土木学会論文集
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2004 巻, 756 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 清水 和彦, 石丸 恒存, 前川 恵輔
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 1-20
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物は, 地下深部の岩盤中に埋設処分 (地層処分) される. わが国では, 1999年に核燃料サイクル開発機構が行った研究開発の「第2次取りまとめ」によって地層処分の技術的信頼性が示され, 2000年以降, 法令の整備, 実施主体の設立, 安全規制の枠組み作りが進むなど, わが国の地層処分計画は事業段階に踏み出した. 事業に先行して, 信頼性のさらなる向上を目指した研究開発が着実に進展している.
  • 佐藤 宏志, 渡辺 仁, 品部 耕二郎, 小泉 淳
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 21-31
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ダクタイルセグメントは使用期間が最も長いものでは約37年あまりが経過したが, 二次覆工が行われない場合も多いため, その耐食性, 耐久性が問題になると考えられるが, その実態は従来ほとんど明らかにされていなかった. 本論文は, 供用中のダクタイルセグメントの腐食に関する継続的な調査結果を分析し, ダクタイルセグメントの耐久性を考察するものである. まず, セグメントの肉厚測定の方法およびその信頼性について述べ, 次に調査の内容およびその結果を述べる. この調査結果から, ダクタイルセグメントの主要肉厚は少なくとも24年間においてほとんど減少していないことがわかり, ダクタイルセグメントは現在のところ健全性を維持しており, 今後も長期間使用できると考えられる.
  • 庄 健介, 山崎 裕史, 北村 泰寿
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 33-47
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    供用中の構造物の振動特性を簡便に調べる方法に重錘による打撃試験がある. この試験は橋脚の健全性一次診断法として, 重錘打撃による橋脚の実測応答波形が解析モデルを用いて計算した計算応答波形と一致するように部材のヤング係数や支持地盤の地盤ばね定数等の諸定数を推定し, この推定値と設計値とを比較することにより, 橋脚の健全性を判定する方法である. 本研究では, この方法を立体ラーメン高架橋の損傷診断に応用することを意図して, 撤去予定の立体ラーメン高架橋に段階的に損傷を与えながら重錘による打撃試験を実施し, 立体ラーメン高架橋に与えた損傷を検知する方法について検討した.
  • 三木 茂, 寅岡 千丈, 吉田 幸信, 進士 正人, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 49-59
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, トンネル弾性波探査にトモグラフィ的解析法 (トモグラフィ法) が用いられるようになった. トモグラフィ法を適用する場合, トンネル計画面全体にわたり波線が通過することが望ましい. 既に実施された96本のトンネル (153測線) の弾性波探査結果についてトモグラフィ的解析法による再解析を行い, 弾性波探査の実施状況について検討を行った. 筆者らの解析の範囲では, 検討したトンネルの43%で波線が完全には通過しない結果となり, 主要な原因としては, (1)土被りが厚い, (2)主測線を分割している, (3)起振点配置や受振距離の設定がトモグラフィ的解析に適切でないなどが挙げられた. ここでは, 再解析結果に基づき, トモグラフィ的解析を適用する際の弾性波探査実施上の留意点と対応について報告する.
  • 林 康啓, 今井 淳次郎, 吉塚 守, 鈴木 雅行, 重田 佳幸, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 61-74
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    火山噴火による地殻変動や地震などの自然災害が原因でトンネルに変状が発生する場合がある. このような変状が発生した場合には, 既往の基準を参考として各々のトンネルにおいて対応されてきており, 復旧対策工選定のための判断基準の整理が望まれている. 本研究では, 自然災害における復旧対策工選定基準の策定に寄与することを目的として, 有珠山噴火により被害を受けた洞爺トンネルの変状事例を整理・分析した. また, 既往の基準と洞爺トンネルにおける復旧対策工選定基準を比較することで自然災害における復旧対策工選定基準の特徴を整理した.
  • 上村 正人, 梨本 裕, 椙山 孝司, 青木 宏一, 進士 正人, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 75-87
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 都市部における離隔距離1m程度の近接トンネルでは, 通常, めがねトンネル形式が適用されている. しかし, この形式では, 重要な構造部材であるセンターピラーの安定性や構築に伴う工期, 工費などをはじめ, その施工における安全・環境上の諸問題を抱えている. そこで筆者らは, センターピラーを構築せず, 中間部の地山を補強した近接トンネル, さらには中間部の地山を残置せず, 離隔を設けない新しい近接トンネル工法を考案し, めがねトンネルで計画されたトンネルにおいてそれらの工法を適用した.
    本文は, このセンターピラーを構築しない近接トンネルの設計の考え方を示し, 施工時の計測結果からセンターピラーを構築しない近接トンネル工法の適用性について記述する.
  • 山崎 浩之, 向井 雅志, 山田 岳峰, 三原 孝彦, 横尾 充
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 89-99
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既設構造物直下地盤の液状化対策工法として曲がりボーリングの技術と薬液注入工法の技術を融合した液状化対策工法が考えられている. 同工法は, 従来からの直線ボーリングによるものと比較して既設構造物直下地盤に対しては適用性が高いが, 未だ現地での適用例はなく施工精度等は不明であった. ここでは, 曲がりボーリングを利用した液状化対策工法の現地実験を行い, その施工精度等の確認を行った. その結果, 改良体の出来形等は従来の直線ボーリングによるものと同等であることを確認した.
  • 小島 芳之, 吉川 和行, 六車 崇司, 小林 朗, 若菜 和之, 松岡 茂, 朝倉 俊弘, 呉 智深
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 101-116
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 最近トンネル覆工コンクリートの剥落対策として普及している, 炭素, アラミド, ガラス等の繊維シートを覆工内面に樹脂により接着する工法 (以下「繊維シート接着工」) に着目し, その設計法と選定法を提案するものである. まず, 過去の剥落事例を調査したうえで, 剥落事例ごとの要因の分類とその特徴を考察し, 剥落対策工としての効果を把握するために押抜き実験を行った. また, 押抜き実験の結果を繊維シートとコンクリートの剥離破壊エネルギーに基づいた解析解やコンクリートの引張軟化特性を用いた解析解と対比することにより, 繊維シート接着工による剥落対策設計法を提案した. さらに, 以上の結果に基づき剥落形態を4段階に区分し繊維シート接着工の選定法の大まかな考え方を整理した.
  • 大津 宏康, 尾ノ井 芳樹, 大西 有三, 高橋 徹, 坪倉 辰雄
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 117-129
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 地盤リスクを構成する力学的要因に着目し, 地盤統計学を用いて地盤リスクに起因する建設コストの変動と調査費用の関係を定量的に評価する手法について検討を加える. 従来の筆者らの研究では地盤リスク評価において, 幾何学的要因については計測値を直接用いるクリギング手法を適用したが, 力学的要因については岩盤等級等の離散値が用いられることが多いため, 計測値を閾値として用いてその確率分布を推定するインディケータクリギングを適用する方法を提案する. さらに, この手法を用いて, 実際のトンネル建設プロジェクトでの力学的地盤リスクが建設コストに及ぼす影響について示すとともに, その結果に基づき調査工事の投資対効果についても検討を加える.
  • 吉本 正浩, 阿南 健一, 大塚 正博
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 131-144
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, シールドトンネルの設計に限界状態設計法を適用するための施工時荷重状態の考え方を示している. 既往の施工記録の分析によれば, 施工時におけるジャッキ推力とテールシール圧とがセグメントに損傷を与える可能性が高い. このうち, ジャッキ推力の影響はセグメントの組立状態に不陸がない場合とある場合とに分け, 不陸がない場合は模型実験結果より照査方法を示した. 不陸がある場合は, 実工事の不陸の程度と模型実験の損傷性状との比較により設計上の考え方を示した. テールシール圧の影響は, 実現場の荷重計測記録より荷重の特性値を算定した. そして, これをもとにした構造計算により, テールシール圧の影響によるセグメントの損傷状態を推定し, この損傷の防止のための設計上の考え方を示した.
  • 北本 幸義, 伊達 健介, 山本 拓治
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 145-156
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 都市域をはじめとする土かぶりの薄い未固結地山において, 経済性や断面形状の面からいわゆる山岳トンネル工法を採用する工事例が増加している. このような施工環境下では, 切羽の安定や地表面の沈下防止を図る補助工法が不可欠であり, 従来, 長尺鋼管フォアパイリングが多く採用されてきた. しかし, コストやサイクルタイムに関する問題点も存在していることから, 長さが約半分の鋼管を用いて打設間隔や打設角度などに工夫を加え, 長尺の場合と同等以上の補強効果とコスト縮減, 工期短縮を可能とする中尺鋼管フォアパイリングを開発した. 本論文では, 中尺鋼管フォアパイリングの地山補強効果に関する室内模型実験による検証結果と, 実現場に適用した施工事例およびその計測結果について報告する.
  • 小田 惠之輔, 鍜治 茂仁, 佐久間 孝夫, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 157-160
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    軟弱な地盤において30mを越える長尺の水平ボーリングを行う場合には削孔精度が問題となる場合がある. 例えば高圧噴射工法においては, 噴射に先立つボーリングの削孔精度が低いと改良目的を達成できない可能性がある. 精度を向上させるためには, 目的とする方向から逸脱したボーリングの方向修正が必要となる.
    削孔方向制御に関して簡便で利用の多いクサビ方式の採用を前提とし, 削孔実験を実施するとともに, 修正効果の予測値を近似的に算定し実測値と比較検討した. その結果, 適切なクサビ角度の選定を含む先端ビットの構造の選択によって削孔方向制御が可能であることが示された.
  • 石原 靖弘, 小林 剛, 狩野 正人, 谷平 勉, 宮本 文穂
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 161-166
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高力ボルト摩擦接合継手の耐久性評価システムを開発するための基礎的な研究を行ったものである. 高力ボルト摩擦接合の耐力を決定付ける重要な要素はボルト軸力ならびにすべり係数であるが, 著者らは経年変化に関するデータを収集するため, 実橋を対象として測定および実験を行ってきた.
    まず, 収集されたデータを一元的に管理し, 検索, 引用, 追加, 修正が容易なデータベースシステムを構築した. 次に, データベースから引用したデータを用いて, ニューラルネットワークによる高力ボルト摩擦接合軸力低下推定システムを開発した. また, システムを検証するため, 実橋測定結果との比較を示し, システム推定結果が比較的よく一致していることを示した.
  • 河野 興, 小早川 忠行, 吉永 正雄, 小松 正三, 中川 浩二
    2004 年 2004 巻 756 号 p. 167-172
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    小口径バーンカットの破砕機構検証のため心抜きの段階的な起爆実験を行った. 中心の装薬孔の起爆では, その周辺に配置した空孔との連結や中心起爆孔の拡大等による自由面の増加は特に見られなかったが, その後の段階的な連続起爆では, 孔奥方向への心抜きの進行が順次行われ進行率は約90%程度得られた.
    中心孔を囲む周辺の空孔は自由面となり中心装薬孔の起爆により, 装薬孔近傍の岩石に多くの微小亀裂が発生・進展を促す役割を果たし, その後連続的な起爆によりこの損傷部分が破砕・排出され, 心抜きが完成していくものと考えられた.
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