日本消化器外科学会雑誌
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11 巻, 10 号
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  • その胃内容排出態度について
    津秦 建治
    1978 年 11 巻 10 号 p. 791-798
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    各種の迷切, 幽成術ならびに迷切兼幽成術後の胃内容排出態度について実験的に観察し検討した.その結果, 迷切では選近迷切が最も胃内容排出障害が少なく, 幽成ではFinney法が最も良くドレナージ効果を示した.またFinney法を除く幽成は正常胃の内容排出に対しては促進効果を示さず, 迷切胃の内容排出に対しては促進効果を示した.さらに迷切兼幽成術後の胃内容排出態度は摂食後早期に急速な排出を示し, 時期の経過とともにかえって排出が遅延する傾向がみられ, その排出機転には胃の内圧が大きく関与していると考えられた.このような排出態度が本術式後のダンピング症候群, あるいはGastric Stasisを来して潰瘍の再発にも関連すると推定された.
  • 福田 徹夫, 桑島 輝夫, 森下 和哉, 蔵本 守雄, 河内 護, 島崎 安雄, 喜多 孝志, 古味 信彦
    1978 年 11 巻 10 号 p. 799-805
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の外科的治療の1つであるSPVは適応基準のみならず, その手術手技にも十分な配慮が必要である.著者らはSPV施行中損傷切離しやすい幽門洞前枝あるいは後枝に着目し, 一側の幽門洞枝が切離された場合, これをATY・SPVと定義し, 胃運動機能にどのような影響をおよぼすのかイヌを用いた慢性実験により筋電図学的に検討した.
    幽門洞前枝切離後のATY・SPVでは伝播速度はSPVに比較して軽度増加し, 前枝は伝播速度に対して抑制的機能を有していると推察された.放電間隔はfeeding早期存にはSPVに比較して軽度減少した.胃壁の収縮形式は正常胃と同様であった.
    幽門洞後枝切離後のATY・SPVでは伝播速度はSPVに比較してほぼ同様であり, 放電間隔はSPVに比較してfeeding早期に延長した.
    臨床例では2例中1例に胃排出時間の軽度遅延をみた.
  • 福田 一郎, 岩永 剛, 寺沢 敏夫, 青木 行俊, 谷口 健三, 小山 博記, 古河 洋
    1978 年 11 巻 10 号 p. 806-810
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    噴門部胃癌191例のうち, 手術後の吻合部断端再発17例について検討し, 次の結果を得た.(1) 食道への胃癌浸潤先進部は, 粘膜深層より深部の食道壁にあることが多く, 術中の全層の迅速組織診は重要である.(2) 食道への浸潤の長さは, 固定標本で最長8cmのものもあり注意を要する.(3) ow (-) 例でも断端再発がみられたが, 組織学的癌浸潤先端から固定標本で2.1cm以上口側で切除されたものには断端再発がなかった.(4) 食道浸潤例では, 肉眼的腫瘍縁より, 浸潤型では限局型よりも, またリンパ系侵襲高度なものでは軽度なものよりも, より広く口側への浸潤が及んでいた.(5) 食道への癌浸潤部を十分切除するには, 右開胸が最も良い.
  • 磯部 茂, 武藤 輝一, 松木 久, 奈良井 省吾, 野沢 晃一, 田近 貞克, 高桑 一喜, 佐々木 広憲, 鰐渕 勉, 田宮 洋一
    1978 年 11 巻 10 号 p. 811-816
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ストレス潰瘍からの出血や穿孔に対して手術を施行した10症例について検討した.2例に広範囲胃切除術を, 7例に胃亜全摘兼迷切術を1例に胃全摘術を施行した.広範囲胃切除術を施行したうちの1例のみに手術後再出血が認められ同症例はそれにより死亡した.残り8例中5例は術前より強度黄疸や重症感染症の合併があり, 術後1~17日目に死亡した.しかし生存した3例を含め8例全例に術後再出血は認められなかった.ストレス潰瘍に対する外科的治療として, 胃穹窿部ないし噴門に病変が及ばない場合には, 小弯側を食道胃接合部近くで切離する幽門側胃亜全摘術に迷切術を加える術式が適当であると考え, この術式を施行する事を推奨する.
  • 藤井 康宏, 宮下 洋, 斉藤 永, 八牧 力雄, 古谷 達男
    1978 年 11 巻 10 号 p. 817-821
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍患者27例を手術群 (13例) と非手術群 (14例) に分け, 術前または保存的治療前の胃液酸度および空腹時血清セクレチンを測定したところ, 胃液酸度はいずれも高酸であったが大差なく, 血清セクレチンは非手術群の194.4±43.98pg/mlに対し, 手術群は130.1±37.6pg/mlと有意差を以て低値であった.非手術群および手術群 (術前, 術後) に対し, 塩酸負荷 (経口的投与) を行ったところ, 両群間に, 特に差異は認められなかったが, 血清セクレチンが低値で, しかも負荷に対して, ほとんど反応しなかった症例が手術による減酸効果が不良であった.
    今後, 十二指腸潰湯に対する治療において, 形態学的変化あるいは胃液酸度の面のみならず, セクレチン分泌動態をも考慮する必要があろう.
  • 膵管内エンドトキシン持続注入の効果について
    水間 公一, 白松 幸爾, 戸塚 守夫, 早坂 滉
    1978 年 11 巻 10 号 p. 822-828
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    著者はエンドトキシン, タウロコール酸, 生理的食塩水を犬主膵管に持続注入し血液生化学的, また膵を病理組織学的に検討した.高アミラーゼ血症は3群ともに観察されたがエンドトキシン注入群に最も高度であった.また膵組織の変性, 崩壊もエンドトキシン注入群で最も著明であり出血性膵炎の様相を示していた.血清リパーゼ値は組織学的変化をかならずしも反映しなかったが血清アミラーゼ値は良く膵の変化と一致した.以上よりエンドトキシンの膵管内持続注入法は血清膵酵素値の上昇と膵の組織学的変化を惹起し実験膵炎作製の方法として有用であると考えられた.
  • 佐竹 克介, 内間 恭堅, 土肥 浩義, 梅山 馨
    1978 年 11 巻 10 号 p. 829-833
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    急性膵炎時に見られる血液凝固能異常に対する膵液の関与を検索する目的で, 正常膵液, 活性化膵液および急性膵炎時の腹水 (2ml/kg) を正常犬に静脈内注射を行ない凝血学的検討を行なった.
    正常膵液および活性化膵液注射後には血中fibrinogen量の減少, 血小板数の減少, P.T.TおよびProthrombintimeの延長が見られたのみで, その程度は活性化膵液注射群で著明であった.腹水注射群ではこれら反応に加えて, E.L.Tの短縮, F.D.Pの増加が見られ, 抗Fibrin蛍光抗体法にて肺, 腎, 膵に多数のfibrin沈着が見られた.
    以上の事実は, 急性膵炎時の腹水中にtrypsin以外のfibrinogen catabolismを増加する因子が含まれていることが示唆された.
  • S-GPT高値例を中心として
    山内 昌一郎, 古賀 明俊, 中山 文夫
    1978 年 11 巻 10 号 p. 834-839
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    輸血歴がなく, かつ術前の肝機能検査で異常を認めない1,952例の術後S-GPT値の変化を観察した.術後S-GPT値が50単位以上を示す例は169例8.7%であり, 上腹部疾患, 悪性疾患, ハロセン麻酔例に多くみられた.これらをS-GPT値の術後変化の様相により4型に分類した.術直後よりS-GPT値が一過性に上昇するI型は手術操作などによる一過性の肝障害とみなせる.II型は術後一週以後にS-GPT値が上昇し, 好酸球増多症を高率に伴い薬物によるアレルギー性肝障害の可能性がある.III型は術直後よりのS-GPT値上昇が高度でしかも遷延化し, I型に比し手術侵襲が大であると考えられる.IV型はS-GPT値が術後二峰性を示し肝障害の原因も多元的であると推定される.
  • 小林 衛, 嶋田 紘, 佐藤 一美, 新田 紘一郎, 鬼頭 文彦, 池田 義雄, 米沢 健, 土屋 周二
    1978 年 11 巻 10 号 p. 840-846
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸13例, 正常対照10例に経静脈的ブドウ糖負荷試験(IVGTT)を施行した.黄疸例の耐糖能, glucose mediated insulin releaseは低下し, 負荷後の早期インシュリン反応も欠如していた.また血清Kは負荷後平均約7%(対照約5%)減少し, 120分後にも負荷前値に戻らず, 無機Pは約10%の減少で, 対照(約20%)より少なかった.前述13例中良性疾患9例に閉塞解除後3週, 2月の各時期に同様の負荷試験を施行した.解除後2月には耐糖能, glucose mediated insulin releaseは改善し, 早期インシュリン反応も回復した.同時に血清K, 無機Pの変動も前述の対照と同じパターンになった.なお解除後3週の検査結果は解除前と解除後2月の成績のほぼ中間の成績を示していた.
  • 渡辺 信介, 南里 正明, 中村 憲二, 北川 直樹, 西岡 文三, 藤田 佳宏, 間島 進, 沢井 清司, 加藤 元一, 徳田 一
    1978 年 11 巻 10 号 p. 847-854
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃や大腸腫瘍に対する最近の診断技術および治療成績の著しい向上に較べて, 小腸腫瘍の診断技術面にはなお多くの問題が残されている. 小腸非上皮性腫瘍は初期に特有の臨床症状がなく, また疾患の頻度がまれなために腫瘍の病期が進んでから発見されることが多く, 肉腫例での治療成績は他の部位での消化管悪性腫瘍に較べて悪い.
    したがって肉腫例の治療成績向上のためには, 早期発見のための診断法が確立されることと, 有効な手術およびR補助療法がなされることが大切である.
    われわれは, 過去10年間に十二指腸を含む小腸非上皮性腫瘍22例を経験したので, 主として診断成績・治療成績について検討した.
  • 藤田 秀春, 正司 政夫, 能登 啓文, 上田 博, 宮崎 仁見, 八尾 直志, 磯部 芳明, 米村 豊, 宮崎 逸夫
    1978 年 11 巻 10 号 p. 855-861
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    縫合不全に対する高カロリー輸液 (IVH) の治療効果を検討した.縫合不全症例147例を, IVH (+) 69例, IVH (-) 78例の2群に分け, それぞれを重症度別にI度からIV度に分類した.全体の治癒率ではIVH (+) 58.0%, IVH (-) 44.9%で大差はなかったが, 重症度に応じた治癒率では, I度100%: 100%, II度100%: 91.3%, III度52.6%: 24.3%, IV度38.9%: 0%で重症例において明らかにIVHの効果がみられた.II度とIII度について, 自然治癒までの期間を比較したところ, II度14日: 40日, III度22日62日とIVH (+) で治療期間の著明な短縮を認めた.敗血症の発生, インシュリンの使用頻度では重症, 軽症間に差はなく, 縫合不全に対するIVHの効果が確認された.
  • 松山 四郎, 長嶋 起久雄, 鈴木 則夫, 谷口 章, 中村 卓次
    1978 年 11 巻 10 号 p. 862-866
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    自験6例のECA, EAのうち4例が死亡したが, 残存正常腸管が決定的に短かったからではなく, 腸瘻造設部位不適切や術後の腸炎を適切に処置しえなかったためであった.今後死亡率を低下させるためには, 生後間もなくから始まる器質的閉塞のない腸閉塞に対しては本症を念頭におき, 術中生検により適切な部位に腸瘻を造設し, 術後電解質失調, 腸炎に備え, 根治手術後状態が安定するまで入院管理し, 退院後も腸炎発作に対応できるようにしておく必要がある.高カロリー輸液, Martin手術は有力な手段であるが, 今後さらに術中診断法, 根治手術法の開発, 改良やH病に伴う腸炎の原因解明と根本的な治療法の開発が必要である.
  • 穴沢 雄作, 宋 子寄
    1978 年 11 巻 10 号 p. 867-871
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 小児発症について
    別府 眞琴, 左近 賢人, 疋田 邦彦, 平井 健清, 村井 紳浩, 谷口 積三, 吉本 信次郎
    1978 年 11 巻 10 号 p. 872-876
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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