日本消化器外科学会雑誌
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14 巻, 8 号
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  • 高木 巖, 唐沢 和夫, 国島 和夫, 陶山 元一, 恒川 伸也, 永田 文雄, 篠田 雅幸, 矢吹 賢
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1141-1146
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道癌の治療方針として切除療法が積極的に行われてきた結果, この30年間に食道癌全般の治療が飛躍的に進歩したことは論をまたない.しかしながらその手術成績から考えるとはたして切除療法が有意義であったかどうか時に反省させられる症例があることもまた事実である.とりわけa3食道癌に対する切除術の予後は不良であるので, 手術適応の有無について再検討をしなければならない時期にきていると考えられる.われわれは当院におけるa3切除例47例を対象として, 現時点におけるa3食道癌の最良の治療方法はどうあるべきかについて検討を加えた.
  • 溶連菌製剤OK-432の投与効果
    朴 採俊, 多淵 芳樹, 南 正樹, 井上 和則, 滝口 安彦, 佐藤 美晴, 川口 勝徳, 斉藤 洋一
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1147-1152
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道癌に対する術前照射と溶連菌製剤OK432の併用が, 生体の細胞性免疫能と癌病巣にいかなる影響をおよぼすかについて検討した.食道癌の非照射例の50%は自己癌細胞に対する高いリンパ球幼若化を示し, 照射例の14%と比べて高率な傾向を示した.PHAによるリンパ球幼若化は術前照射 (2,000~4,000rads) によって抑制されたが, OK-432投与によりその抑制の軽減がみられた.また術前照射例は非照射例と比べて癌病巣の単核細胞浸潤は軽度であり, 局所免疫の低下が示唆された.しかし照射中にOK-432を併用した症例では単核細胞浸潤が高度であり, 放射線効果高度な傾向がみられた.
  • 胃酸分泌動態, 胃幽門洞および十二指腸粘膜の病理組織学的検索を中心に
    花上 仁, 野本 信之助, 村松 泰, 坂野 哲哉, 杉本 辰雄, 永井 研治, 北山 太朗, 瀬戸 明, 吉崎 聰
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1153-1159
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃十二指腸併存潰瘍の手術術式を術前のガストリン刺激胃液検査による酸分泌動態と切除標本における胃幽門洞および十二指腸粘膜の病理組織学的所見から検討した.胃十二指腸併存潰瘍群は, 胃病変の程度にかかわらず胃潰瘍群に一致した年齢, 性分布を, また十二指腸潰瘍群に一致した酸分泌動態を示した.幽門洞粘膜の病理組織学的所見では, 胃病変がUl-IVの群では胃潰瘍群の如く高度の粘膜萎縮, 腸上皮化生等の胃炎性変化が認められたがUl-II~IIIの群では十二指腸潰瘍群の如く軽度に認められた.胃十二指腸併存潰瘍は十二指腸潰瘍の如く選近迷切の適応となるが, 胃病変が高度な場合には選迷切兼幽門洞切除術がより適応となると考えられる.
  • 町田 武久, 近藤 良晴, 山本 登司, 浅野 哲, 高橋 健一
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1160-1166
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    吐・下血を主訴として来院し, 緊急内視鏡および手術を施行された出血性胃潰瘍83例につき臨床病理学的に検討した.男74例女9例と圧倒的に男に多く, 平均年齢は男53.9歳女68.1歳と逆に女が高かった.検索潰瘍の総数は118ケ, そのうちUl-IIが62ケ, Ul-IIIが6ケ, Ul-IVが50ケでUl-IIの占める率が高かった.またUl-IIは1cm以下の小型のものが多かった.潰瘍底に血管断端が露出した症例は58例で, 重症および緊急手術施行例が多かった.血管断端露出陽性例の潰瘍底にみられる動脈の外径を計測したところ, Ul-IVで平均1,160μ, Ul-IIで平均790μであった.Ul-IIの潰瘍底にみられた動脈の外径は対照群に比し明らかに太く, 出血に重大な関与をしていると推定された.
  • 阿部 正
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1167-1177
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    教室では過去5年間に消化性潰瘍209症例に対して広範囲胃切除術, 幽門保存胃切除術, 迷切兼胃半切除術および迷切兼幽門成形術などを行ってきた.それらのうち115例を対象として術式別の減酸率, 術後および遠隔時の胃内容排出時間, アンケート調査による術後愁訴について検討した.減酸率は迷切兼幽門成形術が60%台と低値を示したが, 他術式は全て80%以上であった.胃内容排出時間は迷切例で術後3時間以上の排出遅延がみられたが遠隔時には消失した.またB-II法では遠隔時にその約半数が30分以内に排出し他術式に比べ著しく早かった.ダンピング症候群はB-I法の18%, B-II法の25%, 迷切兼胃半切除術の23%にみられたが幽門保存胃切除術, 迷切兼幽門成形術にはみられなかった.B-II法の2例が手術の結果に不満足と答えたが, 他の術式では全例満足していることが判明した.
  • 北川 堯之, 三輪 恕昭, 中村 憲治, 松三 彰, 曽我部 興一, 折田 薫三
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1178-1184
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    498例の胃癌切除患者を対象に, 主腫瘍におけるlymphoid infiltration (LI) と免疫学的パラメーターと予後とを検討した.免疫学的パラメーターはリンパ球PHA幼若化率 (幼若化率) とPPD皮膚反応を用いた.LIは498例中112例 (22.5%) にみられ, LI (卅) 例は32例 (6.4%) であった.LI陽性群の幼若化率はLI陰性群より有意に高値を示した.LIはstage Iに多くみられる傾向であった.stageが進行すると幼若化率は低下するが, LI陽性群では低下しなかった.LI陽性群の方が5年累積生存率は高かった.PPD反応は両群間に相関は認められなかった.LIは幼若化率とよく相関し, 担癌生体における細胞性免疫能の局所表現と考えられた.
  • 木南 義男, 宮崎 逸夫, 永川 宅和, 倉知 圓, 野口 昌邦, 小西 孝司, 高田 道明, 松葉 明
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1185-1191
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    過去18年間に著者らの施設において治療した肝内結石症94例の胆管性状と手術々式および手術成績との間の関連を検討した.全症例において, 退院時遺残結石率は28%であり, 手術死亡率は7.4%であった.耐術例の遠隔成績では症例の56%が良好を, 29%が軽快を, 8%が不変を, 2%が胆管炎による死亡を, 5%が不明を示した.多くの症例においては胆管の拡張や狭窄所見などに基づいた術式の選択が行われたが, 肝内胆管の嚢状拡張例や狭窄例では, これをみない例に比し, 治療成績が劣った.また, 肝内外胆管狭窄を有する難治例に対しては肝切除, 肝内胆管切開截石および肝管空腸吻合などを主とする術式が良好な成績を表わし, それらの有効性が示唆された.
  • 林 良輔, 落合 武徳, 渡辺 一男, 竜 崇正, 浅野 武秀, 西島 浩, 大塚 雅昭, 坂本 薫, 鈴木 孝雄, 佐藤 博
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1192-1196
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    進行癌患者では免疫能が低下していることが知られているが, われわれは化学療法に加えてさらに強力な免疫療法が必要であると考え, 免疫賦活剤をより局所に持続注入させる目的で, レンチナンを用いた持続動注法による免疫化学療法を試みた.症例は胃癌をはじめ11例で, すべて手術不能例あるいは絶対非治癒切除例であり, 免疫学的検索として, T細胞率, IgG-Fc Receptor陽性T細胞率, リンパ球のmitogenresponseとしてPHA-P反応, Con A反応, PPD反応, およびNatural Killer活性を経時的に測定した.この結果, レンチナンの持続動注射法を中心とした免疫化学療法により, ある程度の免疫能の賦活化が得られた.また, 臨床的効果および延命効果の面でも, かなりの改善をみた症例を数例経験したが, 大量のレンチナンを使用したのにかかわらず, 副作用はみられなかった.
  • 岡田 勝彦, 壊水尾 哲也, 桜本 邦男, 三枝 達明, 岡島 邦雄, 八木 敦夫
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1197-1203
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    内視鏡的逆行性胆膵管造影 (ERCP) 施行850症例中胆道奇形10例 (11病変), 胆道走行異常11例を経験した.
    胆道奇形は先天性胆管拡張症10例と先天性胆嚢欠損症合併1例, 先天性胆管拡張症に胆管癌合併3例であった.病型分類では戸谷のI型5例, III型2例, IV-A型2例, V型1例であった.このうち膵胆管合流異常は6例で, 膵管合流異常2例, 分離開口1例, 胆管合流異常3例で, 共通管の平均は2.3cmであった.
    一方胆道走行異常は右副肝管が7例で, 1例右副肝管から胆嚢管の分枝した症例が認められた.また, 胆嚢管走行異常症例は4例で全例spiral typeで総胆管末端部で総胆管に開口した症例であった.
  • 抗リンパ球抗体の検出
    梅山 馨, 西野 光一, 深水 昭, 由井 三郎, 藤本 泰久, 吉川 和彦, 山下 隆史
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1204-1212
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    特発性門脈圧亢進症の患者血清中の抗リンパ球抗体をTerasakiのcytotoxity testに準じて, 試験管法にて検討した.本症21例 (男7例, 女17例) 中本抗体は7例に陽性ですべて女性であった.かつ摘脾後には, 術前陽性を示した6例中, 高値を示した1例が減弱し, 他はすべて陰性化した.かかる抗体は妊娠やHBs抗原, 抗体との相関は明らかでなく, 15℃を至適温度とするIgM型に属するもので全身性紅斑性狼瘡 (SLE) で検出されているものと同じ性格のものであった.この事実は, 本症の成因に何らかの感染を基盤とした免疫異常の存在する可能性を示唆したものである.また本症末梢血中のリンパ球の減少と抗リンパ球抗体活性との間には負の相関がみられたことから脾機能亢進にみられる白血球減少の原因の1つに本抗体の関与も示唆された.
  • 秋本 伸, 村田 洋子, 斎藤 明子, 野口 友義, 由里 樹生, 済陽 高穂, 大森 尚文, 浜野 恭一
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1213-1220
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    消化管腫瘍症例における超音波検査の有用性について検討した.腫瘍の描出は消化管壁肥厚の著しい程容易で周辺低エコー域と中心高エコー部より成る.部位による差や癌と肉腫での差は認め難かった.肝転移診断率は87%で撒布性小転移の診断は困難であった.音響陰影を伴う高エコーレベルの肝転移像は大腸癌に特徴的であった.転移リンパ節は直径3mm以上で描出可能であった.大腸癌局所浸潤の間接所見として水腎症の診断が有効であった.直腸癌術後骨盤内再発は膀胱の変形と腫瘍像から診断可能な例もあったが瘢痕組織との判別が困難であった.
  • 植木 重文, 岡本 英三, 桑田 圭司, 豊坂 昭弘
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1221-1229
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    手術前後にわたり血清CEAを迫跡し得た大腸癌57例を用い, CEAに強い影響を及ぼす病理学的因子の検索, ならびにCEA測定の臨床的意義について検討した.大腸癌は陽性率58%, 平均値7.2ng/ml (正常値3ng/ml以下) と他の消化器癌に対し高値 (p≦0.05) であった.とくに肝転移群は平均値24.7ng/mlと非肝転移群に比して有意に高値 (p≦0.01) を示した.CEA値は癌の長径及び深達度, すなわち腫瘍容積と相関した.組織学的には分化程度が高い程CEA値は高く, とくに粘液癌は高い値 (p≦0.01) を示した.根治的切除によりCEA値は正常化するが, 再発に際しては臨床症状出現に先行して再上昇した.また再発は術前のCEA値が高い程その危険性が高く, 特に5ng/ml以上の場合には再発傾向が強い
  • 自験例ならびに本邦報告例の考察
    内田 雄三, 一万田 充俊, 柴田 興彦, 調 亟治, 小武 康徳, 藤富 豊, 馬場 慶, 太田 一生, 原田 達郎, 平野 達雄, 中山 ...
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1230-1235
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 洋, 今岡 真義, 松井 征雄, 石川 治, 谷口 健三, 岩永 剛, 青木 行俊, 寺沢 敏夫, 秋山 雅彦
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1236-1240
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 早川 直和, 神谷 順一, 中神 一人, 安井 健三, 宮田 完志, 向山 憲男, 杉浦 純一, 犬飼 偉経, 豊田 澄男, 松本 隆利, ...
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1241-1245
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • Lloyd M. Nyhus, Philip E. Donahue
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1246-1255
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Massive upper gastrointestinal hemorrhage is a frequent occurence in almost any hospital setting. Because the patients affected are often chronically ill, and because of the serious physiologic consequences of massive bleeding, the surgeon must be prepared to treat all cf the associated problems which may arise.
    There are well established “rules” which help decide when an operation is indicated. Once this point has been reached, a careful and thorough exploratory laparotomy can identify the source of bleeding, even if a preoperative diagnosis is not available.
    The role of gastrointestinal endoscopy is still controversial; it is best viewed as a valuable adjunct in the aggressive evaluation of patients with bleeding, and an important part of a comprehensive treatment program. Endoscopic diagnosis must be combined with surgical judgment in treating the individual patient.
    Operative therapy is tailored to the patient and to the bleeding lesion. There is a general tendency to avoid resection, or resect “less” when possible, to avoid the prohibitive mortality generally associated with massive resection.
    By attention to the many details associated with gastrointestinal hemorrhage. The morbidity of a bleeding episode can be reduced. One must be aware of the high mortality in most series of patients with bleeding and do everything possible to prevent it.
  • Gabriel A. Kune
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1256-1261
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    In this Lecture, the author's personal experiences drawn from 416 cases of acute pancreatitis, are presented with respect to the indications for and the timing of surgical intervention during an attack of acute pancreatitis. It will be shown that the surgeon has a well defined role in acute pancreatitis when performing a laparotomy for diagnosis, when considering excision of necrotic pancreas, when dealing surgically with certain post-pancreatic complications and when performing late surgery for either the sequelae of an attack of acute pancreatitis, or when dealing with precipitating factors especially gallstones to prevent recurrent attacks of acute pancreatitis. The references which follow are the author's previous putlications on surgical intervention in acute pancreatitis1, 2, 3, 4, 5, 6, 7.
  • Oliver H. Beahrs
    1981 年 14 巻 8 号 p. 1262-1266
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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