本論は, 道路景観の形成に多大な影響を及ぼすと判断される道路系公共物を対象に, 韓国における現行法制度の現状の把握および課題抽出を目的とし, 道路系公共物を取り巻く韓国の関連現行法制度の体系化を図り, その法的特徴による分類を試みたものである.さらに, 日韓の比較により, 互いに違うイメージの道路景観を形成した原因の究明を行った.その結果, 韓国が法律上道路外公共物を許容せず, 現行法制度上の道路系公共物は4つに分類できたこと以外は, 日韓における現行法制度上の相違点はあまり認められなかった.そのため, 設置・形態に関する規制の問題や設置・管理運営における体制の問題, 景観形成のための総合的な考慮がされていない面など, 日本と同じような課題を抱えており, 景観の観点に立った法律的補完や設置・管理担当者同士のより緊密な連携等の行政側の改善と, 施工技術の向上, 一般市民のさらなる意識の向上が形成されれば, 総合的に調和のとれた道路景観形成が可能であることもわかった.
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