日本消化器外科学会雑誌
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13 巻, 3 号
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  • 大熊 利忠, 成田 久季, 井上 吉弘, 岡村 健二, 多田 出, 横山 育三
    1980 年13 巻3 号 p. 159-164
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道噴門癌25症例に術前後の栄養管理として成分栄養法 (ED) を試みた. 術前は数経鼻的に胃・十二指腸にチューブを留置し, 術後は胃管に作成した胃瘻あるいは空腸瘻から術後の腸蠕動の回復をまつことなく, 術後第1日目から持続点滴法により24時間連続投与した. 術前ED施行例では入院時から手術までに平均3%の体重増加がみられた. 術後ED施行例の血清アルブミン値は術後普通経管栄養食投与群に比して術前値に対する減少率は軽度であった. またED施行群では術後6日目に窒素平衡が正に転じた. 術後縫合不全, 術後乳糜胸の症例にも有効であった.
  • とくに胸腔内リンパ節転移について
    豊田 澄男, 太田 博俊, 大橋 一郎, 高木 国夫, 梶谷 鐶
    1980 年13 巻3 号 p. 165-171
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    癌研外科において1947年より1972年までに切除された食道浸潤した胃癌および境界部癌351例を, 主として胸腔内リンパ節転移について検討した. 胸腔内リンパ節郭清は開胸例214例中121例に行われ, その転移率は28.1%, 軽移度17.1%であった. 口側壁内転移のある10例を除き, 食道浸潤2cm以下の群45例と, 2cmを越す群66例とに分けると, 胸腔内リンパ節転移率は前者では4.4%であったが, 後者では34.8%の高値であった. そのことにより胃癌および境界部癌で食道浸潤距離が2cmを越す例では, 胸腔内リンパ節廓清および, 断端癌遺残防止の目的で, 開胸すべきであるとの結論を得た.
  • 発症および増悪因子としての誤嚥の重要性について
    川崎 勝弘, 小川 嘉誉, 原 孝彦, 城戸 良弘, 岡川 和弘, 神前 五郎, 曽根 脩輔
    1980 年13 巻3 号 p. 172-177
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    食道癌手術症例の胸部x線像の経過を検討したところ, 初発異常陰影としては細い気管支の閉塞による無気肺と, それに炎症を伴った浸潤影が大部分を占めた. この陰影の多くは術直後, 術後1日目に左下肺からはじまっており, 原因として気道内分泌物貯留だけでなく, 口腔内分泌物や消化液の流入, 誤嚥が関与しているものと考えられた. また, 術式により初期陰影の発生頻度と増悪率に差があることから, とくに消化液の誤嚥は浸潤影の発生因子となり, 増悪因子となるものと考えられた. この防止策として, 挙上胃管内に減圧チューブの挿入および術後気管内挿管による管理などが有効と考えられる.
  • X線写真による胃癌の生長解析
    多淵 芳樹, 井上 和則, 南 正樹, 朴 採俊, 加藤 道男, 村山 良雄, 滝口 安彦, 川口 勝徳, 光野 孝雄
    1980 年13 巻3 号 p. 178-185
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌の逆追跡症例12例について, X線的な胃癌の生長解析を試みた. 胃癌の径生長曲線と壁深達度の分析から, m癌からse癌に至る胃癌の生長過程に, 早期癌および早期癌を思わせる病巣にみられ徐々に癌径を増す早期癌期, 癌径をほとんど増さず主として深部浸潤を示す早期癌を思わせる病巣から進行癌に移行する早期・進行癌移行期および進行癌にみられる急速に癌径を増す進行癌期の性質の異った3時期の存在が観察された. これらの3生長期における平均癌径・面積生長速度および平均癌径倍加時間を測定し, それぞれの測定値を従来の報告例と比較して, m癌からse癌に至る胃癌の生長過程について考察を加えた.
  • とくに進展度との関係について
    森田 耕一郎, 江里 健輔, 守田 信義, 野間 史仁
    1980 年13 巻3 号 p. 186-191
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌39例について術前に6種の血清糖蛋白を測定し, 肉眼的進展度, 漿膜浸潤度, リンパ節転移別に検討した. α1AG, Hp, Cp, α1ATは胃癌が進展するにつれて高値となったが, α2M, α2HSはstage IVになると, むしろ低値であった. 漿膜浸潤度が高度になるにつれて, 血清糖蛋白は高値となったが, とくにCpが35ml/dl以上になると, 癌の漿膜に浸潤していることを示唆した. リンパ節転移の有無による血清糖蛋白値の変動は認められなかった. PPD皮内反応と血清糖蛋白値との間にも相関を認めなかった. 以上のことより, 血清塘蛋白値を術前および術後経時的に知ることは癌の進展度および予後を知る上に有用である.
  • とくにEnterogastroneとの関連において
    山岸 健男
    1980 年13 巻3 号 p. 192-198
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃瘻と膵瘻を作製したイヌを用いて, 20%cholecystokinin (CCK), puresecretinおよび十二指腸内のオレイン酸の示す膵重炭酸分泌・蛋白分泌・胃酸分泌・胃排出抑制作用を比較検討したが, 十二指腸内の脂肪の示すこれらの生物学的作用はいずれもCCKと小量のsecretinの共働作用によるものとして説明することができた. 一方, これらのイヌにおいて, 十二指腸内にオレイン酸を注入するとpentagastrin刺激胃酸分泌反応は有意に抑制されたが, histamine dihydrochloride刺激胃酸分泌反応は全く抑制されなかった. これらの結果は, 十二指腸内の脂肪によるenterogastrone様の作用の発現にCCKとsecretinが関与している可能性を強く示唆するものであった.
  • ICG Rmax一日測定法の実際と安全性について
    吉川 澄, 池田 義和, 東島 哲也, 岡田 正, 中尾 量保, 川島 康生, 竹谷 弘
    1980 年13 巻3 号 p. 199-206
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    腹部手術症例64例を対象にICG Rmax一日測定法について述べた. また, この方法を用い肝予備能の指標としてのICG Rmaxが手術侵襲により, どの様な変動を示すかを一般腹部手術症例として, 胃癌, 胆石症例など12例, また, 障害肝症例として肝硬変による食道静脈瘤症例10例を中心に検討を行った. ICG Rmaxの変動は, 疾患, 術式などで差がみられ, 術前値より術後の肝予備能の低下や回復の程度を予測でき, 手術適応の指標となり得ると思われた. また, ICG反復負荷時の肝障害や副作用の発生の有無: 科ついて検討したが, 著変を認めた症例はなく, 安全に行える検査法であると考える.
  • とくにインスリン刺激時の膵グルカゴンおよびヒト膵ペプチドについて
    山村 武平, 琴浦 義尚, 辰己 葵, 三浦 順郎, 石川 羊男, 伊藤 信義, 森 幸三郎, 清野 裕
    1980 年13 巻3 号 p. 207-213
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    各種迷切術を伴う手術の術前後症例 (38名) にインスリン低血糖による迷走神経刺激を行い, 膵グルカゴン (IRG), ヒト膵ペプチド (HPP) の血中動態を比較検討した. IRGは低血糖発来の後, 術前, 選近迷切, 選迷切+幽門洞切除, 胃全摘のいずれの群でも増加した. しかし前三群での増加に比べ, 必然的に全幹迷切となる胃全摘群ではこの反応が有意に低下した. HPPは術前では低血糖の発来と同時に著明に増加した. この増加反応は術前>選近迷切>選迷切+幽門洞切除となり, 全摘群ではほぼ無反応であった. 以上より, IRG分泌調節には迷走神経膵枝が関与しているが, HPP分泌調節には膵枝だけでなく胃枝も影響する可能性が示唆された.
  • 剖検例よりみた検討
    竹内 勤, 岸 清志, 竹重 元寛, 日野原 徹, 岩井 宣健, 西村 興亜, 古賀 成昌, 吉田 恭弘
    1980 年13 巻3 号 p. 214-221
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高カロリー輸液 (TPN) 施行剖検例15例に病理組織学的検索を行い, 肝に多彩な変化をみた. すなわち, 肝の脂肪変性, 肝内胆汁うっ滞, 細胞質の混濁腫脹, 空胞変性, 核の空胞化などがみられたが, これらの変化はTPN短期 (30日以内) 施行例に比べ, 長期 (30日以上) 施行例に高率にみられ, その程度も高度であった. TPN施行中の肝機能検査では, 高ビリルビン血症が7例にみられ, またtransaminaseの上昇した5例では組織学的にも脂肪変性などが高率にみられた.
  • 鶴見 清彦, 炭山 嘉伸
    1980 年13 巻3 号 p. 222-225
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    54例の大腸癌中25例に上下腸間膜動脈造影を行い, 腫瘍所見と血管造影所見との比較検討を試みた. 25例の血管造影所見上出現率をみてみると, 血管途絶32%, 血管壁浸潤不整52%, 腫瘍血管76%, 腫瘍斑72%, 屈曲蛇行52%, 圧排転位52%, 静脈相早期出現12%であった. 高頻度に出現するのは, 腫瘍血管と腫瘍斑で静脈相早期出現は低かった. 腫瘍の局在場所と血管造影所見を検討すると, 直腸, 肛門, S状結腸は所見頻度が高く, 上行結腸, 横行結腸は所見頻度が低かった. Stageとの関係は, Stage進行につれて, 所見陽性例が多く, それだけ血管への浸潤像, 組織破壊を示す所見が得られた. 摘出標本の大きさと血管造影所見上の腫瘍の大きさを比較するとほぼ同じ大きさを示していたが, 注腸透視や内視鏡では壁外への広がりを推測出来ないが血管造影では腫瘍の全容を把握出来る点, 有意義である. 大腸癌における腸間膜動脈造影所見は, 局在場所, Stage別分類と相互関係があったと判断した.
  • とくに手術前後における胆汁酸, 腸内細菌, 脂肪吸収能の変動について
    福島 恒男, 石男 直樹, 諏訪 寛, 松田 好雄, 竹村 浩, 土屋 周二
    1980 年13 巻3 号 p. 226-231
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎11症例および本症の手術後16症例の小腸機能を検索した.本症の十二指腸液中の細菌は10例中7例 (70%) に検出され, pseudomonasが多かった. 手術後には7例中4例 (57.1%) に検出された. 本症の胆汁中の遊離型胆汁酸は全例に検出されたが, 手術後には8例中6例 (75%) に検出された. 抱合胆汁酸G/T比は本症および本症の手術後で, 対照群と有意差を認めなかった. 胆汁酸分画では両群でdeoxychol酸が変明に減少していた. 脂肪吸収障害は本症の7例中2例 (28.5%) にみられ, 手術後は9例中5例 (55.5%) にみられた. VB12吸収障害は本症の4例中2例 (50%) にみられ, 手術後には6例中1例 (16.7%) にみられた.
  • とくに, 脾固定術による, 経脾経門脈的抗癌剤投与法を中心にして
    由里 樹生, 浜野 恭一, 秋本 伸, 大森 尚文, 亀岡 信悟, 戸田 一寿, 武藤 晴臣, 高崎 健, 小林 誠一郎
    1980 年13 巻3 号 p. 232-237
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移に対する治療の1つとして, われわれは, 経脾経門脈的, 経肝動脈的同時抗癌剤投与法を考案, 施行している. すなわち, 経門脈的には, 脾固定術を行い, 直接脾に抗癌剤を投与する方法, 経肝動脈的には, 肝動脈内カニューレーションを行い投与する方法である. 本法, とくに脾固定術は, 長期間抗癌剤の投与を安全かつ容易に行い得, 造影によっては, 治療効果の判定にも利用できる. 現在までに, 脾固定術を13例に施行しているが, 全例合併症をみていない. その治療効果は, 13例中, 死亡例7例, 平均生存期間5.7ヵ月で, 従来の経静脈的抗癌剤投与法 (平均生存期間5.9ヵ月) と変りないが, 6例は生存中であり, その平均期間は10.3ヵ月と, 良い結果を得ている.
  • 前田 正司, 七野 滋彦, 佐藤 太一郎, 磯部 豊, 岸本 秀雄, 河野 弘, 秋田 幸彦, 二村 雄次, 早川 直和
    1980 年13 巻3 号 p. 238-241
    発行日: 1980年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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