日本農村医学会雑誌
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60 巻 , 1 号
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原著
  • 辻村 裕次, 垰田 和史, 北原 照代
    2011 年 60 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2011/08/18
    ジャーナル フリー
     ブドウ果房管理作業における頸肩部の負担は上肢系筋骨格系症状の発症要因となっている。負担軽減策の立案に資するために,現状のブドウ果房管理における作業負担の程度と要因を明らかにすることを目的として,滋賀県湖南地域でブドウを栽培している作業者を対象に,観察,聞き取り,ビデオ撮影による姿勢計測から作業分析を行ない,合わせて全身や局所の疲労状況を把握するための質問紙調査を,2009年の5月から6月にかけて実施した。
     作業者12人についての作業分析と47人日分の質問紙調査の結果から,作業位置の高さに起因する長時間で高頻度に繰り返された頸部後屈 (作業時間の82%) と上肢挙上保持 (左肘頭が肩より上方に位置した時間率56%) が大きな負荷となり,全身的な疲労や頸肩部の筋疲労を生じさせていたことが判明した。特に,頸部後屈や上肢挙上保持作業に慣れていない状況で行なう最も高い作業位置の「新梢の水平誘引」,「ジベレリン処理」における上肢へのジベレリン水溶液重量負荷,「第2回ジベレリン処理」による疲労が蓄積した状態で行なう最も困難度が高く長い時間を要する「摘粒」での負担が大きな問題であった。負担軽減策として,作業位置の低下 (樹木の仕立て方,足台の使用),頭部や上肢を支持する用具,「ジベレリン処理」における上肢への荷重負荷軽減,身体の使い方の工夫 (左右上肢の役割交替等) が考えられた。
  • 村上 穣, 小松 裕和, 高山 義浩
    2011 年 60 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2011/08/18
    ジャーナル フリー
     本邦ではいまだ感染症科のない医療機関が多く,そうした医療機関では院内感染への対応は各科の担当医師に委ねられている。とくにカンジダ血症のような重篤な感染症では必ずしも適正な診療が行なわれていないことが考えられる。我々は感染症科のない地域基幹病院である佐久総合病院において,2004年から2008年までに血液培養陽性でカンジダ血症と確定診断された全43例を対象に,カンジダの菌種,背景因子,治療の内訳,合併症,予後,米国感染症学会 (IDSA) ガイドラインの遵守率についてretrospectiveに検討した。カンジダの菌種はCandida albicansが最多であった。背景因子としては患者の84%に抗菌薬が投与され,79%に中心静脈カテーテル (CVC) が留置されていた。経験的治療としてはfosfluconazoleとmicafunginがそれぞれ35%を占めていたが,23%の患者は抗真菌剤が投与されていなかった。CVCが留置されていた34例中,診断後に抜去されたのは23例であった。カンジダ眼内炎の検索目的で眼科紹介が行なわれたのは42%であった。IDSAガイドラインの遵守率は42%で,カンジダ血症発症から28日後の死亡率は33%であった。本調査結果により当院ではカンジダ血症の診療について課題が多いことが明らかになったが,このような状況は感染症科のない地域基幹病院の一般的な現状と考えられる。今後はカンジダ血症に対するガイドラインに沿った適正な診療が行なわれる体制を,感染症科のない地域基幹病院でも定着させてゆくことが必要である。
報告
  • 三井 千鶴, 三浦 崇則, 池田 真紀, 大嶽 典子, 鈴木 久美子, 小川 昭正
    2011 年 60 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2011/08/18
    ジャーナル フリー
     安城更生病院 (以下,当院) は以前より教育に力を注ぎ,医療人を目指す学生から専門職業人に至るまで,積極的に実習・研修・見学を受け入れてきた。今回の調査は,当院において平成18年度から平成20年度に受け入れた実習・研修および見学の実績を把握するために調査した。
     当院における実習・研修および見学の受け入れ人数は,平成18年度1,047名・平成19年度1,107名・平成20年度1,309名と年々増加傾向にあった。そして,ほぼ全ての職種 (15職種) で実習・研修および見学を受け入れていることが明らかとなった。中でも,医療に興味を持つ中高生が増加している点は,我々にとって希望の光であった。加えて,教育プログラムのあるもので,実習・研修の増加が認められた。これらのことは,実習・研修生がどこで何を学ぶかを明確に,実習・研修先を選んでいることを示唆するものである。
     一方で当院は研修のプログラム管理・評価およびフィードバックが充分なされていないことが明らかとなった。
     今後,より魅力ある質の高い教育に貢献するために,プログラム管理・評価・フィードバックへの関わりが課題である。
症例報告
  • 柴原 弘明, 植松 夏子, 木下 早苗, 眞野 香, 青山 昌広, 小林 聡, 高木 健司, 西村 大作
    2011 年 60 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2011/08/18
    ジャーナル フリー
     症例1は直腸癌術後再発による神経障害性疼痛に対し緩和ケアチーム (palliative care team: 以下PCT) が介入した。オキシコドン徐放製剤の増量,鎮痛補助薬の変更,ベタメタゾン投与を行なった。またオキシコドン徐放製剤を1日2回投与から3回投与とし症状緩和が得られた。経過中cetuximab療法を2回施行した。症例2は乳癌術後再発による上肢痛と呼吸困難に対しPCTが介入した。モルヒネ硫酸塩水和物製剤と鎮痛補助薬を追加投与した。フェンタニル経皮吸収型製剤の貼付3日目に疼痛増強があったため3日毎交換から2日毎交換とした。経過中FEC100療法を2回施行した。この2症例ではPCTが積極的に介入し,速やかな症状緩和が得られたため,化学療法を問題なく施行することができた。PCTが積極的に介入するためには主治医の信頼を得ることが最も大切である。
  • 佐藤 裕, 矢部 雅哉, 大平 明範, 高丸 宏
    2011 年 60 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2011/08/18
    ジャーナル フリー
     医療行為を拒絶する16歳男性自閉症患者に対し,鎮静下の術前検査と全身麻酔下歯科治療を実地した。手術室入室と静脈路確保は患者にストレスを与えることから,前投薬としてミダゾラムを内服させた。自閉症の特性の一つとして物事への固執があるが,当患者では自身のカップでコーヒーを飲むことであった。そこで,この固執を考慮して,コーヒー飲料少量とミダゾラムを患者のカップにいれて渡したところ,拒絶することなくすべて飲んだ。鎮静状態が得られたため,手術室入室,静脈路確保,麻酔導入が円滑に行なえた。
     障害者に対して特性に配慮して歯科医療を行なうことは重要であり,上質な医療サービス提供の一歩になると考えられた。
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