日本消化器外科学会雑誌
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19 巻, 12 号
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  • 久保 周, 東権 広, 木村 茂, 永井 勲, 難波 康男, 藤原 恒弘
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2325-2332
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    肝硬変を基盤にした食道静脈瘤症例69例を対象として検討し, 肝障害を合併した症例の予後判定指数 (PI) =0.546 (Alb)-0.281 (TB)-0.003 (GOT) +6.754 (K-ICG) +0.011 (PT)-0.283の算定式を得た.PI≧3.2である安全域 (I) 症例は予後良好であった.2.6≦PI<3.2を示す境界域 (IIA) 症例は, 手術操作や術前後の管理ミスにより術後合併症を伴いやすい.2.0≦PI<2.6を示す境界域 (IIB) 症例は, 手術時期・操作, 術前後管理に万全を期さないと術後重篤な合併症を伴う危険性が強い.PI<2.0を示す危険域 (III) 症例では術後重篤な合併症が多く発生しており, 外科的治療よりも内科的治療を優先すべきである.
  • 大熊 利忠, 萩原 直樹, 岡村 健二, 田平 洋一, 本郷 弘昭, 佐田 英信, 宮内 好正
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2333-2340
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道癌に対し新しい合併療法の試みとして, Cisplatin+Pepleomycin (以下本療法) を術前術後に投与してきたが, 今回は本療法の術前合併療法としての意義について検討した.対象症例は昭和60年8月31日までに本療法が施行され当科で切除された35例 (うち術前照射例4例を含む) である.本療法による術前の臨床的改善度は33%~50%であった.切除された主病巣の組織学的効果度は45.7%であり, 転移リンパ節105個の組織学的効果度は29.5%であった.術後本療法に関連する合併症として1例に急性腎不全がみられた.他には重篤な副作用はみられなかった.本療法は有効な合併療法と考えられる.今後投与量, 併用薬剤についてさらに検討する.
  • 中江 史朗, 中村 毅, 井上 和則, 加藤 道男, 斉藤 洋一, 多淵 芳樹
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2341-2347
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    最近16年間に教室で経験した肝転移を伴う胃癌74例を対象とし, 治療法と転帰の関連を検討し, 延命効果の点から治療方針につき検討した.原発巣切除例の転帰は非切除例より良好な傾向 (p<0.1) がみられたが, 原発巣切除のみのH1症例と原発巣および肝転移切除例 (すべてH1症例) の間では転帰に有意差はみられなかった.非切除例は試験開腹と造瘻術の間ならびに化学療法施行例と化学療法非施行例の間で転帰に差は認められなかった.また4年6ヵ月以上の長期生存例は3例 (4.1%) でいずれも切除化学療法施行例であった.以上より肝転移胃癌に対しては積極的に原発巣を切除した上で化学療法を行う方針をとれば, 治療成績め向上が期待できると考えられる.
  • 経静脈的ブドウ糖負荷時インスリン分泌の変動
    上野 一夫
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2348-2357
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ラットに70%肝切除を行い, 術後の耐糖能およびインスリン反応が肝再生に伴いいかに変化するかを研究した.対照として単開腹群を用い, 経時的に術後3週まで経静脈的糖負荷試験を用いて検討した.その結果, 肝切除後3日目では耐糖能の低下をみたが, インスリン反応は末梢, 門脈血とも低下していなかった.7日目では逆に耐糖能の上昇を認め, さらにインスリン反応も末梢, 門脈血とも高分泌反応を示した.14日目以降では肝再生の終了とともに耐糖能およびインスリン反応は対照と差を認めなくなった.以上の事実から肝切後早期の過剰の糖補給は慎重になされるべきであり, 回復期には積極的な糖補給が肝再生促進に合理的であることを示唆した.
  • 吉田 英晃, 深井 泰俊, 吉川 高志, 堀田 敦夫, 桜井 隆久, 畑 芳樹, 堀川 己清, 白鳥 常男, 伊藤 伸一, 松尾 尚樹, 大 ...
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2358-2364
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌16例の術前に制癌剤混入油性造影剤Lipiodolを併用したtranscatheter arterial embolization (Lp-TAE) を行い, Lp-TAEの意義について検討した.主腫瘍18結節の中, 95%以上壊死が13結節にみられた.娘結節27結節の中, 1cm以上のもの3結節中2結節に95%壊死がみられ, 1~0.5cmのもの6結節中3結節に完全壊死がみられ, 0.5cm以下のもの18結節中8結節に完全壊死を認めた.門脈内腫瘍栓や被膜内外浸潤部には無効であった.診断面でLp-TAE後に行うcomputed tomography断層 (Lp-CT) はinfusion hepatic angiography (IHA) では検出困難な微小娘結節の検出が可能となった.Lp-TAEは主腫瘍や娘結節に優れた抗腫瘍効果を示すと同時に娘結節に対して高い診断能を示した.
  • 熊沢 健一
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2365-2373
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    肝外性閉塞性黄疸時の循環動態について検討するため実験的研究を行った.方法は雑種成犬の総胆管を結紮し, Swan-Ganzカテーテルを挿入して血行動態を測定した.その結果, 心係数は総胆管結紮前162, 3週後191, 6週後210ml/kg・min, 循環血液量はそれぞれ81.8, 90.4, 102.3ml/kgと上昇し, 平均動脈圧は132, 122, 111mmHg, 全末梢血管抵抗は0.83, 0.63, 0.52mmHg・kg・min/mlと減少しhyperdynamic stateを呈した.このとき酸素消費量は4.57, 5.54, 7.40ml/kg・minと増加していることから心係数の上昇は酸素の需要の増加を助ける変化と考えられた.また, 血中グルカゴン濃度が上昇しており, グルカゴンが全末梢血管抵抗の減少に関与していることが示唆された.
  • 川浦 幸光, 森 善裕, 中島 久幸, 服部 和伸, 九沢 豊, 魚津 幸蔵, 山田 哲司, 岩 喬
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2374-2377
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    過去10年間に経験した切除不能例を含む胆嚢癌35例の占居部位を次のごとく分けた.底部を中心とする (Gf) 群, 体部 (Gb) 群, 頸部 (Gn) 群, 全体群, 腹腔側群, 肝床群とした.予後因子との関係は, 1) Gn群では門脈浸潤率 (7/11), (12) 番リンパ節陽性率 (9/11) が高かった.2) 肝転移は全体群, Gf群で高率に認められた.3) 十二指腸浸潤 (D因子) は腹腔側群, 全体群で高率であった.結果を基に術式として以下を考慮している.1) Gf群, Gb群の肝床群では肝床切除, 腹腔側群では膵頭後部リンパ節郭清を考慮, 2) 肝床群で肝内直接浸潤 (Hinf) 例のうちHinf1-2では肝床切除を, Hinf1-3+胆管浸潤例では肝切除を併施.腹腔側群でD因子 (+) 例で膵十二指腸切除を併施.3) Gn群では門脈合併切除を考慮すべきである.
  • 八木 雅夫, 関野 秀継, 高野 直樹, 小西 一朗, 小西 孝司, 藤田 秀春, 永川 宅和, 宮崎 逸夫
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2378-2381
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    金沢大学第2外科における昭和53年より昭和58年までの膵頭十二指腸切除例のうち, 今永変法再建例6例とChild変法再建例8例の消化吸収機能を, 5g D-xylose試験とpancreatic function diagnostant (PFD) を用いて検討した.今永変法症例のD-xylose尿中排泄値は1.24±0.36gと, Child変法症例の0.72±0.21gに対して有意に高値を示し, また, child変法症例では術後4年以上を経過しても1.0g以下であるのに対し, 今永変法症例では術後1年経過例で1.0g以上を示した.さらに, 膵性消化障害率には差が認められなかった.以上より, 今永変法はChild変法より, 術後消化吸収機能, 特に吸収機能の回復において, 優れているものと考えられた.
  • 特に膵全摘術の適応について
    中迫 利明
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2382-2389
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    膵頭部癌の膵全摘17例および膵頭切除63例, 計80例を対象に膵全摘の適応にかかわる因子を病理組織学的に検討した.膵全摘17例の検討: 1.尾側への高度の膵内連続性進展は35.3%(6/17例) に認められた.2.膵内非連続性癌病巣は1例も認められなかった.3.癌腫が膵頭部に限局する場合 (10)(11)(18) リンパ節への転移陽性は11.8%(2/17例) に認められた.膵頭切除63例の検討: 1.膵切除断端癌遺残は19.0%(12/63例) に認められた.2.(10)(11)(18) リンパ節への転移陽性は3.2%(2/63例) に認められた.したがって膵内連続性進展が膵全摘の適応を左右する最も大きな因子で膵切除断端癌浸潤の有無の検索にて膵全摘の決定を行うことができると考えられた.
  • 特に手術成績と術後再発の問題について
    舟山 裕士, 佐々木 巌, 今村 幹雄, 内藤 広郎, 神山 泰彦, 戸田 守彦, 鈴木 祥郎
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2390-2396
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    昭和36年以来教室で経験した非特異性腸潰瘍25例の外科治療成績について再発例を中心とした検討を行った.その結果, 外科治療成績は一般に良好であるが, 25例中9例 (36%) に再発がみられ, なかには予後不良例も認められた.再発はU1-IIの小腸潰瘍は残存小腸に, U1-III~IVの小腸潰瘍および回盲部潰瘍では吻合部に発生する傾向があった.遠隔調査時における経過は良好で, 長期間の保存的治療にも改善のみられない症例には外科的治療を考慮してよいと思われた.一方, 再発を繰り返す難治例やいわゆる“非特異性多発性小腸潰瘍症”についてはCrohn病に準じ慎重に対処する必要があると思われた.
  • 奥野 匡宥, 池原 照幸, 長山 正義, 阪本 一次, 加藤 保之, 妙中 直之, 津田 典之, 東郷 杏一, 由井 三郎, 梅山 馨
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2397-2402
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    当教室で最近13年間に経験した大腸単発癌手術施行例570例を対象とし, 39歳以下の若年者大腸癌の臨床病理学的所見ならびに手術成績について検討した.若年者大腸癌は570例中57例 (10.0%) であり, 女性が多かった.若年者大腸癌では, 組織型は粘液癌が多く, 壁深達度, リンパ節転移率, 腹膜播種, 組織学的進行程度において進行度の進んだ症例が有意に多かった.若年者の全手術例の累積5年率は41.0%と非若年者とくらべ有意に低率であったが, 治癒切除例の累積5年率は71.6%と非若年者の76.3%とくらべ有意差はなかった.若年者における大腸癌の早期診断ならびに治癒手術への努力が重要であると思われた.
  • 立花 光夫, 八板 朗, 谷浦 博之, 深沢 公朗, 中村 輝久
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2403-2408
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    新しい吸収性縫合糸chitinをPGA, plain catgut, chromic catgutと, 強度と弾性, 消化液中の抗張力推移, およびイヌ小腸吻合時の組織反応の点で比較して次の結果を得た.
    1.全縫合糸ともUSP 3-0で2.0kg以上と十分な抗張力であったが, chitinの伸び率は他の縫合糸よりわずかに低かった.2.chitinは人工胃液中では30日目で抗張力が35%に減弱したが, 胆汁中では97%, 膵液中では100%と変化はなかった.PGAはそれぞれ54%, 0%, 0%であり, 両catgutは30日目までに溶解した.3.縫合糸周囲の組織反応は, 両catgutが強くchitinはPGAと同程度であった.
    以上, chitinはPGAにそん色のない縫合糸といえる.
  • 真船 健一, 田中 洋一, 武内 脩, 須田 雍夫, 藤田 吉四郎, 田久保 海誉
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2409-2412
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 松村 隆, 大城 久司, 田中 一誠, 山本 泰次, 浜崎 真哉, 渡辺 浩志, 細馬 静昭, 福原 敏行
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2413-2416
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • いわゆるHauser型潰瘍癌の1例より
    安井 昭, 渋沢 三喜, 西田 佳昭, 石井 博, 小泉 和雄, 石井 惇一
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2417-2420
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 免疫組織学的検討
    高橋 豊, 磨伊 正義, 荻野 知巳, 上田 博, 北村 徳治, 沢口 潔, 上野 雅資, 浅井 透, 菅 敏彦, 太田 孝仁
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2421-2423
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 寺田 信國, 生内 一夫, 柴田 純祐, 長谷川 敏彦, 丹家 明, 小玉 正智, 布施 健治, 庭川 光行
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2424-2427
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 尾関 豊, 林 勝知, 堀谷 喜公, 鬼束 惇義, 後藤 明彦, 下川 邦泰
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2428-2431
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 土江 健嗣, 二村 雄次, 早川 直和, 神谷 順一, 長谷川 洋, 岡本 勝司, 岸本 秀雄, 塩野谷 恵彦
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2432-2434
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 長谷川 洋, 新村 健司, 村瀬 敏之, 岸本 秀雄, 前田 正司, 二村 雄次, 塩野谷 恵彦
    1986 年 19 巻 12 号 p. 2436-2439
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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