目的:残胃癌では術式により領域のリンパ流が大きく異なる.
方法:2001年1月から2012年8月までに残胃癌の診断で残胃切除を施行した49例を対象として,リンパ節転移の有無,初回手術術式の相違によるリンパ節転移の傾向および生命予後について検討した.
結果:リンパ節転移陽性群(陽性群)は12例で転移陰性群(陰性群)が37例であった.陽性群で深達度が高度であり,未分化型が多く,高度脈管侵襲を認めた.陽性群での再発は9例(75%)に認め,無再発期間の中央値は8.5か月であった.5年生存率では陰性群が82%に対して,陽性群が0%と陽性群で有意に予後不良であった.陽性群における初回手術別のリンパ節転移の検討では,残胃空腸吻合群(Billroth-II法とRoux-en-Y法)において,全例空腸間膜リンパ節への転移を認め一定の傾向が認められた.
結語:残胃癌のリンパ節転移陽性例は極めて予後不良であり,特に残胃空腸吻合群では空腸間膜リンパ節の重点的郭清が必要であると考えられた.さらに,陽性群では早期に再発を来しやすいことから,強力な術後補助化学療法が必要と考えられた.
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