サルと家兎を用いて, DDVPおよびスミチオンによる亜急性毒性試験を行なった。DDVPをサルに対しては, 体重1kg当り0.1mg, 0.3mg, 1.0mgを6ヶ月間, 家兎に対しては, 0.2mg, 0.5mg, 1.5mg, 5.0mgを3ヶ月間毎日投与, また, スミチオンを, サルに対しては0.1mg, 0.5mg, 2.0mg, を6ヶ月間, 家兎に対しては1.0mg, 3.0mg, 10.0mgを3ヶ月間毎日投与した後, 動物を解剖し, 外眼筋, 肝臓および腎臓の変化を電子顕微鏡で観察した。
サルの場合, DDVPによる変化は, 外眼筋運動終板では, Junctional fold, Synaptic vesicleの変化, 糸粒体の膨化, 減少がみられ, 肝細胞では, 滑面小胞体の増生, 糸粒体の膨化および萎縮, 粗面小胞体の開大等がみられ, 腎臓では, 糸粒体への影響, 滑面小胞体の開大などであった。また, スミチオンによる変化は, myofilamentの走行異常, Z-lineの消失, 筋内神経のmyelin鞘の菲薄化がみられ, 運動終板ではSynapticvesicleの減少, Junctional foldの消失などが認められ, 肝細胞では, 明, 暗調肝細胞の糸粒体の長楕円型化, 数の増加および粗面小胞体と滑面小胞体の数の増加などであった。
家兎では, DDVPによる変化は, 外眼筋運動終板では, Synaptic vesicle, Junctional foldの変化があり, 糸粒体の変化も認められた。肝臓では, 肝細胞の空胞化, 滑面小胞体および粗面小胞体の増加, 糸粒体の変形が認められ, 腎臓では, 近位尿細管の糸粒体の腫大, 顕著な空胞化等であった。スミチオンによる変化は, 外眼筋では, myofilamentの走行異常と, Z-lineの消失がみられたが, 運動終板には変化は認めえなかった。
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