土木学会論文集
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1999 巻, 618 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 吉田 朗, 原田 昇
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 1-13
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 都市圏規模のトリップ分布量を予測するために, 選択肢集合の確率的形成を考慮した2つの目的地選択モデルを提案する. まず, 目的地の効用がある閾値を超えたときのみ, 選択肢に選別されると仮定し, 選別確率モデルを定式化した. そのうえで, 第一のモデルは, 目的地の効用関数が選別の閾値によって切断されることを仮定した選択モデルである. 第二のモデルは, 従来の選択肢サンプリングの考え方を発展させたものであり, 選択肢の選別を自らの選択肢サンプリングとみなし, それを内生化する選択モデルである. 実証分析を通じて, 2つの提案モデルが統計的に有意であり, ゼロ・トリップを含む現況のOD表を十分に再現できることを示した.
  • 今田 寛典
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 15-26
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    夜間雨天時において凹凸区画線の凸部が視認性向上にどのような効果を示すのかは定量的に示されていない. 本研究は, 降雨条件, 凸部の形状や凸部の密度が変化すると再帰反射係数がどのように変化するかを理論的に考察し, 凹凸区画線の特性と効果を確認した.
    得られた知見は以下のように要約できる. (1) 晴天時と同様に雨天時においても凸部が再帰反射光量を常に増加させるとは限らない. (2) 凸部の傾斜面から限界値以上の再帰反射係数が得られる傾斜角度の確保が重要である. (3) 傾斜面への添加ガラスビーズの増大が効果的である. (4) 凸部の高さは, 降雨強度, 凸部の密度, 設置位置を考慮して決める必要がある.
  • 渡辺 義則, 角 知憲, 清田 勝, 秦 裕二郎
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 27-37
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 自転車で通学する高校生を対象に自転車利用者の経路選択モデルを提示した. モデルの定式化は, 自転車利用者が経路を選択する際, 距離の短い経路を選択しようとすることを基本とするが, それだけではなく, 自転車歩行者道または歩道と車道の道路・交通条件, 交差点の数や坂の勾配などの要因からなる非効用が最小になる経路を選択すると仮定して行った. そして, 北九州市内で男子高校生の自転車通学経路を調査し, モデルに含まれている諸係数を推定した. その結果, 通学経路を構成するリンクの自転車通行台数の実測値とモデルによる推定値は比較的近い値を示したので, 本研究で提示したモデルは充分な説明力があること, 最短距離以外の経路を選択した人も少なからず存在することなどが認められた.
  • 赤松 隆, 高松 望
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 39-51
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 渋滞を考慮した動的な交通配分の枠組みでは, 静的な配分の場合とは異なり,“フローの方向性”が, ネットワーク・フロー・パターンに本質的な影響を与えることを明らかにする. より具体的には, 多起点1終点をもつネットワークと, その起終点およびリンクの向きを反転して得られる1起点多終点ネットワークの各々におけるフロー・パターンの比較を行う. 静的配分では, 両ネットワークにおけるフローパターンは全く同一である. しかし, 動的配分では, 両者は全く異なったものとなることが示される. さらに, その違いが端的に現れた例として, 道路容量増量に関するある種のパラドクスを議論する.
  • 溝上 章志, 柿本 竜治
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 53-60
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 同一個人のRPとSPなどの複数データを用いて離散型選択モデルを推定する際に, 推定されるべきモデルの誤差項に内在する系列相関項を陽な形で算出する理論的, かつ実用的な手法を提案する. 立地行動と手段選択行動という2種類のデータによるモデルの適用可能性の検証を行った結果, RP/SP同時推定モデルやRP/SP同時推定に状態依存項を導入したモデルよりも尤度比や的中率などの適合度指標の値がかなり向上すると同時に, 各説明変数の統計的有意性も向上する結果となった. また, 系列相関項と状態依存性項との重共線性の存在を実証的に説明した.
  • 森川 高行, 佐々木 邦明, 山本 尚央
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 61-70
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 家計の年間の観光日数を連続型選択変数, その中の各観光形態への割り振りを離散型選択変数として扱い, 森杉らの提案した古典的消費者行動論に基づいた離散連続選択モデルを用いて非集計レベルで家計の観光行動を表現する. 平成4年に建設省によって行われた全国観光交通実態調査データを用いてパラメータ推定を行い, 全国の主要都市における観光行動の差異を所得, 物価, 自然の残存量, 国際空港の利便性などと関連づけて考察する. さらに各観光財や一般財の物価, 国際空港の利便性などの変化に対する政策分析も行った.
  • 榊原 弘之, 岡田 憲夫
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 71-81
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ダム更新整備プロジェクトにおける純便益配分法について, ゲーム理論を援用した考察を行う. ダム更新整備プロジェクトは, 既存の事業者が既に存在しているサイトに新規の事業者が参加する点で, 新たに多目的ダムを建設する場合よりも費用及び便益の配分に関する問題は複雑である. 本論文では, この既存, 新規事業者間の立場の相違をサイト所有者に対する許可構造の有無として解釈し, その構造を反映させた純便益配分法の提案を行う. 次に, 既存事業者の優位性を制約するためのルールとして, 利用権に時間的制限を設定する方式を考え, その有効性について分析する.
  • Jian-Shiuh CHEN, Kunzang WANGDI
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 83-94
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    This paper is aimed to develop a new road surface management system (RSMS) that is simple, practical and affordable for developing countries to adopt it. The method of evaluating pavement surface based on visual inspection is first proposed. The pavement condition index (PCI) is adopted and modified to be flexible so that any particular circumstances in developing countries can be added. A pavement performance model is, then, established to predict road surface distress condition, and used as a basis of estimating pavement maintenance costs. A case study of applying RSMS to Bhutan is conducted to show that RSMS can properly serve decision-makers as an effective tool for road surface management.
  • 清水 英範, 堤 盛人, Le Van TRUNG
    1999 年 1999 巻 618 号 p. 95-104
    発行日: 1999/04/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    リモートセンシングデータの分類問題へのノンパラメトリックな接近法の一つとして, 近年, 階層型ニューラルネットワーク (LNN) を用いた分類モデルが注目され, 従来の最尤法による手法等と比較しても高い推定能力を有していることが確認されている. しかし, この高い推定能力は, LNNの関数としての複雑さとその学習方法に支えられているのであり, 安易な適用はモデルとしての汎化性 (未知データに対する推定能力) を著しく損ねることが指摘されている. 本研究ではLNN分類モデルの汎化性問題について, LNN分類モデルの出力がベイズの事後確率を近似することを利用し, 情報量統計学の視点から整理を行った. 次に, 情報量基準の一つである赤池の情報量基準を用いた汎化性向上の設計手法を示し, 実際の土地被覆分類問題に適用してその有効性について検討した.
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