本報告は, 1970年~1975年に富山県で発生したコンバイン災害事故で, 主として医療機関関係から得た548件の情報にもとづいて実態を調査し, その要因を多元的に分析した結果である。分析に先だち, 要因の種類を単独要素として, 機械的, 環境的, 人的要因の3種, 2要素の複合要因として, 機械+人的, 機械+環境的, 環境+人的要因の3種, 3要素の複合要因として, 機械+環境+人的要因の計7種に類別した。以下その結果を要約する。
(1) 要因別の割合は, 機械+人的要因が最も多く69.4%, 以下, 人的要因14.2%, 機械+環境+人 的要因10.0%が主であった。
(2) 機械+人的要因では, 不安全装備+不安全動作が48.9%, 機能不良+不安全動作が32.4%と多い。この要因に関連する事故の大部分は, オペレータの不安全動作と機械の不安全装備および機能不良に関係していた。
(3) 人的要因では, オペレータの不安全動作による事故80.7%で大部分を占め, 年令による潜在事故とみられるもの16.7%, 不安全服装2.6%であった。
(4) 環境+人的要因では, 不安全時刻+不安全動作による事故37.5%, 不安全場所+不安全動作25.0%が多い。つまり, この要因に属する事故の大部分は, 日没直前の環境不良や場所の不安全さが, オペレータの不安全な動作, 行為と関連していた。
(5) コンバイン事故を直接加害物件となった機械部位別にみると, フィードチェーン38.3%, カッター33.9%, ベルト17.9%などとなっていた。機械的因子の関係では, フィードチェーンが不安全装備80.6%, カッターは機能不良68.5%, ベルトは不安全装備87.0%が最も多い。
抄録全体を表示