本研究では, 個人の生活行動形態を考慮した居住地域評価, 交通政策評価をするための基礎指標を開発すべく, 生活行動を効用理論でモデル化した上で, その最大期待効用 (本稿では期待生活効用と呼称) を定式化した. そして, PTデータを用いて選択肢集合の不確実性を考慮したパラメータ推定を行い, 居住地-就業地別の就業者セグメントの期待生活効用を算定した. これらの算定計算を通じて, 本研究では, 活動サービスの消費に伴う限界効用が逓減し, かつ, 限界効用を活動時間の逆比例関数として定義できること, また, その限界効用は地域属性に影響を受けていることが示された. また, 居住地や勤務地における地域属性や通勤時間が生活の質に影響を及ぼしていること, さらに, 職住近接が望ましいこと, が期待生活効用を用いた算定例から示された.
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