土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
Print ISSN : 0289-7806
ISSN-L : 0289-7806
2005 巻, 791 号
VI-67
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
[招待論文]
  • 山本 修司
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_1-791_9
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本論文は, 仕様規定型設計体系から性能規定型設計体系への移行にあたって, その国際的な背景や先に性能設計を導入した建築分野における課題等を概括するとともに, 土木構造物の技術基準の策定及びその運用について検討すべき事項, すなわち, コードライターのためのコードである包括設計コードの必要性, 技術基準の階層性及び設計結果の適合性評価のあり方, 新技術の活用を促進するための信頼性設計法の活用, そしてISO等の国際規格づくりへの積極的関与の必要性等について, 著者の基本的考え方を述べている.
[投稿論文]
和文報告
  • 渡邊 明之, 石橋 忠良, 栗栖 基彰, 西島 和男
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_11-791_18
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    鋼製エレメントを特殊な継手で繋ぎ合わせて地盤中に掘削貫入し, 構造物を構築する新しい交差構造物の構築工法がある. 本論文の対象は, この工法の閉合部の構造である. 既施工のエレメント間を最後に継手で繋ぎ合わせる閉合部は, 施工誤差を吸収でき, 小さいスペースで接合できる構造とするため, 閉合形状に曲げ加工した鉄筋同士の重ね継手の鉄筋コンクリート構造とした. 本論文は, この特殊な重ね継手のうち補強鉄筋を配置した継手を対象とし, コンクリートブロックに支圧力を作用させた場合の耐荷力に関する基礎的な実験, そして, この特殊な重ね継手を有する梁形状の試験体による曲げ試験を行い, この重ね継手の特性および耐力を明らかにした.
  • 神田 仁, 阪本 泰士, 吉岡 修, 岡本 栄
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_19-791_30
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    盛土の内部構造を簡便に調査する手法として, 鉄道盛土においてのり面を測定点とした人力打撃による弾性波探査法を試行し, 取得された走時データを用いて弾性波トモグラフィを行った. トモグラフィの結果は孔間法など他の手法と整合性があり, 本手法が実用に値することを確認した. また鉄道盛土の構造や規模などの調査条件を整理して, 弾性波トモグラフィを用いた鉄道盛土の調査法の標準化を図った. さらに, 本調査法を東海道新幹線の複数の盛土に適用して, 盛土内部構造の解明に関する考察を試みた. 本論文で提案した調査法は, 保安上等の理由から制約の多い新幹線盛土の内部構造解明に適用できるうえに, ボーリング削孔が困難な他の箇所にも適用できる簡便な方法として, 多岐に活用できる可能性がある.
  • 河内 義文, 今野 良治, 鈴木 素之, 山本 哲朗, 寺山 崇, 竹田 直樹
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_31-791_43
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    グラウンドアンカー工法におけるアンカーの緊張力とアンカーを含む構造系に生じるクリープの時間的挙動について斜面内への水の浸透に着目して検討した. 本文では, 道路のり面に設置したアンカー, ダム湛水による水没斜面に設置したアンカーおよび風化蛇紋岩地盤に設置したアンカーに対する3箇所それぞれの現場計測結果とそれらと関連する土質試験結果に基づいて, 降雨あるいは水浸時に不飽和地盤で生じるコラプス沈下や膨張性粘土鉱物による吸水膨張によって, アンカー緊張力が著しく増減することを実証した. この他に, 地盤内のひずみの計測結果から, 締付け効果を期待したアンカーの緊張力が想定すべり面において有効に発揮されていない事例があることを指摘した.
  • 野中 樹夫, 山辺 正, 阪元 恵一郎, 佐藤 信光
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_45-791_58
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    貯水位昇降を誘因とする地すべり挙動のメカニズムは, 地すべり粘土の力学特性の変化が地下水位の変化と連成するため複雑となり, 十分明らかになっていない. しかし, 地すべりの対策工設計の合理化の観点からは, 貯水池地すべりの長期安定性を考慮した対策手法の確立のためには, その把握が必要である.
    そこで, ダム貯水池地すべりより得た挙動データをひずみ速度の観点から分類し, ボーリングコアより採取したすべり面粘土試料を用いた飽和状態および不飽和状態での力学試験により, ひずみ速度と飽和度を定性的に関連づけた. この結果から, 貯水池地すべりに対する対策工設計にあたり, すべり面粘土の飽和度の変化を誘因のひとつとして考慮することの重要性を示す.
和文論文
  • 増田 正孝, 有田 誠, 李 恩周, 花田 賢志, 川俣 孝治, 皆川 浩
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_59-791_67
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    近年, コンクリート中の鉄筋に対してカソード防食が広く実施されるようになってきた. 我々は, コンクリート中の鉄筋に対するカソード防食の最適化を行うため有限要素法 (FEM) を利用した新しい数値解析技術を構築した. この計算法はイオン泳動, イオン拡散などのイオンの移動現象, 陽極及び鉄筋の分極現象, 及び, 陽極内部のIR低下を考慮している. 多くの電気化学的測定から得られた分極特性をFEM解析の境界条件として設定した. 鉄筋のあき, かぶりなどの幾何学的条件が防食電流に及ぼす影響を検討した. 鉄筋の分極特性の変化が防食電流に及ぼす影響も評価した. この計算手法により現実的な防食システムの正確な予測が可能となった. この手法が複雑な立体的構造物や多くの電気化学システムに適用できることを示した.
  • 川口 博行, 木村 定雄, 小泉 淳
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_69-791_80
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    鋼繊維補強コンクリートで築造されるトンネル覆工体の設計にあたり, 曲げ強度試験結果から覆工耐力とひび割れ幅を簡便に求め, それを覆工設計に反映することを目的に, 引張軟化曲線として二直線モデルの第2直線の特性を用いて覆工体に生ずる引張限界ひずみが断面耐力に及ぼす影響, 曲げ荷重の増加に伴うひび割れ開口の特性を検討した. その結果, ひび割れ開口幅の計算方法を明らかにし, 曲げ強度試験結果から求まる荷重とひび割れ開口幅との関係から引張軟化特性を表現できるパラメータの決定方法を提案した.
  • 森岡 宏之, 南 将行, 前島 俊雄, 田坂 嘉章, Ming CAI, 青木 謙治
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_81-791_96
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    高地圧下における地下空洞掘削においては, 応力再配分の過程で周辺岩盤内に分布する既存の微小亀裂の開口・進展および新規亀裂の発生によりゆるみ領域が形成される. このゆるみ領域の評価は空洞の設計および計測管理上の重要な課題の一つであり, これらに基づく空洞の合理的な設計体系の構築が必要とされている. 本研究では, 岩盤内の応力変化に対する指標としてAE (Acoustic Emission) に着目し, 室内試験におけるAE挙動を, 粒状体による個別剛体要素法を用いて再現し, 応力状態の変化に伴うAE挙動の分析を行った. さらに, 空洞掘削時の応力履歴と原位置でのAE挙動を比較・分析することにより, AE計測による空洞周辺岩盤の応力状態の変化を定量的に評価する手法についての検討を行った.
  • 宮野前 俊一, 野本 康介, 森田 篤, 松井 幹雄, 梨本 裕, 大久保 誠介
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_97-791_109
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    岩盤構造物の長期安定性に関する検討に際し, 岩盤の時間依存性挙動を重要視しなければならない場合があり, その挙動は支保の剛性や設置時期に依存することが知られている.
    本論文では, 大久保らにより提案された岩盤の時間依存性挙動を比較的容易に表現できるコンプライアンス可変型構成方程式を用い, 施工過程を考慮できるよう増分型の応力―ひずみ関係式を誘導し, FEMへ適用する手法を提案する. またいくつかの解析例を示し, 本手法の岩盤構造物の設計や維持計画への適用性について述べる.
  • 青木 一也, 山本 浩司, 小林 潔司
    2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_111-791_124
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/04/07
    ジャーナル フリー
    本研究では, 故障の有無という状態変数のみが観測可能な土木施設の劣化過程を予測するための劣化ハザードモデルについて考察する. 点検データを用いて劣化ハザードモデルを推計する場合, 施設寿命に関する情報が完全に利用できないことから生じる推計バイアスを克服することが課題となる. さらに, 点検方法が異なれば, 獲得可能な施設寿命に関する情報の特性が異なる. このため, 点検方法により獲得できるデータの統計的性質を考慮した劣化ハザードモデルの推計方法を開発する必要がある. 本研究では不完全なモニタリング情報に基づいて劣化ハザードモデルの推計方法を提案するとともに, 劣化ハザードモデルを道路付帯施設の劣化予測問題に適用し, その有用性を実証的に検証する.
feedback
Top