内における対策が中心に進められているが, 本研究では, 貯水池に流れ込む流入河川水より, 溶解性のリンおよび窒素を除去する対策手法を扱った. その代表的な手法に植生浄化があるが, 広い栽培面積を必要とすることが欠点である. 本研究は, 淡水植物の中でも増殖速度が高く, 四季を通して適用可能な糸状藻類群集を用い, それを栽培する人工水路を, 貯水池周辺の利用価値の低い水位変動域や, 副ダムの水面などに設置することにより, この難点の解決を図ったものである. これを前提として, 具体的な設備構造案, および貯水池での設備設置場所の検討例を示すとともに, 実施に当って予想される問題点を明らかにした.
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