土木学会論文集
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1997 巻, 572 号
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  • 鈴木 幸一, 山本 裕規, 徳安 芳典
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 1-9
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河床の局所洗掘防止のための捨石工を粒径の異なる多層石礫層で構成し, 相接する層間で物理的に石礫の移動がないいわゆる逆フィルター効果を利用することによって全体の捨石工の層厚を減少させるための, 各層の満たすべき石礫粒径や層厚の条件を実験的に検討した. すなわち, 上層の被覆捨石層の空隙を河床の砂礫が物理的に抜け出せない粒径条件および物理的に抜け出せても石礫層の減衰効果によって河床砂に作用する吸い出し力が砂の限界掃流力より小さくなるという条件を組み合わせることによって, 石礫層厚を小さくさせる合理的な多層捨石工の設計基準を明らかにした.
  • 杉山 均, 秋山 光庸, 亀澤 正之
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 11-21
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    曲がり開水路流れには遠心力が作用し, かつ自由水面の存在よりその流動挙動, 乱流構造は複雑である. 本研究では直線開水路を出入口に有する曲がり開水路を対象に代数応力モデル, 境界適合座標系を用い解析を行った. 解析結果は実験と比較し本解析手法の有用性を検討するとともに, 直線開水路を含めた三次元開水路として計算を行い曲がり入口, 出口近傍における第一種から第二種へのあるいは逆の場合の二次流れの遷移挙動に関しても検討を加えた. その結果, 本解析手法は曲がり開水路流れ場の特徴的現象を比較的良好に予測するとともに, 曲がり開水路入口上流, 出口下流の直線開水路では曲がりの影響が二次流れに顕著に現れることを定量的に明らかにした.
  • 浅枝 隆, 有田 正光, Pham Hong Son
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 23-31
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    河川中に長く侵入する塩水楔の遡上を阻止するとともに生態系に良い効果をもたらす手法としてエアカーテンを使用する方法が考えられる. 本研究においては河川流量, 塩水の濃度, 空気の注入量などの諸条件を変化させてエアカーテンによる塩水楔遡上阻止のメカニズムを実験的に検討した (ただし, 水深は一定とした). また, 実験的に観察された流況より塩水楔の遡上が完全に阻止しうるタイプAから効果が極めて小さいタイプCの三種のタイプに分類可能であることを明らかにした. さらに, k-ε法による流れの場の数値シミュレーションモデルを開発し, その妥当性を検討した. 最後に, 実験結果および数値計算結果より各種タイプが出現する水理条件を検討し, また, それぞれのタイプの出現領域分割図を示した.
  • 道奥 康治, 神田 徹, 伊藤 達平, 西川 孝晴, 石川 勝久, 東野 誠
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 33-48
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    対象とする貯水池は, 底層で物質濃度が高く, 水温勾配が逆転しており, また年間を通じて貧酸素水塊が安定に維持される部分循環貯水池である. この特徴的な水温・水質構造の形成要因と水域の富栄養化現象との関連性を明らかにするために, 多項目の水質指標を計測・分析した. 底層付近では鉛直下方に水温が増加し不安定な水温勾配を呈するにもかかわらず, 底層水塊が通年的に滞留している. 水質観測より, 貯水池底層から下層には逆転水温勾配の密度欠損量を補償するに十分な高濃度の溶解性物質・浮遊物質が含まれることが明らかになつた. 鉄・マンガンなど金属成分は底層が貧酸素化した他の水域でも観測されるように高濃度を呈するが, その重量百分率は比較的小さく, 底層水の密度構成に寄与する主成分はカルシウム, 強熱減量から推定される有機物質濃度, などであった. 貯水池水の水質分析に基づいて水質輸送過程を考察し, 水質構造の形成要因, 富栄養化と水質分布との関連性を実証的に明らかにした.
  • 由比 政年, 石田 啓
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 49-61
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    海底地盤を直交異方性の土粒子骨格と気泡を含む間隙水の混合体としてモデル化し, 地盤の力学的異方性および透水異方性が海底地盤の波浪応答特性に及ぼす影響を理論的に検討した. まず, 直交異方性海底地盤の波浪応答に対する解析解を陽な形で求め, 応答を特徴づける無次元パラメータを飽和地盤と不飽和地盤のそれぞれの場合について抽出した. 次に, 地盤内の間隙水圧や有効応力の変動と地盤の力学的異方性および透水異方性との関連を検討し, 異方パラメータの影響を明らかにした. また, 直交異方性地盤と等方性地盤の波浪応答特性に関する比較を行い, 異方パラメータが互いにその影響を強め合う場合には, 地盤の異方性の影響は無視できないことを示した.
  • 小川 進, 佐野 茂
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 63-72
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    粒状活性炭ろ過による高度浄水処理施設の運転管理のために, ろ過筒の損失水頭及び逆洗時の膨張率の理論式を導出した. これをもとに2つの実験式を求めた. 損失水頭の式は流速, 粒度, 温度の項からなり, 膨張率の式は逆洗速度, 粒度, 温度からなる. いずれも実験値と高い相関があり, ろ過池の設計ならびに運転管理に応用できる. また空気及び水洗浄法において, 空気洗浄後の水洗浄の最適逆洗水量を理論式より求めたが, 空気洗浄時に使用した水量の約5倍量となった. さらに粒度の一連の関係式を導出したが, これは活性炭コストの低減及び粒度の調整にも応用できる.
  • 朱 春黙, 浮田 正夫, 加納 正道, 今井 剛, 関根 雅彦
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 73-83
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    浄水場から送水される浄水は, 送・配水施設を通過する過程で, THMの増加と残留塩素の減少などの水質の劣化を受ける. 本研究では, 有限要素法による管網解析手法を発展させ, 管網内の配水池から観測地点までの水の流下経路, 各経路毎の流量および水の滞留時間の解析手法について検討した. また, THMと残留塩素を管網内の水質の指標として, 実験によりTHM反応速度式の定式化を行った. これらの結果より, 各節点における合流や分岐の条件を考慮して各節点の残留塩素およびTHM濃度を予測する方法を提案した. これを実際の管網に適応し, 水質調査の結果と照合して解析方法の有効性を検証した.
  • 田中 仁, Mutlu Sumer, Jørgen Fredsøe
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 85-90
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    層流時のクノイド波動下における底面境界層の解析解を導いた. 解はフーリエ級数の形で表されている. これにより, アーセル数などの波の諸元が与えられれば, 初等関数の計算だけで流速, 底面せん断力などを求めることが出来る. 計算の結果, 谷位相と峰位相での最大せん断力, その位相の進み, 境界層厚さなどが, アーセル数の増加に応じて変化し, 正弦振動流下とは顕著に異なる特性が見られた. また, 底面せん断力の経時変化も正弦波形から大きく異なるようになる. 実験によりここに示した理論の妥当性の検証を行った結果, 良好な一致が見られた.
  • 小川 進, 佐野 茂
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 91-94
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    東京都水道局金町浄水管理事務所における活性炭ろ過筒の逆洗の最適条件を決定するために, 基礎実験を行った. 活性炭の逆洗は, 空気洗浄と水洗浄とを連続して行う. 実験により, ろ過筒の活性炭層の損失水頭は表層~50cmまでがほぼ全損失水頭に相当することがわかった. したがって, この層を重点的に空気洗浄することとした. モデル実験の結果, 洗浄時の水位, 時間及び同時注入する空気量の最適値が求められた. さらに, 水洗浄の最適水量は逆洗速度と時間の積がほぼ一定であることが確認され, その量は空気洗浄で使用した水量の約5倍となった. また, 最適条件によれば, 従来と比べ, 時間で70%の短縮, 水量でも70%もの節減が期待されることになる.
  • スハリャント アグス, 杉尾 哲, 出口 近士, 國武 昌人
    1997 年 1997 巻 572 号 p. 95-104
    発行日: 1997/08/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不浸透面積率を衛星リモートセンシングデータから推定し, この値を都市河川流域の流出解析に適用した. これにより, 洪水時の水位に対する各戸雨水貯留施設および公共雨水貯留施設の制御効果を検討した. この解析結果から, 洪水ピーク水位の増加率は流域全体の不浸透面積率の増大にともなって減少すること, また, 雨水貯留施設は, 洪水時の水位の低下によって浸水の発生を減少させる効果を持つが, 浸水後の水深の低下にはそれほど効果がないことなどが明らかになった.
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