日本農村医学会雑誌
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42 巻, 2 号
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  • 回復期監視型運動療法の効果
    藤原 秀臣, 高橋 淳, 全 栄和, 徳永 毅, 雨宮 浩, 家坂 義人
    1993 年 42 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞のリハビリテーションは入院期間中に行われる急性期リハビリテーション, 退院から社会復帰までの期間に行われる回復期リハビリテーション, 社会復帰後に行われる維持期リハビリテーションに大別されている。急性期リハビリテーションは, 殆どの施設において短期間で完結され効果を挙げているが, 回復期リハビリテーション, とくに監視型運動療法は充分普及していないのが現状である。そこで心筋梗塞患者の回復期に監視型運動療法を実施し, 社会復帰への効果, 運動耐容能の変化, 心血行動態の推移などを評価し, その意義と有用性について検討した。対象は, 1990年11月より1992年5月までに当院CCUに入院した急性心筋梗塞患者68例中, 回復期運動療法適応者25例である。運動処方は運動負荷における最大心拍数の70~80%に相当する運動強度とし, 自転車エルゴメーターによる週3回の運動を8~12週間施行した。心拍数, 血圧, 心電図をモニターし, 運動耐容能, 心エコー法による心拍出量などを測定した。その結果, 運動療法により,(1) 運動耐容能が増加し,(2) 同一運動量に対する心拍数, 血圧, 二重積の低下がみられ,(3) 運動時一回拍出係数の増大がみられた。以上より, 本法は心筋梗塞患者に安全に施行でき, 身体, 心機能の改善および社会復帰にとって有用であると考えられた。
  • K型胃形成術
    川村 功, 宮沢 幸正, 児玉 多曜, 佐久間 洋一
    1993 年 42 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    重症肥満に対する外科治療の基本的な考え方は, 胃縮小法が主流である。胃を縮小してエネルギー摂取を永久抑制することにより減量をして, その結果肥満に合併する疾患を治癒・軽減させるのが治療の主眼である。胃縮小法として現在最も広く行われているのが, 垂直遮断胃形成術vertical banded gastroplasty (VBG) である。この研究はVBGの臨床成績を検討して, 術式の得失について明らかにした上, 術式の修正・改良の必要があればその具体的な方法を示すことを目的としている。VBG術後十分な追跡調査をすることができた36例についての検討で, 平均肥満度の変化を見ると術後213±27%, 術後1年142±19%であり, 術後3年でも141±17%と減量効果は良好にもたらされ, 維持されていた。これに伴って肥満に合併している疾患群も効率良く治療されていた。しかし少ない発生率ながら逆流性食道炎や遮断部崩壊の手術合併症もみられた。そこでVBGの治療効果を生かしつつ, これらの手術合併症を防ぐべく, 修正術式を考案した。即ち, 逆流性食道炎防止策として遮断線を垂直ではなく, His角を生かすべく斜めにし, 遮断線崩壊防止策として全ての遮断線を切断後埋没縫合し再縫着する方法で, その完成した型からK型胃形成術と名付けた。6例の臨床成績はほぼ満足すべき結果であったが, 尚長期間の経過観察は必要である。
  • 樋口 俊一, 松本 和興, 棚田 成紀, 中村 武夫, 今木 雅英, 三好 保
    1993 年 42 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    循環器疾患の予防対策の一つとして身体活動が, 注目されている。本報告では, 日常身体活動の違いがどの程度血清脂質量に影響を及ぼすかを検討するために, フィールド調査及び実験的研究を行ったので報告する。
    フィールド調査の結果, 測定した7項目の血清脂質量のうち, HDL-コレステロールは, 消費エネルギー/体重と統計的に有意な正の相関関係が認められ (p<0.01), さらにトリグリセライドと動脈硬化指数とは, 統計的に有意な負の相関関係が認められた (P<0.01)。さらに実験的研究において, 軽度の付加運動を健康な女子に実施したのであるが, HDLコレステロールは, 統計的に有意な上昇を示した (P<0.01)。さらに, 動脈硬化指数についても, 統計的に有意な低下を認めた。(P<0.05) しかしながら, 総コレステロール及びトリグリセライドは被験者間のバラツキが大きく, 統計的に有意な変化は認めなかった。以上, 日常の身体活動の差異及び軽度な運動付加において, 血清脂質量が影響を受けていることが認められ, 食事による影響がなかったとは言い切れないが, 日常の身体活動を活発にすることにより, 良好な血清脂質パターンが得られることが認められ, 循環器疾患予防に日常の生活活動の重要性を示唆した。
  • 三浦 崇則, 青山 ひろみ, 杉浦 洋二, 伊藤 一廣, 伊藤 徹, 水谷 勝, 澤田 郁英
    1993 年 42 巻 2 号 p. 72-76
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    薬物体内動態は, 他の薬剤の併用によって変化することが報告されている。薬物相互作用は, また他の薬剤の副作用発生を高めるかもしれない。本論文の目的は, 薬物相互作用によって引き起こされた副作用の早期発見と, その処置に対する治療薬物モニタリング (TDM) の効果を明らかにすることである。
    リファンピシンとメキシレチンの併用は, 酵素誘導の結果, クリアランスが増加するため, メキシレチン投与量の約50%の増量を必要とする。加えて, リファンピシン投与の中止3日後に, 血清中メキシレチンレベルは, 0.83mcg/mlから2.44mcg/mlへと上昇した。この患者は振戦を起こした。メキシレチソ投与中止後, この症状は2日以内に消失した。
    一方, テオフィリンとメキシレチンを併用した患者は, 悪心, 嘔吐, そして頻脈を起こした。併用治療開始4日後, 血清中テオフィリンレベルは, 27.3mcg/mlの中毒域であった。患者のテオフィリン投与量を25%減量したところ, 副作用は完全に消失した。7日後の血清中テオフィリンレベルは, 正常であった (18.8mcg/ml)。
    メカニズムのいかんにかかわらず, 薬物相互作用は薬物投与量の調節 (可能であるならば血清中薬物濃度測定に基づいた調節) の必要性が生じてくる。これらの結果は, TDMが薬物相互作用による副作用の発生を防止することに対して, 有用であることを示唆するものである。
  • 中村 聡子, 椎貝 達夫
    1993 年 42 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1989年7月より1992年5月の間に当院に入院した初発のNHL16例に対し一定の治療プログラムでの治療を行いその成績につき検討した。70歳未満の症例では,(1) CHVP療法,(2) CHOP療法,(3) C-MOPP療法以上3つの組合せによる治療を寛解導入療法として施行。さらに維持療法として (1) half dose CHVP療法,(3) CHOP療法,(3) half dose C-MOPP療法を4コースずつ12回施行した。70歳以上の症例では, CHOP療法を施行した。16例の完全寛解率は, 87.5%(14/16)。再発は2例でいずれも70歳以上の高齢者群であった。現在, 観察期間18日-1,164日 (中央値308日) で, 生存率は, 75.2%であった。観察期間が短いので長期生存率については判定できないが, 寛解率については他の治療プログラムと比較し良好な成績と考える。
  • 永美 大志
    1993 年 42 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農薬の土壌残留は, 環境中の主たる残留形態であるとともに, そこで育成された作物に汚染をもたらしてきた。今回筆者は, 殺菌剤プロシミドン (商品名スミレックス) が使用され, 約1年経過した農耕地の土壌残留調査を行ったところ, 0.05~0.14μg/g-dryの残留を認めた。三年間の継続調査の結果, 調査した農耕地におけるプロシミドンの土壌中の第二半減期は約1.5年であると推定された。さらに, この農耕地において栽培された作物への移行を調査したところ, イチゴから検出されなかったものの, 野菜の可食部で0.005~0.017μg/g-raw程度の移行を認めた。これらの結果から, プロシミドンが残留性の高い有機塩素系農薬の範疇に入りうることが示唆された。現在もプロシミドンが使用されていること, 食品残留も多数報告されていることも鑑み, 広汎な残留調査と徹底した毒性の究明が必要と思われる。
  • 1993 年 42 巻 2 号 p. 86-94
    発行日: 1993/07/30
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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