日本消化器外科学会雑誌
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51 巻, 10 号
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症例報告
  • 増田 崇, 松本 敏文, 皆尺寺 悠史, 田尻 裕匡, 江頭 明典, 川中 博文
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 599-606
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例は85歳の男性で,糖尿病の悪化の原因精査で行ったCTにて胃前庭部から十二指腸球部にかけて淡く造影される4 cm大の腫瘍性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に粘膜下腫瘍様隆起を認めた.超音波内視鏡検査では胃壁第4層に連続する低エコー腫瘤を認め,穿刺吸引生検を行うも確定診断には至らなかった.胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)の術前診断のもと幽門側胃切除術を行った.腫瘍は肉眼的には淡褐色充実性,弾性硬の腫瘤であった.組織学的には固有筋層内に多数のリンパ濾胞が形成され,その周囲に無数の形質細胞の浸潤と線維化が見られた.酵素抗体法では形質細胞のほとんどがIgGおよびIgG4に陽性であった(IgG4/IgG=100%).術後採血検査にて高IgG4血症を確認した.以上の所見より,IgG4関連硬化性疾患と診断した.胃粘膜下腫瘍の形態を呈したまれなIgG4関連硬化性疾患の1例を経験したので報告する.

  • 石山 廣志朗, 野村 尚, 福島 紀雅, 飯澤 肇
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 607-612
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    孤立性腹部内臓動脈解離は比較的まれな疾患で,同疾患に胃癌を合併し胃切除術を行った報告は過去にはなかった.今回,我々は術前CTにて無症状で発見された腹腔動脈解離と脾動脈解離を伴う58歳男性の早期胃癌に対して,D1郭清を伴う腹腔鏡下幽門側胃切除術を安全に施行した.術後合併症なく退院し,術後7か月経過観察中である.腹部内臓動脈解離を伴う胃癌手術では,腹腔動脈・総肝動脈・脾動脈周囲リンパ節を郭清する際に,電気メスや超音波凝固切開装置などのエネルギーデバイスでの熱放散による血管損傷や動脈瘤などに十分配慮し手術を遂行することが重要と考えられた.

  • 和田 敬, 旭吉 雅秀, 土持 有貴, 濵田 剛臣, 矢野 公一, 今村 直哉, 藤井 義郎, 田中 弘之, 七島 篤志
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 613-621
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例は79歳の男性で,人間ドックの腹部超音波検査で肝S2に2.5 cm大の腫瘤性病変を指摘された.同病変は腹部造影CTでの動脈相で造影され,門脈相でwash outを呈し,腫瘍内には脈管の貫通像を認めた.また,総肝動脈周囲には腫大したリンパ節を認めた.PET-CTでは肝腫瘤と総肝動脈周囲のリンパ節に一致してFDGの集積が亢進していた.術前診断として細胆管細胞癌,悪性リンパ腫を考え,前者を疑って肝外側区域切除を施行したが,術後の病理診断でmucosa-associated lymphoid tissue(以下,MALTと略記)リンパ腫と診断した.肝原発MALTリンパ腫はまれであり,画像での特徴がなく診断に苦慮することがある.転移や浸潤を認める症例は少なく,予後が良好な疾患とされるが,術後長期間経過して再発することもあり,術後慎重な経過観察が必要である.

  • 蛭川 和也, 鈴木 慶一, 浅沼 史樹, 石井 良幸, 森永 正二郎
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 622-630
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例は85歳の女性で,冠動脈精査目的に行ったCTで発見された胆囊癌に対して肝S4aS5区域切除術(D2郭清)を施行し,乳頭腺癌 pT2 N1 M0 stage IIと診断された.術後1.5年のfollow up CTで総胆管内に乳頭状の隆起性病変を指摘され,生検で前回手術検体の組織像に類似した異型細胞の乳頭状増殖を認めたため,胆囊癌の再発疑いとして幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(D2郭清)を施行した.切除検体では数珠状に多発する乳頭状腫瘍を認め,腫瘍間には正常粘膜が介在していた.病理組織学的検査では異型円柱上皮が乳頭状に増殖し,乳頭腺癌pT1 N0 M0,stage IAと診断された.肝外胆管に同時多発性に発癌した報告は比較的まれではあるが,同時多発の可能性を念頭に置いた術前術中の注意深い診断や治療戦略の決定が必要である.

  • 行田 悠, 大黒 聖二, 吉本 次郎, 今村 宏, 石崎 陽一, 福村 由紀, 川崎 誠治
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 631-639
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例1は75歳の男性で,主訴は上腹部不快感と背部痛であった.症例2は54歳の女性で,主訴は背部痛であった.いずれの症例もCTとMRCPにて膵体部に約1 cm大の囊胞性腫瘍とその膵尾側の主膵管拡張を認め,悪性腫瘍の可能性を考慮して膵体尾部切除術を施行した.2症例とも病理組織学的にはmicrocystic typeの膵漿液性囊胞腺腫(serous cystadenoma;以下,SCAと略記)であり,大きさはそれぞれ1.5 cmと1.0 cmであった.主膵管の拡張を認めたが,SCAと主膵管の交通は認めず,また,主膵管内に腫瘍性病変を認めなかったことからSCAによる圧排が原因と考えられた.SCAの中には腫瘍径が小さくても主膵管拡張を呈するものがあることは膵腫瘍の鑑別診断,治療方針決定において重要な知見であると考え,報告した.

  • 真田 祥太朗, 福岡 伴樹, 冨永 奈沙, 西 鉄生, 越川 克己, 西尾 知子
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 640-648
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    小腸腫瘍は早期の発見が困難で,腸閉塞や出血,穿孔性腹膜炎を契機に診断されることがあるが,遊離腹腔への穿孔を伴わない腸瘻,膿瘍の状態で診断されることはまれである.症例は78歳の男性で,2週間前からの腹痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで腹腔内に内部に気泡を含み水平面を形成する約10 cm径の不整形腫瘤を認め入院精査とした.消化管造影で複数か所の小腸とこの膿瘍腔への造影剤の交通を認め,膿瘍を介した小腸-小腸瘻と診断した.瘻孔の治療および腫瘍の確定診断の目的で手術を行った.膿瘍壁は小腸,結腸の腸間膜に広く癒着しており,内腔には2か所の小腸が開口していた.2か所の小腸切除術を行ったが膿瘍壁の全摘出は断念した.病理組織学的検査で腸管症型T細胞リンパ腫と診断し,化学療法を行ったが術後250日で死亡した.瘻孔を形成した悪性リンパ腫について検討し,同様の病態を呈しうる小腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)の瘻孔形成症例と比較した.

  • 皆川 知洋, 池内 浩基, 桑原 隆一, 堀尾 勇規, 佐々木 寛文, 蝶野 晃弘, 坂東 俊宏, 木原 多佳子, 井出 良浩, 廣田 誠一 ...
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 649-655
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例は47歳の男性で,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;以下,UCと略記)に対し,大腸全摘・J型回腸囊肛門吻合術(ileal pouch anal anastomosis;以下,IPAAと略記),回腸人工肛門造設術を施行した.入院中に肛門より膿性粘液の排出を認めたが,抗生剤タゾバクタム/ピペラシリン(tazobactam/piperacillin)投与にて改善した.退院後に肛門からstapleを伴った粘膜の脱出があり来院された.内視鏡検査ではJ型回腸囊(ileal J-pouch)内の粘膜の脱落と,吻合部に狭小化を認め,UCでIPAA後にileal castを生じた症例と判断した.本症例は,術前から肺動脈血栓症や糖尿病を合併しており,虚血に関与する要因を持ち合わせた症例であると思われる.UC術後のileal castは本邦での報告はなく,まれな症例であり報告する.

  • 須藤 翔, 北見 智恵, 河内 保之, 油座 築, 牧野 成人, 川原 聖佳子, 西村 淳, 新国 恵也
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 656-662
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例は79歳の女性で,S状結腸癌穿孔による汎発性腹膜炎に対し,S状結腸切除,人工肛門造設,洗浄ドレナージが施行された.術前CTで左閉鎖孔ヘルニアを認めたが,腸管の嵌頓はなく,閉鎖孔ヘルニアに対する処置は施行されなかった.術後45日目に,左大腿の著明な腫脹と疼痛が出現しCTで左閉鎖孔周囲から大腿に広範な膿瘍を認めた.大腿筋群の壊死性筋膜炎を併発しており,緊急のデブリードマン手術が施行された.その後,再度のデブリードマン手術と陰圧閉鎖療法,分層植皮術を要した.本例は閉鎖孔ヘルニア囊内に形成された遺残膿瘍が,大腿に波及したものと考えられた.消化管穿孔術後に,併存する閉鎖孔ヘルニア囊内に遺残膿瘍が形成された初めての報告である.ヘルニアの併存が認識された場合には,大腿膿瘍や壊死性筋膜炎を併発する可能性を念頭に置き,遺残膿瘍を予防する処置を行うべきである.

  • 佐藤 健太郎, 木村 憲央, 石戸 圭之輔, 工藤 大輔, 脇屋 太一, 櫻庭 伸悟, 吉澤 忠司, 谷地 孝文, 袴田 健一
    原稿種別: 症例報告
    2018 年51 巻10 号 p. 663-670
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/10/31
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    症例は32歳の男性で,腰椎X線検査で偶発的に右上腹部に60 mm大の集簇する石灰化を指摘された.腹部造影CT,腹部造影MRIで右横隔膜下に径70 mm大の腫瘍を認めた.術中所見で約80 mm大の腹腔側に突出する右横隔膜腫瘍を認め,腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見からCastlemanリンパ腫,hyaline vascular typeと診断された.Castlemanリンパ腫は原因不明のリンパ増殖性疾患であり,縦隔,肺門に好発する比較的まれな疾患であり,自験例のように横隔膜から発生したCastlemanリンパ腫は極めてまれと思われた.

編集後記
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