土木学会論文集
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2003 巻, 748 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 牧乃瀬 統, 高橋 幸彦, 中村 玄正
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 1-10
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 河川感潮域の窒素系自浄作用機構に関する知見を得るために, 光照射のもとで単槽連続攪拌装置を用いて, 藻類, 硝化細菌共存系の基礎的なモデル実験をおこなった. 感潮域の想定として塩分濃度を0%, 25%, 50%, 75%, 100%として設定し, 希釈率の変化を滞留時間4, 8, 16, 24, 48hrとして, 各態窒素濃度の変化を追うとともに藻類及び硝化細菌の活性を定量的に評価した. 更にこれら微生物の共存下の関与度を明らかにした. その結果次のようなことが明らかとなった. 1) 塩分濃度が低い系では希釈率が低いほど藻類による同化作用が優占され, 希釈率が大きくなるに伴い硝化作用が優占する傾向が見られた. 2) 塩分濃度が高い系においては希釈率が低いほど藻類による同化作用が優占され, 希釈率が大きくなるに伴い硝化作用が優占するが, 亜硝酸酸化細菌は塩分濃度に対して感受性が高く, 亜硝酸性窒素が蓄積した.
  • 佐合 純造, 永井 明博
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 11-23
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    全国109の一級河川の魚類相について河川水辺の国勢調査データを用いて統計分析を行い, 次の成果を得た. (1) 全国で捕獲確認された魚種は183種であった. このうち, オイカワ, ウグイ, カワムツB型等の上位5魚種で全確認個体数の50%を占めていた. (2) 魚種別構成比に主成分分析を適用して各河川の魚種多様性を4つの主成分 (累積寄与率0.754) で表すことができた. 特に第1主成分は緯度 (河口地点) と強い相関が認められた. (3) 調査地点842箇所で魚類相と河道特性の関係を求めた. 特に多様度指数は河床勾配, 河道内緑被率と相関がみられた. (4) 河川形態や河道セグメントを用いて魚種別構成比や多様度との関係を求めて, 河道縦断的に魚類相の変化を定量化することができた.
  • Fumihiko TAKEDA, Takashi SAKAMAKI, Kaiqin XU, Nobuo CHIBA, Osamu NISHI ...
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 25-32
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    The allelopathic effects of the extracts of a brown alga Sargassum horneri on red tide microalgae were examined using Skeletonema costatum, Chattonella antiqua and Heterosigma akashiwo. The growth of S. costatum and C. antiqua were inhibited remarkably by the extracts of S. horneri while H. akashiwo needed higher amount of the extracts than S. costatum and C. antiqua to attain same level of growth inhibition, confirming the difference in the allelopathic effects with microalga species. The microscopic observation indicated that the growth inhibition effects of the potential allelochemicals produced by S. horneri were associated with the change of the body form of the red tide microalgae tested.
  • 山下 尚之, 松田 知成, 清水 芳久, 松井 三郎
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 33-42
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 近畿圏における重要な水道水源となっている琵琶湖においてサンプリングを実施し, 琵琶湖におけるアオコ毒素ミクロシスチンとラン藻類の動態について考察を加えた. また, ELISA法を用いた毒素分析の適用性に関して検討を行った. その結果, 琵琶湖湖水およびそのろ液からミクロシスチンが検出された. その濃度は, サンプリング地点により大きく異なっていたが, 最高で2,200pg/mLという値が示された. 一方, 琵琶湖周辺域において採取した水道水からミクロシスチンは検出されず, 浄水処理過程においてミクロシスチンは分解除去されることが示唆された. また, 湖水の全ミクロシスチンに対するろ液中ミクロシスチン割合の変動を調べたところ, 湖水のミクロシスチン濃度上昇とともに, ろ液中ミクロシスチン割合は低下する傾向が見られた.
  • 見島 伊織, 中島 淳
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 43-55
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    凝集剤添加活性汚泥法は安定したリン除去法として広範に用いられている方法である. しかし, 本法においての凝集剤添加量は経験的に決定されており, 理論的な添加量の決定方法は報告されていない. 本論文では室内実験により活性汚泥中におけるリン除去用凝集剤の減少と蓄積, またそれに伴うリン除去特性を検討する. さらにその結果をもとに汚泥中の凝集剤およびリンを分別してとらえ, リン除去性能を有する凝集剤とリンの凝集反応を表すリン除去モデルを提案した. それによって, 汚泥中における凝集剤およびリンの挙動を推定することが可能になり, リン除去モデルを用いることで凝集剤の最適添加量の決定に応用することができる.
  • 高野 保英, 江藤 剛治, 竹原 幸生, 福原 輝幸
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 57-65
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近畿大学に屋上緑化区画および微気象・水文観測システムを構築し, 蒸発散量の実測による緑化屋上における植生維持に必要な水量の算定, および緑化区画からの排水の水質調査を試みた. その結果, 以下のことが明らかとなった. (1) 今回の観測より得られた夏季における芝の屋上緑化区画からの日蒸発散量は, 4.4mmおよび6.2mmであった. (2) 緑化区画からの排水には, 除草剤・肥料に起因するもののみならず, 今回使用した人工土壌に起因すると思われる硝酸・亜硝酸態窒素およびリン酸態リンが含まれていた. (3) 屋上緑化区画からの排水水質を, 最も厳しい基準である水域類型Iの湖沼の水質環境基準値と比較すると, 硝酸・亜硝酸態窒素濃度は7~10倍程度, リン酸態リン濃度は800~1400倍程度であった.
  • 渡辺 幸三, 吉村 千洋, 小川原 享志, 大村 達夫
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 67-79
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は河川底生動物への人為的インパクトの影響を予見的に評価する回復予測モデルを開発した. このモデルは底生動物のバイオマスの経年変化を記述する群集動態モデルがベースになっており, Pulse 型 (一時的) インパクトの影響を回復率と生態学的損失時間 (ELT) の2指標によって評価するモデルとなっている. このモデルを東京都の延べ70地点に適用し, バイオマスが0.08倍に低下するインパクト (土木工事) を仮想して回復予測を行った結果, ELTが1年以内の地点は延べ35地点 (50%) を占め, 底生動物が有する高い回復能力が確認された. また, 算出された回復率とELTの値を各地点の環境状態から考察したところ, これらが Pulse 型インパクトの影響評価指標として有効であることが示された.
  • 宮崎 博文, 田中 圭, 井上 正文, 高梨 啓和, 平田 誠, 羽野 忠
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 81-89
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    木造住宅の解体工事から発生する廃木材の再資源化を図るため, 柱, 梁などの主要な部材を生かし取りし, 適切な加工を施し, 再び建築用材に使用する手壊し法を考案した. 現在, 一般に行われている分別法と本システムとを, 解体工事, 廃棄物処理, 再資源化の各過程において環境及び経済的側面から比較検討を行った.
    分別法に比べ本システムは, エネルギー消費, 所要経費ともに少なく, 得られた木材の材質は, 建築用材への再利用にとって支障なく, 既存の加工技術により古材, 再製材, 集成材への再資源化が可能な優れたシステムであることがわかった.
  • 中川 直子, 山越 一乃, 大江 華, 大瀧 雅寛
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 91-98
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    水を使わずかつ資源回収が可能なコンポスト型トイレが現在の流域・都市の水循環が抱える問題を解決するものとして注目されている. しかし, コンポスト型トイレは水洗トイレとは異なり, 排泄物を生活環境内にとどめておくため病原微生物の二次感染について留意する必要があると考えられる. 本論文では, コンポスト型トイレの衛生学的安全性を調べることを目的とし, 従来の水系病原微生物リスク評価をコンポスト型トイレに適用して, 病原微生物の二次感染リスク評価を行い, コンポスト型トイレに要求される病原微生物除去率や必要処理時間について考察した. 結果としてウイルスの方がリスクが高く, それに応じてトイレ内での必要除去率も高くなることが示唆された. また, 井戸水を介した間接暴露においても, 直接暴露に匹敵するリスクが生じる可能性についても示唆された.
  • 中川 啓, 佐野 義弥
    2003 年 2003 巻 748 号 p. 99-104
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    前報でカブを用いたファイトレメディエーションにより重金属汚染土壌の修復を検討した際に明らかに出来なかった, 適応できる汚染レベルや窒素効果, そしてより長期的な栽培に対する適応性について追加実験を行い検討した. その結果, 汚染レベルとしては2段階の限界値が存在すること, カブは銅とカドミウム両方に対して指標植物であること, 集積量としては銅に対しては明らかに窒素効果が見られたもののカドミウムには逆効果であること, 長期的な栽培においてはある程度の汚染レベルまでであれば枯死せず茎葉部・根部ともに集積していることが分かった.
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