日本農村医学会雑誌
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39 巻 , 2 号
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  • 安藤 満
    1990 年 39 巻 2 号 p. 55-63
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現在, 南極大陸上空を中心に成層圏オゾンの枯渇 (オゾンホール) の拡大が観察されており, 地球全域でのオゾン減少による紫外線B照射の増大が危倶されている。紫外線B照射によって, 雪盲, 白内障, 皮膚癌のような種々の障害が引き起こされる一方, ある種の感染症に対する免疫能が低下する。非黒色腫の基底細胞癌と有棘細胞癌は, 明らかに紫外線B照射量との関係が強い。悪性黒色腫も少なくとも一部は, 紫外線B照射と関係がある。アメリカ合衆国における調査では, 高緯度から低緯度になるにしたがい, 紫外線B照射が強くなり, 黒色腫を含む皮膚癌の発生率が高くなる。
    数量的予測は困難であるが, アメリカ合衆国の疫学データーから, UNEPとWHOは1%の成層圏オゾンの減少により白内障が0.3%から0.6%, 基底細胞癌が2.7%, 有棘細胞癌が4.6%, 悪性の黒色腫が0.6%増加すると予想している。このため, 紫外線B暴露量との関連で皮膚癌の発生率の検討を世界各国で行なう必要がある。さらに, 紫外線B照射の増大が免疫を抑制し, 感染症の発症に関与する可能性について充分な検討が必要である。
  • 松下 敏夫, 青山 公治, 王 志玉, 李 卿, 小濱 木の実, 菅谷 彪, 松島 松翠, 若月 俊一
    1990 年 39 巻 2 号 p. 64-70
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1972年から1981年の間に, 41医療機関の医師から所定の様式で報告されたわが国の農業従事者における農薬による皮膚障害臨床例・630名について、統計的に解析した。皮膚障害の大部分は急性皮膚炎 (66。7%) であり, 慢性皮膚炎 (24.3%), 化学熱傷 (8.4%) や光線過敏性皮膚炎 (2.2%) がこれに続いていた。皮膚障害の原因物質は硫黄殺菌剤 (32.2%) がもっとも多く, 有機燐殺虫剤 (28.6%), ポリハロアルキル硫酸殺菌剤 (11.4%) や銅殺菌剤 (7.1%) の順であった。皮膚障害発症の原因事項は, 主として使用者の防備不十分 (41.3%), 不注意 (20.2%), 健康状態不良 (14.6%) などであった。性, 年令, 季節, 合併症, 皮膚障害の部位、予後など, その他の疫学的特徴についても解析を行ない考察した。
  • 浅沼 信治, 佐々木 喜一郎, 内藤 英輔, 黒沢 和雄, 松島 松翠, 安藤 満, 田村 憲治, 山元 昭二, 川原 一祐
    1990 年 39 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    パラコート剤は日本においてもっとも広範に使用されてきている除草剤の一種である。パラコート剤の慢性的生体影響を検討するため, 1mg, 5mg, 25mg/kg/dayの投与量で1年2か月にわたりパラコートをラットに投与した。
    慢性的パラコート剤の投与により, 肺, 心臓, 肝臓等種々の臓器に顕著な組織化学的変化が認められた。肺部においては, 1mg/kg/dayの投与量において既に, 肺の維繊化が引き起こされた。
    血清生化学検査では, アルカリフォスファターゼ活性とクレアチニンの上昇が認められた。血清コレステロール, トリグリセライド, リン脂質は著しく減少した。
    パラコートの慢性投与により脳, 腎臓, 肝臓においては著しい過酸化脂質の蓄積が認められた。
  • 酒井 潔, 杉原 俊明
    1990 年 39 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    わが国の農村における健康問題を考えると, 農業, 農村をとりまく諸情勢の変化に伴い, 農村住民の健康状態も疾病構造も変化してきている。しかも, その影響は地域または世代により一様でないと考えられる。今回, 埼玉県東北部の一農村において循環器検診を実施した。年令, 肥満度, 皮脂厚, 最高血圧, 最低血圧, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロール, 血色素, 空腹時血糖, 総蛋白, GOT, GPTの13変量の検査値について, 主成分分析を行い, 農村における循環器検診成績の総合的評価を試みた。その結果, 男女間において主成分の異った構造パターンを示した。次に, 測定された検査値のなかで, HDLコレステロールと関連している要因を段階的重回帰分析を用いて, 併せ検討した。HDLコレステロールを目的変数とし, 年令, 肥満度, 皮脂厚, 最高血圧, 最低血圧, 総コレステロール, 中性脂肪の7項目を説明変数とした。その結果, HDLコレステロールは, 男では皮脂厚, 女では中性脂肪がいずれも負の有意の相関を示した。そのほか, 総コレステロールが男女ともに正の有意性を示した。
  • 今木 雅英, 三好 保, 棚田 成紀, 村井 吉博, 棚田 昌俊
    1990 年 39 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    血清GOT, GPT活性値と食物摂取パターンの関係について, 健康な青年男子146名を対象に調査した。対象者の食物摂取パターンは, 因子分析を用して解析した。その結果, 六つの因子が抽出されたがそのうち寄与数がもっとも高い第1因子は肉類, 魚介類, 卵類, 乳類に正の高い因子負荷量が認められ「動物性関連食品因子」と推察された。また第2因子は, 米類が正の, 小麦類が負の高い因子負荷量を示し「米飯-パン・麹類型因子」であると思われる。
    統計的に有意な相関が, 血清GOT活性値と第1因子 (P<0.01), 血清GPT活性値と第1因子 (p<0.01) および第2因子 (p<0.05) との間に認められた。以上の結果から, 血清GOT, GPT活性値は摂取食物パターソの影響を受けといることが認められた。
  • 伊藤 紀克
    1990 年 39 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    北海道に多い農業機械, とくにトラクター事故の真の原因がどこにあるかを追究する目的を含めてトラクターオペレータ本人に23項目のアンケート調査と事故に対する忌揮のない意見を求めた。機械の整備, 点検のこと。90%の人が運転中に眠気に襲われた経験を持ち, 寝不足が居眠り運転になり, 事故に直結するとの認識を持っている。したがって農繁期中は十分な睡眠をとる努力をしている。眠気に襲われた時間帯はほとんどの人が午前10時と午後3~5時の二つの時間帯であったと述べている。整備不十分な機械を使用する人に事故が多いという。機械の点検, 整備には予想以上の関心を払っている。事故対策は理屈としては理解しているが, 実行が十分でない。安全フレームに対する関心はうすい。
    日内リズムの知識は全くない。作業中の休憩, 午睡は80%の人が実行している。
  • 高 開焔, 方 先業
    1990 年 39 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Large strides have been made in primary health care and services in Jinzhai County, Anhui, sincefourth-grade health care facilities at hamlet and village levels were improved under the guidance ofthe public health organization of the county.
    Worthy of special note are the establishment of the health compensation system for women andinfants, introduction of premarital education programs for the young, regular checkups for pregnantwomen, regular health screenings and vaccination for infants under the age of 7. The results havebeen outstanding.
    Mortality rates of pregnant women, nursing mothers and babies during the perinatal period have dropped remarkably. The incidence of tetanus among the neonates has been reduced to zero.
    Health inquiries have found there is a high rate of cancer of the thyroid gland. As preventive measures, iodine preparations are given to primary and middle school children. Thyroidectomy has been performed on some malignant cases.
    Meanwhile, the spread of a clean water supply system is a major task grappled with by community health officials. Although the service area is limited yet, tap water has become available. The living environment in Jinzhai County overall has been improved to a level comparable with the PHC (?) standards recommended by the World Health Organization.
    Under the slogan “Creating Better Health for All the People, ” continuous effort is being madewith 2000 as the target year.
  • 登内 真
    1990 年 39 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Diseases of the digestive system have been the most frequently occurring malady in Japan. Foremost among them is stomach cancer in terms of the frequency of incidence and poor prognosis. In recent years however the incidence of colorectal cancer, a well-known malignancy of plaguing. Western countries, has been increasing also in Japan apparently as a result of the change in eating habit, and is expected to become the highest of all the rates of malignancies affecting the Japanese population in due course of time.
    Under such circumstances, it is worthwhile to grasp the current exact status of occurrence of cancer of the digestive system in farming areas of Japan and to know the actual status of mass screening which is known to be effective in early detection of cancer, if it is to improve therapeutic results and thereby to establish ways and means of further effective cancer therapy.
    The recent improvement in therapeutic results of gastric cancer is due largely to energetic mass screening and/or complete medical checkup activities of participating institutions and a marked increase in early detection rate of disease.Positive performance of an extended radical operation, such as total gastrectomy or extra-gastric organ resection, facilitated or aided by the improved anesthetic technique and postoperative management as well as by advances in surgical technique for advanced gastric cancer certainly is also a contributing factor. In fact, therapeutic results obtained by some of the participating institutinons were not at all inferior to those achieved by national institutions as far as gastric cancer is concerned.
    Since mass screening for colorectal cancer is a formidable task apparently beyond each private institution's capacity and since, because of the anatomical position of a lesion, it may occasionally be difficult to have examinees cooperate, the mass colorectal survey system generally was less well organized and working as compared with the mass gastric survey system.
    However, the availability of immunologic testing for occult blood in stools, enema fluoroscopy and colonoscopy has made it possible to raise detection rates of early-stage cancer. As in the case with gastric cancer, extended radical operation has been performed positively andtherapeutic results improved markedly thanks to recent progress in diagnostic and operative techniques.
  • 亀谷 富夫, 五十嵐 豊, 堀上 健幸, 川東 正範, 永井 忠之, 加藤 正義
    1990 年 39 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1982年より1988年までに当科入院中に死亡した糖尿病患者74名を非糖尿病患者334名と比較しその直接死因を検討した。糖尿病患者はすべてインスリソ非依存型糖尿病でその直接死因は, 悪性新生物35.1%, 虚血性心疾患17.6%, 感染症12.2%, 脳梗塞と糖尿病性腎症がそれぞれ9.5%であった。虚血性心疾患および脳梗塞は, 非糖尿病患者の約2倍の頻度であった。腎不全は約6倍の頻度であった。死亡年令別にみると, 61才以上では虚血性心疾患と腎症の増加が認められたが, 60才以下では脳梗塞の比率が高かった。糖尿病罹病期間の長い群に, 虚血性心疾患と脳血管障害の増加が認められた。過去の集計と比較すると, 直接死困では悪性新生物と虚血性心疾患の比率が上昇しており, 逆に糖尿病性腎症と糖尿病性昏睡の低下が目立った。以上より糖尿病患者治療上, 癌検診もぜひ必要と考えられた。また, 虚血性心疾患や脳梗塞の動脈梗化性疾患の予防のさらなる進歩が必要と考えられた。
  • 瀧原 博史, 植野 卓也, 城嶋 和孝, 城甲 啓治, 中山 純, 酒徳 治三郎
    1990 年 39 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1986年1月から1989年8月まで山口県厚生農業協同組合連合会小郡第一総合病院において4例の尿中結核菌培養陽性例を認め, これは総外来新患者の0.66%に相当した。1例は, 腎尿路結核未治療例, 3例は膀胱腫瘍治療のためのBCG注入中による一過性結核菌培養陽性例であった。また同時期に経験された陳旧性腎結核患者2例に対して腎摘出術が施行されている。近年, 尿路結核は減少しているとされているが, 難治性の尿路感染症のあるときには, 結核菌培養やX線検査, 膀胱鏡および生検等を施行することはいぜんとして泌尿器科臨床上重要であると思われた。
  • 1990 年 39 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 1990/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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