近年のわが国では, 集中豪雨による都市水害が毎年のように発生していることから, 浸水被害を予測するためのシミュレーションモデルの開発が盛んに行われている. 本研究では, 低平地河川流域として水害常習地である大阪府の寝屋川流域に着目し, 都市域の氾濫解析モデルとして, 1) 山地部, 2) 河川網, 3) 下水道網, 4) 堤内地の4つのサブモデルからなる統合型氾濫解析モデルを構築した. 1999年8月の実績降雨を用いてモデルの検証を行ったところ, 堤内地の氾濫規模に関してはうまく再現できることを確認した. さらに, 寝屋川流域の治水計画の対象降雨となっている1957年の八尾実績降雨と, 2000年東海豪雨災害時の名古屋での降雨を流域全体に一様に与えた解析により, 雨水の時間的・空間的な分布を表現し, 浸水危険区域を指摘することができた.
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