転移・再発乳癌においては薬物療法が必要である。日本では,2017年12月にpalbociclib,2018年11月にabemaciclibの2種類のサイクリン依存性キナーゼ(cyclindependent kinase:CDK4/6阻害薬)が保険適応での発売となった。palbociclibは実臨床における使用報告,副作用報告は数多くあるが,abemaciclibにおいては少ないのが現状である。abemaciclib服用患者における好中球減少症の割合およびそれに伴う背景因子について調査を行なった。
abemaciclibを服用していた患者39名のうち,対象患者は22名であり,このうちGrade 3以上の好中球減少症を発症したのは7名であった。対象患者の背景因子に関して,発現群において体重およびBMIが有意に低値であった。服用開始前の白血球(WBC),好中球数(Neutro)は発現群が有意に低かった。Grade 3以上の好中球減少症発現の予測能についてReceiver Operatorating Characteristic(ROC)曲線を用いてbody mass index BMI)のカットオフ値を算出したところ23.9(特異度85.7%,感度73.3%,ROC曲線下面積0.80)となった。算出されたカットオフ値をもとにBMI 23.9未満と23.9以上で2群に分け,Fisher's exact testを行なったところ,BMI 23.9未満において発現群が有意に多かった。
低体重の患者では,体重あたりの投与量が多くなった結果,Grade 3以上の好中球減少症を発現しやすくなっていること,BMI 25未満の患者の中でも,BMI 23.9を下回っている患者は,特にGrade 3以上の好中球減少症を発現するリスクが高く,注意が必要であることが考えられた。
抄録全体を表示