日本農村医学会雑誌
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49 巻 , 4 号
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  • 後藤 真一, 千葉 義和, 金藤 直樹, 中村 理, 安倍 充仁, 谷田貝 理恵
    2000 年 49 巻 4 号 p. 553-557
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    大腿骨頸部骨折術後のDVTの早期発見のためのスクリーニング法を前向き研究した。対象は, 1999年3月から9月に手術を施行した大腿骨頸部骨折症例24例中, 凝固線溶因子に影響を与える投薬のあるものや, 他科管理となったものを除く19例である。術後経時的に, 一般血液生化学検査, 動脈血酸素分圧値, D-ダイマー値を検査し検討した。DVTの診断は, 術後6から18日に下肢静脈超音波検査を行い, 血栓が疑われた症例には静脈造影を施行して確定した。結果, 19例中3例にDVTを認めた。一般血液生化学検査, 動脈血酸素分圧値は早期診断に有用ではなかった。しかし, D-ダイマー値は, DVT陽性例では術後1週間でいずれも20μg/ml以上であり, DVTのスクリーニングに有用と考えられた。
  • 熊木 昇二, 栗林 秀樹
    2000 年 49 巻 4 号 p. 558-564
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    [目的] 大腿骨頸部骨折 (以下頸部骨折) は老人の寝たきりの原因となりやすい。頸部骨折には骨粗緩症が関与していると言われており, 骨折のリスクを予測するのに骨密度 (以下BMD) 測定の意義が報告されている。今回われわれは大腿骨頸部骨折の危険群をBMDで予測可能か明らかにすることを目的とした。
    [対象と方法] 97年2月から98年11月までに当院で手術をした60歳以上の女性の大腿骨頸部骨折は74例77肢で, このうちDXA法を施行した52例52肢を骨折群とした。非骨折群として98年4月から98年12月までに人工膝関節置換術を施行し術前にDXA法を施行した頸部骨折の既往のない女性27例を選んだ。各腰椎BMD, 大腿骨近位部BMDの度数分布表を両群で作製し, 検討に値するBMDを選定した。それらのBMDのROC曲線を作製し正確な指標となるBMDの決定とcut off値の決定を行った。
    [結果と結論] 度数分布表はL2-4BMD, neckBMD, wardsBMDにおいて正規分布をなした。これらのROC曲線を作製するとneck BMD, wards BMDがより正確な指標といえ, neck BMDのcut off値は0.600g/cm2 (感度76%, 特異度80%), wards BMDのそれは0.400g/cm2 (感度71%, 特異度81%) とすることが可能であった
  • 亀谷 富夫, 越田 英夫, 橋爪 清盛, 柴田 和彦, 清水 邦芳, 堀上 健幸
    2000 年 49 巻 4 号 p. 565-572
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    糖尿病コントロール目的に当科に入院し, 入院時HbAlcが9.5%以上で, その後1年間眼底を観察できた糖尿病患者92名を対象にして, 網膜症を悪化させる危険因子を検討した。前増殖網膜症では, 悪化率は50%と有意に高値であった。未治療期間, コレステロール値, 血圧, 蛋白尿は, 悪化群では不変群に比し有意に高値であった。神経伝動速度は, 悪化群では不変群に比し有意に低値であった。入院時HbA1c値が10.1%以上では, 10%以下に比べ有意に網膜症の悪化率は上昇していた。入院時と3か月後のHbAlc値差は, 悪化群では改善群に比し有意に高値で, 3%以上では急激に網膜症の悪化率は上昇していた。また, 3か月間の改善速度のみならず, 入院時HbA1c値が12.1%以上では, 入院後1年間の平均HbA1c値が7%以下に下がり過ぎないように注意が必要と思わ
  • 大林 浩幸, 市岡 秀介, 竹内 千恵, 宮地 雅典, 野坂 博行, 山瀬 裕彦
    2000 年 49 巻 4 号 p. 573-581
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    吸入ステロイド剤Fluticasone propionate (FP) は, 従来のBeclomethasone dipropionate (BDP) の約2倍の臨床効果があり, 若・中年者にとって, 簡便性・携帯性に優れた専用器でのdry powder吸入は, 有用性が高い。しかし, 手指の細かい操作や素早い吸入を要する手技操作は, 高齢者には必ずしも容易ではない。
    【対象と方法】BDPにて安定し, ピークフロメーターでの自己管理中の65歳以上の外来喘息患者47名を対象に, BDPの半量のFPに切り替え検討した。12項目に分けた手技操作を患者の理解を得るまで繰り返し指導した。2~4週と8週問後に, その熟練度を確認した。患者使用感と副作用のアンケート調査及び, FP治療前と2~4・8週後の朝夕のピークフロー値・肺機能・症状点数も検討した。
    【結果】12項目中, 高齢者が不得手とする操作法が明らかとなった。FP使用2~4週後, 朝夕のピークフロー値の有為な改善を認めたが, 肺機能は有為差を認めなかった。最終的にFPを選択した患者は, 65~74歳代で71.4%, 75歳以上で50.0%であった。副作用は, のべ14名 (29.8%) に見られ, 口腔内乾燥感7名, 嗄声5名, 悪心・嘔吐2名であった。【考察】FPは高齢者喘息治療上有用だが, 医療スタッフ側は, 高齢患者の慣れに時間と労力を要する手技操作が存在する事を認識し, 繰り返し患者指導することが重要とな
  • 松島 松翠
    2000 年 49 巻 4 号 p. 582-592
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    検診活動及び健康増進, 生活改善を含む健康教育活動を実施することによって, それが疾病予防及び医療費の軽減にどの程度役立つかを, 個人を対象に上記活動に積極的に参加している者とそうでない者とに分けて, 以下の3点について研究を行った。
    1. 国保加入者について健康増進活動への参加・非参加別にみた医療費の分析
    検診を継続的に受診している者, あるいは健康づくり活動に積極的に参加している者は, そうでないものと比較して, 一人当たりの年間国保医療費が低いという結果が得られた。両者の差額は, 費用としての検診受診料をはるかに上回るものであり, 費用効果は十分あると考えられた。前者が後者にくらべて医療機関受診率が高いにもかかわらず, 医療費が低かったのは, 入院医療費が少なかったためであり, 検診の連続受診および健康づくり活動への積極的参加は, 重病を予防し, とくに高額な入院医療費の低減に効果が期待できることを示した。
    2. 胃癌患者の検診受診・非受診別にみた入院医療費の分析
    地域胃癌登録の胃癌患者について分析した結果, 胃検診 (胃X線集団検診, 胃内視鏡検査) 受診者 (検診発見者) は非受診者 (外来発見者) にくらべて, 胃癌による死亡率が低く, 入院医療費が低いという結果が得られた。これは胃癌の早期発見により進行癌が少ないために救命出来る者が多く, また入院期間が短縮され, 医療費が軽減されるためと考えられた。また費用損失については, 検診費用, 入院医療費, 胃癌で死亡した場合の逸失利益等を総合して比較した結果, 受診者に利益が多いことが分かった。
    3. 介護保険導入による費用効果の分析
    介護保険導入にともない, 被保険者の保険料と介護サービス利用の一部負担金が本人にとっての費用増加となるが, 一方では, 在宅介護サービスの強化, 特別養護老人ホームの開設, 短期入所の設置, デイサービス開設など, 要介護者にとってサービスの拡大が図られ, その内容は飛躍的に充実し, 利益が多いと分析された。さらに周辺の社会開発が行われつつあり, 政策立案, 住民参加など地方分権を担う力が強化されると予想された。
  • 林 雅人
    2000 年 49 巻 4 号 p. 593-606
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農村部の都市化傾向は徐々に進行している。しかし現在でも都市近郊農村から山間農村まで差がなくなっているわけではない。その差をみる目的で, 昨年都市近郊農村として広島市及びその周辺, 農村性の強い秋田県平鹿郡, 長野県南佐久郡, その中間の島根県出雲市を対象として, 集団健診成績から地域差の抽出を試みた。本年は昨年の成績精度をより確かなものとするため, 11年度の4地域で行った集団健 (検) 診成績を加えて検討した。昨年と異なり本年の広島は5年連続受診している優良生活習慣者が抽出されている。島根, 広島の対象者が少ないという特殊性を加味して補正してまとめたが, その点を考慮すると地域特性については本質的な変化はみられなかった。その主たるものをまとめると, 1) BMIについての比較で男性は都市性の高い広島が高いが, 女性では農村性の強い秋田, 長野が高く, その差異が特徴的であった。2) 収縮期血圧は男女とも秋田が最も高く, 次いで長野と農村性の強い地域が高値。しかもその傾向は高齢になる程明確であった。3) 拡張期血圧も長野, 秋田が高いが70代になると差がなくなっている。4) 血清総コレステロールは都市性の高い広島が男女とも高く (昨年), 秋田が低値傾向だが差は小さくなっている。5) 空腹時血糖は男女とも秋田, 長野の60代, 70代で昨年と同様に高く, 農村性の強い地域で高血糖をきたす背景の抽出が必要と考えている (現在検討中)。6) ヘモグロビンは昨年の成績と合わせて考えると男女とも広島, 長野が高かった。広島は都市特性, 長野は集団特性によるものが考えられる。
    運動習慣が健康指標に及ぼす影響について, 秋田, 長野, 島根, 広島の4地区で1日8,000歩以上の運動前後の平均値を比較した。その結果3か月間という短期間でもHDLコレステロールは各地域毎でも全体としても有意に上昇した。また, 非運動時のコントロールのとれた地区では体脂肪率の増加を運動が制御していることが裏付けられた。上記各地域の健診成績の他に, 得られた生活習慣病の臨床疫学的研究要旨は各研究者毎に示されており重複するのでここでは省略する。尚, 運動療法について茨城県で糖尿病に対する臨床上の有効性とQOLに対する効果をLPC式調査票を用いて検討した。その結果糖尿病における運動療法は糖尿病の耐糖能の改善のみならず, QOLを向上させることが示唆された。
  • 藤原 秀臣
    2000 年 49 巻 4 号 p. 607-617
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    生活習慣病は年々増加してきており, 疾病予防や健康維持の観点からも生活習慣病予防は保健・医療・福祉の重要課題である。厚生連は全国に広く関連施設を有しており, 各地方の特色に基づいて全国レベルで住民と直結した保健・医療・福祉活動の展開が可能である。地域住民の健康を守り, より良い医療を提供するためには厚生連病院として市町村と連携し情報を共有し, 支援し住民へ還元していくことが今後の課題である。そのためには情報の統一化と不偏性, 情報の集積, 情報の解析と活用の手法を確立する必要がある。そこで従来の検診データの集積方法を確認し, サンプリングや集計・解析の方法を検討し, 広く地域で活用できる情報データベースのフォーマットの確立について検討した。検診データは各施設毎に保存・管理方式が異なり, 形式も外部には完全に閉ざされておりデータの収集は容易でなかった。しかし, 研究目的の理解に基づき専門家レベルでの情報交換がなされ統一したデータベースが完成した。今回は44,817件が登録され, 膨大な資料を一括して保存し解析することが可能となり, 地域特性や男女別, 年齢構成別集計を容易に得ることができた。今後はデータの収集を厚生連病院全体や市町村に拡大していくことが肝要であるが, その際, 障害になることは各施設のデータの保存管理方式が多種多様であり, 外部には完全に閉ざされていることである。今後のデータベースの統一化, 情報の拡大には, 各施設のデータが個人情報を特定できない形で外部にオープンに抽出できる普遍的な形式で登録されていく必要があると考えられた。
  • 佐々木 真爾
    2000 年 49 巻 4 号 p. 618-625
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    わが国は欧米諸国に比べて蜂刺されによる死亡例が多く, 年平均30件を越えている。林野庁では, 国有林野の管理経営に携わる職員が業務中に蜂刺されによって死亡する災害が発生していることから, この対策について研究・検討してきた結果, 米国製自動注射器Epipen (以下「エピペン」と略す) を導入し, 職員に携行させて蜂刺されによる急激なアナフィラキシーショックが現れた場合, 自己注射することで対応した。
    その結果, 5年間に自動注射器エピペンの使用事例が10例, そのうち効果が認められ救命できたのが9例となっている。
    この対策のための検討会委員として携わったことから, 平成7年以降平成11年までの使用症例とその成果について報告する。
  • 亀谷 富夫, 橋爪 清盛, 柴田 和彦, 清水 邦芳, 越田 英夫, 堀上 健幸
    2000 年 49 巻 4 号 p. 626-630
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    一時的ではあるがSU剤にてインスリン分泌能の著明な改善をみとめた1型糖尿病を経験し, 1型糖尿病の寛解機序解明の参考になると思われたので報告する。
    症例は, 62歳の女性で, 1996年11月口渇, 9kgの体重減少で急激に発症した。入院時検査では, FPG320mg/dl, HbA1c13.0%, 抗GAD抗体が118.9U/mlと陽性で, 尿CPRは28.6μg/日と低値であった。以上より1型糖尿病と診断されたが, 患者の希望にてグリベンクラミド10mg/日を投与した。入院45日目の尿CPRは70.0μg/日と著明に改善していた。退院後6か月間はグリベンクラミドにてHbA1cも6%とコントロール良好であったが, 次第にコントロール不良となり1998年3月2日に再入院となった。再入院時の抗GAD抗体は138.1U/mlと増加しており, 尿CPRは24.0μg/日と低下していた。ノボレット30Rインスリンの2回注射を開始後コントロールは改善したが, 発症2年後には尿CPRは11.7μg/日と更に低下しコントロールも不良となりインスリン頻回注射に変更した。インスリン治療ではなくSU剤治療にて一時的ではあるが内因性インスリン分泌が正常まで改善された。これは, 1型糖尿病でも発症初期において糖毒性がかなり重要な因子を占めていることを示唆していると思われる。
  • 小野 利夫, 阿部 博昭, 山下 三郎, 松井 規親
    2000 年 49 巻 4 号 p. 631-636
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎は比較的稀な疾患といわれているが, 我々は平成5年から11年までに3例を経験した。症例は77歳, 83歳, 91歳といずれも高齢で, 軽度腹痛, 微熱, 排便不調など軽い初発症状が約1週間持続した後に急性腹症 (腹痛, 嘔気, 嘔吐) を来たし, 汎発性腹膜炎 (腸管穿孔疑い) の診断で緊急外科手術となった。術前検査では血液炎症所見に比べ理学的所見に乏しく, 画像上必ずしも遊離ガスを認めず診断に苦慮したが, 開腹で子宮穿孔が確認され, 3例中2例は予後不良であった。今後の高齢化社会では本疾患の増加が予想され, 高齢婦人の急性腹症での鑑別疾患の1つとして重要と思われる。
  • 2000 年 49 巻 4 号 p. 637-646
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 49 巻 4 号 p. 647-673
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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