日本農村医学会雑誌
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34 巻 , 2 号
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  • 原田 規章, 高橋 弘, 櫃本 真一, 吉田 泉, 木村 慶
    1985 年 34 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    愛媛県内の農村地域で実施した循環器検診で得られた資料を解析し, 現代の農村地域での健康管理活動における農夫症8症候の意義を検討した。その結果, 農夫症8症候の訴えは農村社会の変貌とともに減少してきているが健康指標2しての役割は消失していないこと, しかし, 農業労働の多様化や兼業化の進行による生活条件や労働条件の変化を農夫症8症候に反映させる必要があることなどを考察した。
  • 原田 規章
    1985 年 34 巻 2 号 p. 100-103
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村婦人の農外就労が増加している。愛媛県松山市近郊の農村地城に位置する重信町でも, 女子就業者にしめる雇用者の割合が1960年の24.8%から1980年の61.1%へと増加している。同町のN製缶工場に勤務していた農村婦人の生活と健康について調査した。その結果, 同工場就労婦人の属する家庭の経済状態が不安定であること, 同工場における労働条件にも種々の問題があり, 業務に起因すると疑われた健康障害の発生が多いことが明らかになった。農村地域における不安定な雇用条件を背景にした農村進出工場の労働条件と, そこに勤務する農村婦人の健康問題についてさらに検討する必要があると考えられた。
  • 萬田 芙美, 松下 敏夫, 上田 厚, 吉岡 満城, 青山 公治
    1985 年 34 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 畜産業や養殖業の生産過程において, 多種類かつ多量の抗菌性物質が使用されており, 食品への残留が懸念されている。著者らは, 合成抗菌剤Nicarbazin (NCZ) の簡易分析法を検討し, 併せて市販鶏肉における残留実態を検索し, NCZの使用と安全性および流通過程における継続的な監視の必要性に関して若干の考察を試みた。
    残留NCZの分析は, 鶏肉のAcetonitrile抽出物を直接HPLCに注入する方法を用いた。本法は, 抽出物を脱脂, 脱水の前処理をすることによって, 煩雑な精製操作を省略し, 簡便かつ精度の高い方法として, 使用可能であった。
    鹿児島市内の店舗より任意に購入した市販鶏肉について, NCZの残留調査を実施したところ, その検出率は13.0%(N=131) であった。季節的には, 夏季の疾病多発時, および月別では12月, 3月と需要の多い時期に, 検出率が高い傾向が認められた。また, 鹿児島県外で購入した市販鶏肉からも, ほぼ同様のレベル (検出率12.5%N=40) で残留が認められた。
    NCZは鶏肉の中でも脂肪部位に多く蓄積し, 生物学的半減期が比較的長く, また特殊な毒性を有することから, 設定されている休薬期間の妥当性や, 人体に対する安全性についてもより詳細な検討が必要である。
  • 中川 秀昭, 辻川 研一郎, 奥村 義治, 金森 ちえ子, 河野 俊一, 北村 義江, 中田 なみ子
    1985 年 34 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村住民675人を対象にHbA1, HbA1Cを測定し, その分布や他検査成績との関連および135人を選び509糖負荷試験を実施し, スクリーニング検査としてのHbA1, HbA1Cの有効性について検討した。農村住民のHbA1, HbACはともに対数正規分布型に近似した分布を示し, その幾何平均値 (標準偏差) は, HbA1では男が7.95 (1.11), 女が8.13 (1.12) であり, HbA1Cでは男が5.17 (1.10), 女が5.16 (1.11) であった。年令群別HbA1, HbA1Cの幾何平均値はともに加令とともに有意な増加傾向 (p<0.05) がみられたが, 男女間の差は認められなかった。HbA1は年令 (女) と正相関が, Hb (男・女) と負の相関がみられ, HbA1Cは年令 (男・女), 肥満度 (女), 最大血圧 (女), 血清総コレステロール (女) などとの間で正相関が, Hb (男) との間で負の相関が認められた。糖負荷試験を行なった135人に対し, HbA1, HbA1Cの糖尿病スクリーニング検査としての有効性を検討したところ, 60才未満群ではHbA1の敏感度は72.7~100%, 特異度は67.3~75.0%であり, HbA1Cでは敏感度81.8~100%, 特異度78.8~81.3%であり, ともに尿糖や随時血糖を用いたふるい分けより有効度は高く, とくにHbA1Cの測定は敏感度, 特異度とも高く, 糖尿病のスクリーニングとして有効であると考えられた。しかし60才以上群ではHbA1, HbA1Cとも特異度が低値を示し, 必ずしも有効とは認められなかった。
  • 今木 雅英, 三好 保, 吉村 武
    1985 年 34 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    徳島県の農漁村の健康な中老年 (30-69才) の住民287名 (男性96名, 女性191名) を対象に, 摂取栄養素量と肝機能検査で用いられている血清こう質反応の一つであるTTTと関係について疫学的な調査を実施し, 以下の結果を得た。
    対象集団の栄養状態は, 熱量, 蛋白質, 脂質, 糖質の摂取量は比較的良好な集団である。
    TTT値は女性は男性に比べていて有意に高い。又男女ともに加令に伴って上昇する傾向を認めた。
    男性では, 中年層において糖質, 熱量, 植物性蛋白質, 老年層において動物性脂質, 熱量と有意な関係を認めた。女性では, 中年層において重相関係数は, 統計的に有意でなかった。しかし, 老年層においては, 動物性蛋白質, 植物性脂質と関連性が認められ, TTT値が, 肝機能検査の指標ぼかりでなく, 摂取栄養量と深く関係していることが認められた。
  • 杉村 巌, 松尾 弘文, 小西 行夫, 種田 光明
    1985 年 34 巻 2 号 p. 122-128
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    北海道・天北地区は, 北海道でも代表的な酪農地区で, 一戸あたり牧草面積は35ha, 一戸あたり乳牛等の飼育頭数は48頭である。
    今度の調査で, 天北地区酪農婦人は, 水田農婦人に比較して農夫症症状を訴える率が高く, また, 貧血の発生率が高いことを知った。
    この地区の酪農は, ほとんどが家内労働によってまかなわれており, 従って, 営農規模が大きくなる程, それだけ労働負担も増す。
    また, 酪農婦人の労働は通年的で, しかも, 農繁期の水田農婦人の労働時間より一日平均, 凡そ1~2時間も長い。
    今後, 食生活の改善, 肩こり, 腰痛の予防やどに積極的に取り組む必要があり, また, 酪農家相互の共同作業などにより, 労働負担の軽減をはかるべきであると考える。
  • 菅谷 彪, 林 雅人, 大久保 俊治, 斎藤 公男, 松岡 富男, 岡部 俊一, 渡部 和弘, 佐々木 司郎, 小棚木 章, 佐藤 孝, 石 ...
    1985 年 34 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    複合経営農業をおこなっている農家の, 男性および女性の営農・生活の実態はどのようになっているかを調査した。
    作目別の作業内容の分析が, 農業者の健康障害との関連を知るために必要であった。
    アンケート調査によれば, 忙しい月では睡眠不足が, 特に女性に目立っていた。農薬の散布回数の極めて多い人がいた。
    作業面の個々の改善によって愁訴 (とくに腰痛) は軽減した。健診成績からは高脂血症, 肥満が目立ち, 摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスがみられた。
  • 田谷 利光, 田村 憲治, 武子 衛, 田中 厚子, 松崎 たか子, 川俣 みつほ, 井坂 利枝子
    1985 年 34 巻 2 号 p. 134-140
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    われわれは, 平地農村地帯である茨城県牛久町0地区, 岩井市N地区の婦人農業従事者を対象に, 健康対策事業を3か年にわたり実施した.総受診者は3年間で, 0地区290人, N地区340人であるが, 3年間継続受診した者は0地区77人, N地区91人と全体の8割であった。受診者の平均年令は0地区48.6年N地区44.3年であった。
    営農類型は両地区とも野菜と水稲, その他の複合経営であり, 5月が最も忙しく, ついで10月, 9月, 4月の順であった。
    受診者の主要疾病は高血圧症, 貧血症, 腰痛であり, 初年度と最終年度における総合判定成績の推移をみると, 好転群は28%であり, 増悪群は13%であった。
    健康診断後の対応について調査した結果, 要注意者で注意をよく守った者は45%と守らなかった人の方が多かった。生活面では食事に気をつけたり, 運動を始めた者炉多かったが, 両地区とも農休日を新らたに設痒した。
    健診脱落老について調査した結果, 急用のため受診できなかった者が多く, 一応健康に対して最も関心があると思われる。しかし, 要治療者で未治療の者が11人 (6.5%) もいた。
    そこで, 健康阻害要因の排除, 健康改善をはかった結果, 地区の人々炉相互援助のもとセルフサポートの精神で健康向上に成果をあげることができた。
  • 杉山 一教, 亀山 宏平
    1985 年 34 巻 2 号 p. 141-153
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    社会情勢の変化に伴い, 農業者の労働条件, 生活様式も変ってきた。新潟県においてもとくに平場の複合経営農業にその傾向は顕著である。一方, 豪雪地帯も多い新潟県で零細な山間積雪地の農業従事者, とくに農作業の主役をつとめ, 冬場は豪雪と戦う婦人農業従事者の健康障害にも目をむけなくてはならない。過去の調査では平場の成績に比し健康障害はやや少ない結果であったが, 今回は季節的な関係を比較し, 健康調査, 生活・生産行動調査を施行し, 問題点を取りあげその対策を検討した。
    積雪期の健康調査では肥満と高血圧が多かったが, 腰痛と貧血は少なかった。また, 生活・生産行動調査では両時期間にほとんど差はなかった。とくに目立つ点は菓子類の間食, 牛乳摂取の不足, 自らすすんで健診をうけたことがない, 体の具合が悪くとも無理をして働く等であった。これらをふまえて健康教育, 料理教室等を頻繁に行ない意識の向上に努めた。
    3カ年の成果として生活面, 作業面でそれぞれ90.4%, 56.2%が気をつけるようになっている。健康面では残念ながら肥満者の減少はみられなかったが, 高血圧は半減し, 農夫症も少なくなった。年間150日は雪にとざされ, 屋根の除雪も平均14回前後という豪雪も, 長年の生活の知恵で左程労働負担にならず, つつましい生活ながら継続的な肉体労働のない数ヵ月をすごすことによって, むしろ健康には好影響をもたらしていると思われる。
  • 松島 松翠, 山田 貞一, 横山 孝子, 阿部 栄四郎
    1985 年 34 巻 2 号 p. 154-165
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    長野県の高原地帯で主として野菜栽培 (レタス, ハクサイなど) に従事する農家婦人について, その労働, 健康, 生活状況と, 健診受診後の対応状況にこついて調査した。
    野菜栽培は夏季にその労働が集中しており, とくに7, 8, 9月の3か月はもっとも忙しく, 労働時間が12時間を超えるものが約3分の1にみられた。健康上, まず問題になるのは, 野菜地帯で比較的多く使用される農薬散布による影響で, 65%の婦人が散布作業に従事し, そのうち13%のものが, 1シーズン中に中毒あるいは障害を経験していた。また運動器症状が比較的多く, とくに腰痛は半数のものが訴えているが, これは野菜栽培においては中腰作業が多いことが関係している。その他, 腎孟炎や膀胱炎をおこしやすいものは, 約4分の1にみられた。
    農繁期の多忙は, 家事定も大きな影響を及ぼしており, 食事, 洗濯, 掃除などの主婦としての主要な仕事は, 農繁期も可能な人は約半数になっている。
    健診は農閑期定行なわれるため, 結果報告会への出席や精検, 治療のための受診など, 健診後の対応は比較的良好である。労働や生活面での改善については, 食生活面ではかなり改善に努めているが, 労働面では, 仕事の内容や分量が決まっているため, なかなか改善は困難な面がある。
  • 岡 昭, 石下 泰堂
    1985 年 34 巻 2 号 p. 166-175
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    静岡県の農業は温暖な気候と恵まれた交通立地のもとで茶, みかんをはじめ米, 野菜, 花き, メロン, 畜産等を中心に営まれているが, われわれが検診等を行なっている県中部地域を, A静岡市を中心とした都市およびその周辺地域, B複合経営がすすんでいる平野部, C山林傾斜地と, それぞれ農業形態, 生活環境の異なる三地域に分けて, 農村婦人の農作業の役割と労働負担の実態, 家庭生活状況を調査するとともに検診結果を各地域ごとに報告した。
    A地域では茶, みかん, 米, B地域では茶, 米, 野菜, C地域では茶, しいたけが主な作物で, 80%以上の婦人がかなり農作業に従事しており, 殊に茶作業では90%の婦人が茶の摘採を主になって行なっている。忙しい時期は地域によって異なり, 農機具による外傷は3~3.8%にみられた。農薬散布は90%以上の婦人が従事しており, そのうちの8.2~18.6%に散布後なんらかの症状がみとめられた。
    農村婦人の84.9~88.6%に腰痛の既往があった。貧血検診, 循環器検診では地域差が認められた。58年度の検診で子宮がん2名, 乳がん1名, 1胃がん1名がみとめられた。
  • 軽部 冨美夫
    1985 年 34 巻 2 号 p. 176-184
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    昭和56年より58年の3年間に亘り, 検診と営農生活調査を行って, 山村婦人の生活環境と健康状態を解析し, 特に, 山村での農業者と非農業者の健康指標の比較検討を行った。30~69才までの婦人1,922名を対象に, 508名 (26.2%) の検診を行った昭和56年の成績では, 血圧値の異常者率 (WHO: B+C) は34.6%, 肥満者 (+20%以上) 24.4%で, 山村地帯の特徴を示したが, 農業者と非農業者での差はなかった。Hb値11.9g/dl以下の貧血老率は25.7%と, 従来の報告よりも高率で, 特に3年間を通して, 非農業者に有意に高い結果であった。
    営農生活調査 (S.57: 328名) では, 農業者124名 (37.8%) のうち, 農業収入を中心として生活し得るとした婦人は14.5%にすぎず, 換金作物として一位を占めた茶は66.1%であったが, 二位のしいたけは12.9%と極端な差がみられた。身体愁訴にも, 農業労働の有無により差が生ずると思われた, 腰痛や流産では農・非農に差がなく, ガン検診受診率が農業者に有意に高率であったことなど, 農業者よりも, むしろ不健康な姿と意識で, 山村にしがみついている婦人層を発見した思いであった。
  • 加藤 和市, 南 与志子, 井上 博之
    1985 年 34 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    徳島県南部, 温暖傾斜地複合経営の2地区において, 農村婦人の営農生活共通アンケートをまとめ, 巡回健診を重ねるとともに健診後の対応アンケート調査結果の検討を行なった。
    A地区 (ハウスみかん, たけのこ) では専業農家が多く, 対象婦人の87.8%は農業を主としていた。40才代に作業時間が長い人が多く, 健診でも26.8%に貧血を認めた。中性脂肪の低値や低蛋白血症も40才代以下の年令層にみられ, 栄養を中心とした生活, 営農面での健康対策を一層進める必要がある。また健診後の対応アンケート調査では前年の健診結果を正しく受けとめていなかったグループでは次年の健診結果の好転も乏しかった。
    B地区 (稲作, 露地みかん等) は都市近郊農村タイプであり, 高血圧, 肥満など成人病の予防を中心に健康対策をすすめるべきだと考えられた。
  • 二塚 信, 大山 繁, 安武 直子, 野村 茂, 上田 厚, 上田 忠子
    1985 年 34 巻 2 号 p. 193-208
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農家婦人の農業労働における役割と労働負担の概容を多数の対象について把握するために, 熊本県下の農家婦人1,965名と対照として同一地域の非農家婦人261名について調査を実施した。労働力として農家婦人の比重が最も高い作目は施設園芸で, 煙草がこれに次いでいた。機械化の進展をみている作目では, 農業機械の操作は主として男子が担当し, 婦人は機械まわりの手作業に従事する傾向が顕著であった。また, 各農作業への従事状況は専兼別にかなり明瞭な差がみられた。農家婦人が最も辛いと感じる作業, 危険と感じる作業を作目別に明らかにし得たが, 全般的に農薬散布, 大型農業機械の操作, 草刈り機の使用に強い負担を感じているようであった。これらの労働負担が農家婦人の健康におよぼす影響については, 綿密な労働衛生学的な観察と関連要因も含めた多因子について疫学的な解析が必要だと思われた。
  • 1985 年 34 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 1985/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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