最近, 韓国の農家では, ハウスの普及率が増加するのに伴いハウス症候群の愁訴率が高まっている。本研究では, ハウス病の予防対策をたてるために, まず, ハウス内の作業実態を把握し, その改善について検討した。方法としては冬と春にそれぞれ3種類のハウスを選び, ハウス内の温度, 湿度, CO
2濃度, ハウス内外の温湿度差, 作業者の皮膚温, 脈拍・血圧, 衣服内温湿度, 主観的感覚 (温熱・湿潤・快適感), 発汗量などを測定し, 労働負担の軽減策及びハウス内作業環境改善対策を検討した。その結果,(1) ハウス内部環境は, ハウスの大きさ, 向き, 形態, 栽培作物の種類, 外部環境温変化により著しく変わっていることがわかった。また, ハウス内の環境条件と作業内容により人体の生理反応も影響を受けていた。本実験では, 同じ作物を栽培したハウスであっても, 小規模の単棟型が連棟型よりももっと不利な作業環境条件であった。(2) 冬季のハウス内外の温度差は16~23℃ でハウス出入りの際に人体にかかる熱的負担の直接的な原因となっていた。(3) 春季ハウス内部の温度が最高50℃ にまで上昇したため, ハウスで長期間作業した作業者に加わる肉体的, 精神的な負担が大きくなっていた。(4) 休憩室を備えた改良型の場合, ハウスへの出入りによる環境条件の変化に対する人体の生理反応の変化幅は, 他のハウスの場合よりゆるやかに変わる傾向を示した。従って, ハウス作業時に休憩室を設置し, 安全のための方策を守ることは, 急激な環境変化による人体の負担を軽減し, 環境変化への対応を容易にし, 健康障害の予防に役立つこと等を確認した。
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