日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
71 巻, 6 号
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第71回日本農村医学会学術総会特集
学会長講演
特別講演1
特別講演2
特別講演3
教育講演1
教育講演2
教育講演3
文化講演
金井賞受賞講演
シンポジウム
ワークショップ
原著
  • 齊藤 俊一郎, 久保 淳一, 先名 健太, 眞山 遼太, 佐藤 智香, 大橋 史嵩, 田畑 裕和, 小林 龍
    2023 年 71 巻 6 号 p. 505-511
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー
     転移・再発乳癌においては薬物療法が必要である。日本では,2017年12月にpalbociclib,2018年11月にabemaciclibの2種類のサイクリン依存性キナーゼ(cyclindependent kinase:CDK4/6阻害薬)が保険適応での発売となった。palbociclibは実臨床における使用報告,副作用報告は数多くあるが,abemaciclibにおいては少ないのが現状である。abemaciclib服用患者における好中球減少症の割合およびそれに伴う背景因子について調査を行なった。
     abemaciclibを服用していた患者39名のうち,対象患者は22名であり,このうちGrade 3以上の好中球減少症を発症したのは7名であった。対象患者の背景因子に関して,発現群において体重およびBMIが有意に低値であった。服用開始前の白血球(WBC),好中球数(Neutro)は発現群が有意に低かった。Grade 3以上の好中球減少症発現の予測能についてReceiver Operatorating Characteristic(ROC)曲線を用いてbody mass index BMI)のカットオフ値を算出したところ23.9(特異度85.7%,感度73.3%,ROC曲線下面積0.80)となった。算出されたカットオフ値をもとにBMI 23.9未満と23.9以上で2群に分け,Fisher's exact testを行なったところ,BMI 23.9未満において発現群が有意に多かった。
     低体重の患者では,体重あたりの投与量が多くなった結果,Grade 3以上の好中球減少症を発現しやすくなっていること,BMI 25未満の患者の中でも,BMI 23.9を下回っている患者は,特にGrade 3以上の好中球減少症を発現するリスクが高く,注意が必要であることが考えられた。
看護研究報告
  • ─ファシリテーターを担った看護師への質的研究─
    高橋 智美
    2023 年 71 巻 6 号 p. 512-520
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,独自に考案した看護記録の質向上を目指すアクションプログラムでファシリテーターを担った看護師の思いを明らかにし,課題を見出すことである。アクションプログラムとは,誰が,何時,何処で,何をどのように実施するのかを明記した研修・監査のための看護記録の質向上を目指す行動プログラムである。本プログラムでは,各ユニットの責任者から任命されたファシリテーターが主軸となって,研修の伝達及び記録の監査を行ない,スーパーバイザーを交えユニットメンバーとともにユニット検討会を実施する。本研究は,本プログラムに参加し,研究参加に同意が得られたファシリテーター6名を対象に半構成面接を実施し,質的統合法(KJ法)を用いて分析した。その結果《ファシリテーターの不利益》,《ファシリテーターの利益》,《ファシリテーターとしての成果》,《学習環境の整備の必要性》,《記録様式変更の必要性》,《アクションプログラムの修正》が挙げられた。本プログラムではファシリテーター教育を組み込んでいなかったため,ファシリテーター各々のレジディネスに差があり,不利益に繋がったことは否めない。しかしファシリテーターを担ったことは知識の習得だけでなく,ユニット内の協力体制構築に繋がった。ファシリテーターの更なる成長を目指すためにも,スーパーバイザーがファシリテーターにファシリテーションする方策も検討していく必要がある。
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