本研究は, 河川感潮域の窒素系自浄作用機構に関する知見を得るために, 光照射のもとで単槽連続攪拌装置を用いて, 藻類, 硝化細菌共存系の基礎的なモデル実験をおこなった. 感潮域の想定として塩分濃度を0%, 25%, 50%, 75%, 100%として設定し, 希釈率の変化を滞留時間4, 8, 16, 24, 48hrとして, 各態窒素濃度の変化を追うとともに藻類及び硝化細菌の活性を定量的に評価した. 更にこれら微生物の共存下の関与度を明らかにした. その結果次のようなことが明らかとなった. 1) 塩分濃度が低い系では希釈率が低いほど藻類による同化作用が優占され, 希釈率が大きくなるに伴い硝化作用が優占する傾向が見られた. 2) 塩分濃度が高い系においては希釈率が低いほど藻類による同化作用が優占され, 希釈率が大きくなるに伴い硝化作用が優占するが, 亜硝酸酸化細菌は塩分濃度に対して感受性が高く, 亜硝酸性窒素が蓄積した.
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