我が国のトンネルでは, グリーンタフ, 片岩類, 風化・変質岩等の軟質な地質において覆工に地圧が発生することが少なくない. 特に, トンネルの断面形状や覆工構造が地質条件に適応できずに設計・施工が行われる場合には, 供用後に変形やひび割れ等の変状が生じることがある. また, 地圧による変状対策では, トンネル周辺の地山性状を正確に把握することが困難なため, 過去の類似事例を参考に専門技術者の経験に基づく判断で対処しているのが現状である. このようなトンネルの維持管理に関する実情を鑑み, 筆者らは経時的な変状の進行を踏まえた対策工選定の定量化に向けて検討を行っている. 本論文では, 実トンネルの長期計測結果をシミュレーションするため, 周辺地山の強度劣化でモデル化することで, 長期にわたるトンネルの変形を表現し, その変形が覆工に及ぼす影響を評価した.
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