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豊永 政和, 平岡 武久, 田中 秀明, 田代 征記, 宮内 好正
1988 年 21 巻 12 号 p.
2685-2689
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤に対して硬化療法が広く行われている現状において, 外科的治療法の臨床的意義を, 左開胸開腹横隔膜切開食道離断術施行症例67例の成績から検討した. 5年累積生存率は全体で74.3%, Child分類別ではChild A 100%, B75.2%, C53.7%であった. 早期死亡は2例 (3.0%) で, 遠隔時死亡は肝不全死8例 (11.9%), 出血死3例 (4.5%) であった. 手術安全限界に遠隔成績を加味した術前肝機能の検討で, 術前のICG血中消失率0.075を境界に, 5年累積生存率が88.8%と52.5%にわかれ有意差を認めた. 従来の手術安全限界よりさらに厳しい0.075以上の症例で, 手術的にきわめて安全でしかも良好な長期予後が得られ, 本術式の意義があると思われた.
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岡本 哲彦, 有森 正樹, 竹内 広
1988 年 21 巻 12 号 p.
2690-2694
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
食道癌における扁平上皮癌関連抗原 (TA-4) の組織染色性を免疫組織学的に検討した. 食道癌21例を対象とし, PAP法で染色し光顕的に検討した. 食道癌に21例中TA-4陽性は9例であった. 角化傾向のある高分化, 中分化例で陽性例が多く, 低分化例はすべて陰性であった. 深達度の進んだ症例で, 陽性例が多かった. 食道癌病変から充分離れた非癌部食道上皮を正常食道上皮とし, 5例を検討した. 正常扁平上皮は, いずれも表層および中層は染色されたが, 深層は染色されなかった. 検討症例中3例に異型上皮がみとめられたが, いずれの異型上皮も染色されなかった. 4例の剖検胎児食道上皮は, いずれもTA-4陰性であった.
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杉原 隆
1988 年 21 巻 12 号 p.
2695-2702
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
ビーグル犬2頭にN-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (ENNG) を投与し食道に多発性の癌を発生させ, 発癌初期の腫瘍の増殖様式について病理組織形態面および悪性度の客観的指標としての核DNA量分析の面から検討をおこなった. 得られた上皮内癌54病巣をみると, 深部置換型と全層置換型の明らかに異なる2つの形式が認められた. 中でも表層の極性を保ちながら基底層, 傍基底層を中心に下方への浸潤を示す深部置換型上皮内癌が全体の2/3と極めて高率に認められた. また核DNAヒストグラムの検討でも粘膜の深層にaneuploidyを認め, この基底層, 傍基底層を中心とした増殖様式が本イヌ実験食道癌における初期進展様式の1つの特徴と考えられた.
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森本 俊雄
1988 年 21 巻 12 号 p.
2703-2711
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
胃切除術後長期経過症例の, 吻合術式による生理学的ならびに組織学的相違点を解明するために, 広範囲胃切除術後症例30例 (Billroth-I法: B-I法15例, Billroth-II法: B-I法15例) を比較検討したB-II法群の胃内外分泌機能は低く, MAO値は0.32±0.12m Eq/hr, T-IGR値は0.11±0.02ng. min/mlといずれもB-I法群より有意に低値であった. 組織学的にもB-II法群では, 固有胃腺の萎縮や, 吻合部における腺の嚢胞状拡張などの出現が有意に高頻度であった. このB-II法群の残胃粘膜萎縮は, duodenal bypassによるgastrinのtrophic actionの欠如によって引き起こされると考えられた.
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孝冨士 喜久生, 橋本 謙, 武田 仁良, 掛川 暉夫
1988 年 21 巻 12 号 p.
2712-2715
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
深達度が粘膜固有層にとどまる胃の高分化型管状腺癌 (IIa: 41病巣, IIc: 15病巣), 隆起型異型上皮巣30病巣および幼若な再生上皮を有する良性胃潰瘍15病巣について, 酵素抗体法を用いて病巣内Carcinoembryonic antigen (CEA), Carbohydrate antigen19-9 (CA19-9) 局在を検討した. その結果, 胃癌ではCEA80.4%, CA19-9 64.3%と高率に陽性であったのに対し, 異型上皮巣ではCEA13.3%, CA19-9 10.0%で陽性率が低かった. 一方, 潰瘍辺縁の異型化した再生上皮には, CEA, CA19-9とも認められなかった. これらの病巣を鑑別する手段として両腫瘍マーカーの免疫組織化学的検討が有用と思われた.
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熊沢 健一, 菊池 友允, 大石 俊典, 中島 久元, 大東 誠司, 昆野 博臣, 若林 敏弘, 島川 武, 芳賀 駿介, 梶原 哲郎
1988 年 21 巻 12 号 p.
2716-2723
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
Indocyanine green (ICG) 最大除去率 (Rmax) は誤差がでやすくその信頼度に疑問が持たれている. われわれは求めたRmaxに信頼性があるかどうかを判定する基準を以下のように設定している. 1) 循環動態が安定していること, 2) 血中濃度 (C) はC
2n>C
2 (n+1) を満たすこと. 3) 血中濃度の相関係数はほぼ1であること. 4) 消失率 (K) はK
0.5>K
1.0>K
3.0を満たすこと. 5) 反応速度の相関係数はほぼ1 (0.9969以上) であること. しかし, 対象64例中この基準を満たした症例は40例 (62.50%) にすぎなかった. そこで, ICGの負荷量と消失率を補正してRmaxを求めたところ判定基準を満たした症例は54例 (84.38%) に増加した. したがって, Rmaxの信頼度を高めるためには負荷量および消失率を補正する必要があると考えられた.
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小川 吾一, 矢次 孝, 森田 茂利, 江藤 敏文, 宮本 峻光, 井沢 邦英, 原田 昇, 土屋 凉一
1988 年 21 巻 12 号 p.
2724-2729
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去4年間に経験した胃癌および大腸癌の肝転移症例 (胃癌10例, 大腸癌14例) について, 転移巣ultrasonography (US) 像を比較検討した. 腫瘍の大きさは大腸癌 (4.6±1.3cm) の方が胃癌 (3.3±1.4cm) より有意に大きかった. 形状は両者ともに大きくなるにつれ球形からヤツガシラ形となる傾向を認めた (p<0.05). エコーレベルは両者とも低・等から高・混合エコーになる傾向を認めた (p<0.05). 境界US像は, 腫瘍側境界において胃癌では平滑~ こまかい凹凸が多く (8/10), 大腸癌ではあらい凹凸が多かった (6/14). 境界US像は腫瘍辺縁部における増殖形態を表し, 原発巣の性質を反映すると考えられるので境界部のUS所見の検討も重要であると思われた.
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井沢 邦英, 瀬川 徹, 東 尚, 矢次 孝, 佐々木 誠, 冨岡 勉, 元島 幸一, 山口 孝, 角田 司, 原田 昇, 土屋 凉一
1988 年 21 巻 12 号 p.
2730-2737
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
肝切除後1年以上経過した肝細胞癌78例を対称に, 再発形式と再発時期の関連因子を手術術式, 各種検査値, 病理組織等について比較検討した.
両葉多発再発例は腫瘍径が最も大であった. 断端再発例は被膜への癌浸潤が66.7%と高く, 両葉多発再発および他臓器再発では娘結節, 門脈腫瘍栓を高率に有し, 他臓器再発では被膜への癌浸潤が83.5%と最も高率であった.
6ヵ月未満再発例に有意差をもってHBe抗原陽性率を示した. 術前肝動脈塞栓術 (以下, TAE) による癌の壊死率と再発時期に相関はなく, 術前TAE併用切除術は再発抑制効果がないことを示唆した. small liver cancerでは亜区域切除と部分切除で予後に差がなかった.
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白波瀬 功, 大澤 二郎, 網 政明, 東出 俊一, 田中 誠, 伊東 正文, 篠田 正昭
1988 年 21 巻 12 号 p.
2738-2743
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
昭和51年から61年までの11年間に当科で経験した胆嚢消化管瘻13例を対象に, 診断と外科的治療を中心に検討した.術前診断しえたのは13例中6例 (46%) で, 存在診断には腹部単純撮影と消化管造影が有用であった.直接胆道造影は有所見例では質的診断も可能であった.手術は胆嚢摘出術と瘻孔閉鎖術を基本とし, 根治術をしえたのは13例中9例で, 胆石イレウスの2例には腸切開結石摘出術のみを行った.瘻孔の開存により胆道の逆行性感染や肝機能異常等の合併症をきたすことは少く, また特に胆石イレウス症例では一期的根治術施行後にむしろ胆道系合併症が多いことから, 胆石残存の認められないときは必ずしも手術侵襲の強い瘻孔根治術を必要としないと考える.
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清水 泰裕, 平尾 雅紀, 池上 淳, 高田 稔, 河島 秀昭, 石後岡 正弘, 松毛 真一, 原 隆志, 高桑 良平, 畠山 広巳, 山崎 ...
1988 年 21 巻 12 号 p.
2744-2751
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去10年間に当院で経験した282例の大腸癌手術症例中, 単発大腸癌222例の遠隔成績を検討した. 治癒切除例の粗累積5年生存率は結腸癌83.7%, 直腸癌74.3%であった. 直腸癌では, Dukes分類による進行程度と予後は良い相関を示した. 癌の占居部位, 直腸癌の術式が予後に及ぼす影響は小さく, 長期予後向上のためには可及的に治癒切除を施行することが重要である. また, 治癒切除不能例の50%生存期間は相対非治癒切除25.9ヵ月, 絶対非治癒切除11.1ヵ月であった. 相対非治癒切除例は絶対非治癒切除例と比較し, 有意に予後良好であり, 可及的に非治癒因子を切除する意義が認められた.
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永沢 治, 小棚木 均, 山崎 好日児, 日下 尚志, 成沢 富雄, 小山 研二, 深谷 雄一郎, 山崎 匡
1988 年 21 巻 12 号 p.
2752-2755
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
昭和51年から昭和60年に秋田大学第1外科で外科的切除を受けた結腸癌123例を対象として, 結腸癌の血行性転移を数量化して予測することを試みた, 血行性転移を有する37例と血行性転移を有しない86例の臨床病理学的因子を比較した結果, 深達度, リンパ節転移, リンパ管侵襲, 静脈侵襲, 術前carcinoembryonicantigen (CEA) 値の5因子で有意差を認めた. これら因子の血行性転移に及ぼす重みを, 数量化II類による多変量解析を用いてスコア化した結果, リンパ節転移, 静脈侵襲, 術前CEA値の因子で血行性転移と強い関連を有した. 該当する因子のスコアの総和として得られる症例スコアは, 異なる施設の結腸癌血行姓転移とも関連を認め, その予知に有用と考えられた.
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柏木 宏, 小西 文雄, 植木 広元, 宇賀神 浩人, 金沢 暁太郎
1988 年 21 巻 12 号 p.
2756-2760
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
肛門縁より6から12cmに下縁を有する直腸癌67例を対象に, 肛門括約筋温存術施行群36例と腹会陰式直腸切断術施行群31例の転帰を比較することにより, 直腸癌に及ぼす術式の影響を検討した. 両群における予後影響因子のうち性別, 年齢, 腫瘍の大きさ, 肉眼型, Dukes分類, 壁深達度では有意差を認めなかったが, 組織学的分化度では肛門括約筋温存術施行群で中低分化腺癌が多かった. また生存率, 再発率, 局所再発率に関しては両群間で有意差を認めなかった. 以上より肛門括約筋温存術を施行することが直腸癌の予後に悪影響を与えるとは考えられず, 肛門括約筋温存術の適応を拡大してよいと考えられた.
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浜之上 雅博, 末永 豊邦, 鮫島 淳一郎, 島津 久明
1988 年 21 巻 12 号 p.
2761-2764
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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唐木 芳昭, 島崎 邦彦, 山岸 文範, 宗像 周二, 小田切 治世, 真保 俊, 斉藤 寿一, 坂本 隆, 藤巻 雅夫, 大西 雄太郎
1988 年 21 巻 12 号 p.
2765-2768
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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花岡 俊仁, 松原 淳, 杉山 悟, 白川 和豊, 国方 永治, 大屋 崇, 後藤 有三, 浜崎 美景, 川端 健二
1988 年 21 巻 12 号 p.
2769-2772
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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鈴木 昇, 鍋谷 欣市, 花岡 建夫, 中田 芳孝, 小口 晋平, 小林 義氾, 関原 正
1988 年 21 巻 12 号 p.
2773-2776
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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堀米 直人, 梶川 昌二, 飯田 太, 太田 浩良, 永井 規敬
1988 年 21 巻 12 号 p.
2777-2780
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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堀 明洋, 二村 雄次, 早川 直和, 神谷 順一, 久保田 仁, 塩野谷 恵彦
1988 年 21 巻 12 号 p.
2781-2784
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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木下 正之, 中尾 量保, 宮田 正彦, 池田 義和, 津森 孝生, 沢田 道雄, 川島 康生
1988 年 21 巻 12 号 p.
2785-2788
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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吉松 泰彦, 小澤 壮治, 森川 信行, 奥田 康一, 住山 正男
1988 年 21 巻 12 号 p.
2789-2792
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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松川 俊一, 冨岡 勉, 永田 康浩, 江藤 敏文, 山口 孝, 角田 司, 原田 昇, 土屋 涼一, 高木 美和子
1988 年 21 巻 12 号 p.
2793-2796
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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平野 鉄也, 真辺 忠夫, 田村 耕一郎, 山木 健一郎, 野中 敦, 浅野 昇, 戸部 隆吉
1988 年 21 巻 12 号 p.
2797
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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弓場 健義, 宮田 正彦, 中村 正廣, 川島 康生
1988 年 21 巻 12 号 p.
2798
発行日: 1988年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー