膵・胆管合流異常 (合流異常) と胆道癌との因果関係解明の一段階として, 胆嚢上皮の細胞動態を比較検討した. A群: 正常胆嚢症例19例, B群: 胆嚢結石症18例, C群: 胆道癌8例, D群: 合流異常15例に対してbromodeoxyuridine (BrdU) に対するモノクローナル抗体を用いて, invitro BrdU標識法にてDNA合成期 (S期) 細胞を標識し, 免疫組織化学的に検討した. 標識細胞数/胆嚢粘膜上皮細胞比より求めた標識率はA群: 0.31±0.36%(Mean±SD), B群: 0.54±0.60%, C群: 6.50±3.38%, D群: 3.57±4.56%で合流異常例ではA群, B群に比べて有意に高く, その値は胆道癌の癌部と近似した値を示し, 合流異常の胆嚢粘膜上皮のS期細胞は胆道癌の癌部と同様に, 正常例の胆嚢粘膜上皮よりも増加している症例が多いという成績を得た.
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