遠隔転移のない大腸腺癌51例に対し, 間接酵素抗体法 (PAP法) を用いて, CEAの癌組織内における局在様式を検討し, 以下の3型 (I型: apical type, II型: cytoplasmic type, III型: stromal type) に分類した. この分類にもとづき血清CEA値を比較したところ, III型の患者の血清CEA値および陽性率は有意に高値を示し, 病理学的にはv, ly因子陽性の浸潤癌であり, 臨床的にも進行癌であった. すなわち癌化にともなう膜糖蛋白の局在極性の変化喪失にもとづくCEAの腫瘍間質への出現が, 脈管侵襲の存在とともに大腸癌患者の血清CEA値の上昇に大きく関与していることが示唆された.
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