日本農村医学会雑誌
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57 巻 , 2 号
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原著
  • 宮島 雄二, 北瀬 悠磨, 鈴木 俊彦, 林 直子, 坂本 昌彦, 大江 英之, 城所 博之, 久保田 哲夫, 加藤 有一, 小川 昭正, ...
    2008 年 57 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2008/10/06
    ジャーナル フリー
     小児特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) 87例の臨床的検討を行なった。初発時の臨床像として,発症年齢は0~4歳が71.3%,血小板数は1×104/μl未満が49.4%と,多くの症例が年少児で著しい血小板減少を伴っていた。初発時治療は,大量グロブリン療法が60例 (69.0%),ステロイド療法が10例 (11.5%),無治療が17例 (19.5%)であった。血小板数2×104/μl未満の症例では90%以上が治療を受けていたが,2×104/μl以上の症例では無治療観察が多かった。頭蓋内出血など重篤な出血はなかった。慢性型の頻度は17例 (19.5%) であった。慢性型の平均年齢は6歳3か月で,急性型 (2歳8か月) より有意に高かったが,性別や血小板数や初発時治療では有意な差はなかった。慢性型と診断された症例でも35.3%はその後血小板数が正常化した。現在も5×104/μl未満の症例は全症例の3.4%,慢性型の17.6%で,小児ITPの生活の質を含めた予後は良好であった。Helicobacter Pylori (H. pylori) 感染が認められたのは慢性型の7.1%,急性型の5.3%で,除菌療法なしでも血小板数は改善しており,小児ITPにおけるH. pylori感染の関与は低かった。
報告
  • 白井 大悟
    2008 年 57 巻 2 号 p. 66-70
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2008/10/06
    ジャーナル フリー
     国民健康保険川上村診療所のある川上村は長野県の最東端に位置し,群馬,埼玉,山梨県との県境を有する人口約4,700人の村である。医療機関は当診療所と,木村医院分院の2か所で,共に無床である。救急車搬送は後方病院のJA長野厚生連佐久総合病院 (以下佐久病院) まで約35kmを搬送する。2005年7月,長野県にドクターヘリコプター (以下ドクターヘリ) が就航した。2005年7月から2006年12月までにドクターヘリの運行が可能な時間帯の病院間搬送75例を対象とした。そして救急搬送における重症度・緊急度判定基準委員会報告書に基づき搬送の形態別に時期,疾患内容,重症度を検討した。全症例のうち17例はドクターヘリを利用し,全体の23%であった。時期別では前半9か月間では全体の19%,後半9か月間では26%であった。疾患内容別では内科系疾患76%,外科系疾患24%であり,重症度別では軽症12%,中等症41%,重症29%,重篤18%であった。転帰は1例が3日後に死亡し,その他は2か月以内に退院か転院した。ドクターヘリの利用率は低く,搬送手段として定着したとはいえない。また外科系疾患はドクターヘリで搬送すべきか否かの判断が難しかった。救急隊,後方病院と適応を検討していくとともに,primary careとしてのさらなる救急医療の能力が必要である。
症例報告
  • 小野 満也, 北澤 彰浩, 長 純一
    2008 年 57 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2008/10/06
    ジャーナル フリー
     症例は61歳男性。平成17年2月皮膚筋炎,肺線維症と診断。在宅酸素療法 (HOT9L/分),訪問診療を開始した。慢性呼吸不全による呼吸困難に対して,往診で免疫抑制薬シクロフォスファミドの点滴を施行し,良好な経過が得られた。地域ケア科往診専門医師が訪問診療で全身管理を行ない,訪問看護ステーション・在宅介護支援センターによる患者および介護者の在宅ケアが行なわれ,膠原病内科医はその連携のもとに免疫抑制薬の往診点滴治療を行なった。通院困難な慢性呼吸不全であっても,こうした連携により在宅での専門治療が可能であった。
  • 櫻田 圭介, 嶋田 誠司, 岸野 美代子, 佐藤 嘉寿, 袴田 佳奈恵, 三浦 利哉
    2008 年 57 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2008/10/06
    ジャーナル フリー
     膝複合靭帯損傷により,前十字靱帯 (anterior cruciate ligament: ACL) 及び後十字靱帯 (posterior cruciate ligament: PCL) 同時再建術を施行された1症例に対し理学療法を行なった。
     術後プログラムは,1996年の遠山の報告を基にし,さらに当院のACL及びPCL単独損傷後における各術後プログラムを組み合わせ作成し,理学療法 (physical therapy: PT) を行なった。
    〔結果〕術後4か月で膝可動域 (range of motion: ROM) は正常となった。術後16か月で,膝不安定性は認めず,筋力はピークトルク・180°/sec・患健比で大腿四頭筋 (quadriceps femoris: Quad) は87%,ハムストリングス (hamstrings: Ham) は103%,膝運動能力は下肢機能的運動能力テスト (functional ability test: FAT) で4種目全てが良好となった。
     ACL及びPCL同時再建術後PTのポイントは,以下の3つである。第1に,再建靭帯 (特にPCL) の最低限の成熟が期待できる時期まで,ACL及びPCLのストレスを最小限に抑えるため,Quad・Hamの同時収縮を中心とした筋力強化を膝軽度屈曲位で行なうこと,また,Hamの単独収縮を避けることである。第2に,膝拘縮により授動術を要する可能性が高いため,主治医と膝ROMの回復経過について密に連絡をとることである。第3に,膝運動能力向上のために,協調性トレーニングを十分に行なうことである。
短報
  • 深見 沙織, 朱宮 哲明, 山田 千夏, 長谷川 京子, 杉山 一秀, 尾崎 隆男
    2008 年 57 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2008/10/06
    ジャーナル フリー
     嚥下困難食を喫食する高齢入院患者の蛋白・エネルギー低栄養状態を防ぐために,現在の嚥下困難食の問題点を洗い出し,その改善に取り組んだ。トロミ剤を見直し,でんぷん系増粘剤からキサンタンガム系増粘剤に変更したことにより,時間経過や温度変化による粘度変化が減少した。ソフト食用ゲル化剤を新たに採用し,それを活用して型抜きなどを行なうことにより,見た目がよく,また付着性が低く凝集性の高い滑らかな食感となり,嚥下困難食に適したテクスチャーが得られた。これまでのミキサー食からソフト食への変更により,見た目および食感の改善された食事になった。
     当院入院中の嚥下困難食喫食者5名を対象に,改善前後の食事摂取量の変化を調査した。4名に改善後の摂取量の増加を認めており,見た目および食感の改善された事が食欲増進に繋がったと思われた。今後もこの取り組みを続け,できるだけ早期の固形食への移行を目指したい。
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