農村住民675人を対象にHbA
1, HbA
1Cを測定し, その分布や他検査成績との関連および135人を選び509糖負荷試験を実施し, スクリーニング検査としてのHbA
1, HbA
1Cの有効性について検討した。農村住民のHbA
1, HbA
Cはともに対数正規分布型に近似した分布を示し, その幾何平均値 (標準偏差) は, HbA
1では男が7.95 (1.11), 女が8.13 (1.12) であり, HbA
1Cでは男が5.17 (1.10), 女が5.16 (1.11) であった。年令群別HbA
1, HbA
1Cの幾何平均値はともに加令とともに有意な増加傾向 (p<0.05) がみられたが, 男女間の差は認められなかった。HbA
1は年令 (女) と正相関が, Hb (男・女) と負の相関がみられ, HbA
1Cは年令 (男・女), 肥満度 (女), 最大血圧 (女), 血清総コレステロール (女) などとの間で正相関が, Hb (男) との間で負の相関が認められた。糖負荷試験を行なった135人に対し, HbA
1, HbA
1Cの糖尿病スクリーニング検査としての有効性を検討したところ, 60才未満群ではHbA
1の敏感度は72.7~100%, 特異度は67.3~75.0%であり, HbA
1Cでは敏感度81.8~100%, 特異度78.8~81.3%であり, ともに尿糖や随時血糖を用いたふるい分けより有効度は高く, とくにHbA
1Cの測定は敏感度, 特異度とも高く, 糖尿病のスクリーニングとして有効であると考えられた。しかし60才以上群ではHbA
1, HbA
1Cとも特異度が低値を示し, 必ずしも有効とは認められなかった。
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