昭和62年より平成2年までに土浦協同病院で確定診断した子宮頸部扁平上皮がんの治療者は153症例である。早期がん治療の問題点はその術前診断精度が問題となる。そこで0期がん46例およびIa期がん43例, Ib期がん21例, それぞれの細胞診, 組織診 (コルポ狙い組織診) の精度率および両者それぞれの陽性, 陰性診断基準による一致率, 不一致率について検索した。
細胞診では0期: 69.6%, Ia期: 67.4%, Ib期: 84.2%, 組織診では0期: 50%, Ia期: 67.5%, Ib期89.5%, がん診断一致率は0期が30%, Ia期が53.8%, Ib期が84.2%であった。
診断的有用性のある円錐切除 (以下円切) 43例の細胞診, 組織診についても同様に検討し, 円切前早期がん正診率29.4%が円切後診断では74.4%に上昇しており, 適応通りの円切診の重要性が唆された。
上記のような術前診断精度率の現状下では治療方法としてつぎのような見解を示した。
術前診断0期は単純子宮全摘出術 (以下単摘), 同じくIa期も準広汎子宮全摘出術 (以下準広汎) が無難であり, リンパ節廓清は必ずしも必要でないことを示唆した。
円切診断0期は円切術が充分であったかどうかよく検討し, 患者の年齢, 妊孕性等の問題を考慮したうえで治療的円切として経過をfollow upするか, 残存子宮を摘出するかを決めるべきであるが, 現状での診断精度では子宮摘出したほうが無難であると思われた。
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