日本消化器外科学会雑誌
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17 巻, 12 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 荻野 知己, 磨伊 正義, 秋本 龍一, 上田 博, 北川 一雄, 高橋 豊, 沢口 潔, 小林 誠一郎, 遠藤 光夫, 山田 明義, 井手 ...
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2109-2117
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    今回, sm癌5例, mp癌2例を含む食道癌11例において, 5ヵ月から2年2ヵ月にわたってその発育経過を観察しえた. これら食道癌のX線像を全体像からみて混合型, 単独型, 多発転移型に分けて検討したところ, 単独型と多発転移型ではその腫瘍長径増大と時間の間に比例関係が見られ (平均0.24cm/月), その形態変化や発育経過の類推が可能であったが, 混合型では予測困難であった. 5例の切除時深達度sm症例の逆追跡にて少なくとも7~8ヵ月以上はX線所見陽性状態でsm以下の癌腫が存在する可能性を示した. 一方7~11ヵ月経過追求しえたsm癌5例の術後遠隔成績に大きな差がみられたが, これは癌の悪性度決定時期を推定する意味で興味深かった.
  • 松口 宰邦, 斎藤 貴生, 佐々木 攻, 岩松 正義, 井口 潔
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2118-2122
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    ラットを用いて長期間開放性を持続できる胃潰瘍モデルの作成を目的とし, 100%および50%ホルマリン0.025~0.1mlを胃漿膜下に局注したところ, 25匹中1匹を除き4週後に全例にUl4の開放性潰瘍を作成しえた. また局注54週後においても, 33匹中7匹 (21.2%) に開放性潰瘍を認め, 本法は慢性胃潰瘍モデルの作成法として有用と思われた.
    開放部面積は作成後12週まで次第に減少し, 20週後に一旦拡大して再燃するが, 34週後には経過中最小となった. 組織学的には20週までの34匹はすべてUl4であり, 54週までの48匹中15匹はUl3, 33匹はUl4の潰瘍であった.
  • 土江 健嗣, 高木 国夫, 大橋 一郎, 太田 博俊, 岡本 勝司, 山瀬 博史, 久野 敬二郎, 梶谷 鐶
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2123-2129
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌食道浸潤例に対して施行した胴切り法 (左胸腹連続切開法) 27例を, 従来行ってきた開腹と左開胸を別々に行う開腹左開胸法106例を対照として, 手術時間, 出血量, 合併症などの比較を中心に検討を試みた. 胴切り法は左開胸, 横隔膜切開, 上腹部切開を同一創で行うが, それによって得られる胸腹にまたがる広い視野により病変の進展を確実に診断でき, また胸腹部リンパ節の郭清や他臓器の合併切除などの手術手技が完全に遂行できる. 心肺機能に与える侵襲は少なく術後合併症は開腹左開胸法と差異はなかった.
  • 左野 千秋, 神代 龍之介, 井口 潔, 佐々木 攻
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2130-2136
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃切除術式の残胃癌発生プロモーションに及ぼす影響を実験的に検討するため, ラットに83μg/ml MNNG水溶液をイニシエーションとして20週間経口摂取させたのち, 各種の胃切除術を施行した. 術後40週目にラットを屠殺し胃癌の発生状況を検索した. 残胃癌の発生はBillroth I法21.1%, Mayo法44.0%, Roux en Y法14.3%であった. 非切除群における胃癌発生率はGastrotomy群, 非手術群とも81.5%であり, その残胃相当部発癌率はGastrotomy群18.5%, 非手術群25.9%であった. 以上のことより, 十二指腸液の胃内逆流の多い胃切除術式は残胃癌発生にプロモーター作用として促進的に作用すると考えられた.
  • 羽生 丕, ティラウッ クーハプレマ, 越智 邦明, 竹下 公矢, 砂川 正勝
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2137-2142
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌切除例のうち吐血, 下血を主訴とする43例を出血群と呼び, 臨床病理学的所見と治療成績について非出血群314例との比較検討を試みた. 出血群では早期癌の頻度は16%で, 非出血群の31%に比べて低いが (p<0.05), 癌巣の大きさ, リンパ節転移, stage, 脈管侵襲については差を認めなかった.出血群では胃上, 中部の癌が合計82%を占め, 非出血群の58%に比べて多く (p<0.01), 出血群の49%に胃全摘もしくは噴切が行われている. 出血のため緊急手術が行われた7例のすべてに何らかの合併症を認め, 手術死亡は2例 (29%) ときわめて高く, 遠隔成績も不良であった.
    緊急手術の際は患者のリスクと癌の進行度を考慮し, 慎重に術式を選ぶべきである.
  • 向井 稔
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2143-2149
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    OK-432の局所投与とMMCの併用が, エールリッヒ腹水癌細胞を用いた動物実験にて有効であることを確認し, 胃癌に対する新しい術前免疫化学療法として, OK-432の内視鏡的局注とMMCのoneshot静注を併用した治療法を考案し, 40例の胃癌患者に応用した. そして, 術前約2週間における, この治療による肉眼的効果を判定するために, 術前療の肉眼的効果判定基準を作成した. その結果, 腫瘍の50%以上の縮小, または治療前の肉眼所見と明らかに異なり, 早期癌様に変化した“有効”が35.5%に,“やや有効”が59.5%に認められた.“無効”は5%であった. この治療法による効果は, 組織型による特徴は認められなかった.
  • 小野 仁志, 佐藤 元通, 得居 和義, 藤原 志郎, 李 正男, 酒井 堅, 木村 茂
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2150-2155
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌に対する胃全摘兼摘脾を施行した4例に対し, 平均21%重量の脾自家移植により脾温存を試み以下の成績を得た. 1) 脾自家移植にともなう合併症は認められなかった. 2) 術後の脾シンチで全例に生着を確認し, 移植脾による網内系貧食能が認められた. 3) 術後血清IgMの低下は認められず, 縫合不全例では, 著しい上昇を認めた. 4) 術後血小板は一過性に増加したが, その後術前値に復した. 以上本法による胃癌手術は, 癌の根治切除の原則を満たしつつ脾機能を温存するという安全で有用な術式と考えられる.
  • 内藤 和世, 田中 承男, 山岸 久一, 稲葉 征四郎, 小林 雅夫, 中山 直治, 土屋 邦之, 西本 知二, 岡 隆宏
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2156-2162
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃全摘, または噴門側胃切除を行った胃癌患者を非脾摘群 (97例) と脾摘群 (90例) にわけ, Stage別に遠隔生存率を検討した. stage I, II, IIIの5年生存率では両群間に差を認めなかったが, stage IVの3年累積生存率は非脾摘群 (38例) 6.3%, 脾摘群 (47例) 20.8%となり, 脾摘群の予後が有意に良好であった.さらに, stage IV P (-), H (-) 症例の3生率は非脾摘群 (14例) 14.3%, 脾摘群 (17例) 37.2%と, その予後に明かな差がみられた (p<0.05). ところが, 脾摘群では術後早期の細胞性免疫能の低下がみられ, 胃癌における脾摘の適応となる症例は進行癌でもごく限られたものであることが示唆された.
  • 宮崎 勝, 藤本 茂, 藤田 摂子, 遠藤 文夫, 志村 賢範, 菅沢 寛健, 高橋 修, 栗原 正利, 河田 滋, 越川 尚男, 宇田川 ...
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2163-2168
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    D-Gal (D-Galactosamine) 障害肝において, 68%肝切除を施行し, DNA合成能と肝組織内c-AMP, c-GMPの関係について検討した. 再生肝のDNA合成能はD-GalにDose-dependentに抑制され, 600mg/kg以上で有意差 (p<0.001) を示した. c-AMPは肝切群で非肝切群に比べ15分, 6時間, 18時間目にピークを示し, その値はD-Gal投与量に反比例し, 肝障害の軽度な程, 高値を示した. c-GMPは15分, 15時間目で肝切群にピークを認め, 同様にD-Gal投与量に反比例した値を示した. D-Gal障害肝の肝切除後再生において, 肝組織内, cyclic nucleotidesの値と, DNA合成能は良く相関した.
  • 山本 宏
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2169-2178
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    肝癌81例のdynamic CT像の解析から造影剤のbolus injection後60秒から肝を全域移動スキャンするlate stageCTを考案し, その診断上の有用性を検討した. 方法: 1) 肝癌のサーキュレーション・スタディを約120秒間で行い, 正常肝と肝癌のCT値の変化を0~60秒をearly stage, 60~120秒をlate stageとして検討した. 2) late stageCTによる肝癌の診断成績を検討した. 結果: 1) 肝癌81例中77例はlate stageで正常肝と肝癌のCT値の差が広がることがわかった. 2) late stage CTによる切除例の病変数の診断成績は86%で, 1cm以上のすべての病変を診断できた. 結論: late stage CTは非侵襲性で, 副病変の診断, 小肝癌の診断にすぐれていた.
  • 五十嵐 究, 中西 昌美, 佐野 秀一, 今野 哲朗, 葛西 洋一, 森田 穣
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2179-2184
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    教室で経験した16例の胆管細胞癌について, その臨床像を検索するとともに, 切除例, 単開腹例, 肝動脈動注化学療法例各群の予後を比較検討した.
    腫瘍の主占拠部位はMを中心とし, 存在範囲はT2以上, 肉眼分類は塊状型が多かった. 血管造影で腫瘍辺縁部が濃染され, CTではcontrast enhancementにて腫瘍内部にiso-densityとなる所見がみられ, 腫瘍自体は血流が豊富と考えられた.
    平均生存日数は, 切除例3例で796日, 単開腹例4例で85.3日, 動注化学療法例4例で223日であった. 切除例は予後が良好であったが, 非切除例においても動注化学療法や動脈塞栓術により生存期間の延長がみられた.
  • 福田 義人, 内藤 寿則, 沢田 勉, 津留 昭雄, 中山 和道, 古賀 道弘
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2185-2191
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    切除胆管癌の23例にPeroxidase-antiperoxidase法を用いた組織CEA反応および22例の血清CEAについて検討した. 組織CEAは19例 (82-6%) に何らかの反応を認めた. 血清CEAは平均値3.0±1.6ng/ml, 陽性率54.5% (22例中12例) であった. 血清CEAの上昇程度と組織CEA反応の程度に相関は認めず, 組織型ではpap5例 (83.3%), tub13例 (81.3%), porの1例, 癌部杯細胞 (++),(+) 群11例 (78, 6%),(-) 群8例 (88.7%), 肉眼型では, 乳頭型2例, 結節型4例 (80%), 浸潤型13例 (81.3%) に何らかの組織CEA反応を認めた. さらに, CEA反応を用いて癌部の検索をすると, 粘膜および胆管壁に浸潤した癌の先進部まで反応を認め, より詳細な癌浸潤範囲の検索や切除断端部の癌浸潤の有無の判定に有用であると思われた.
  • 臨床像および術式の検討
    佐藤 元通, 木村 茂, 酒井 堅, 小野 仁志, 藤原 志郎
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2192-2198
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胆管狭窄をともなう慢性膵炎6例を検討した.
    1) 黄疸は4例でみられ, うち3例は自然消退したが, 1例は胆管完全閉塞に対し経皮的胆管ドレナージを要した. 2) 胆管炎・胆嚢炎は5例, 胆石は3例に認められ, 胆汁細菌培養は60%で陽性であった. 3) 胆管像は全例で総胆管拡張をともない, 膵内胆管しめつけ2例, 不整狭窄2例, 圧排1例, 完全閉塞1例が認められた. 4) 胆道・膵同時バイパス4例 (Double Roux-Y2, ρloop, Roux-Y 1, 胆管十二指腸吻合兼嚢胞空腸吻合1例), 胆管十二指腸吻合1例 (空腸間置法), 膵十二指腸切除1例を行い良好な成績を得た. 以上より胆管狭窄をともなった慢性膵炎は胆汁うっ滞・胆道系炎症を高率に合併するため, 症例に応じた適切な胆道再建術を要するものと考えられた.
  • 阿部 哲夫
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2199-2207
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    最近, 経験した急性膵炎重症例13例中8例, 61.5%にエンドトキシン (Etx) 血症を認め, ショック, DIC, 腎不全などを合併して6例が死亡し, 剖検した3例の膵臓にShwartzman反応と類似の組織所見を認めた. 実験的にEtxを用いて家兎膵臓にShwartzman反応を惹起して急性出血性壊死性膵炎を作成し, 以下の結果を得た.(1) Etxの代りに生食を用いた対照に比べ血小板, 血清補体価が有意に低下した.(2) 膵組織にフィブリン血栓をともなう多数の出血壊死巣を認め, local DICの所見を呈した.(3) 蛍光抗体法, 酵素抗体法で膵壊死巣周囲に補体C3の局在を認め, この病態への補体の関与が示唆された.(4) 重症膵炎臨床例でもEtxや補体系, Shwartzman反応の関与が示唆された.
  • 浅越 辰男, 青木 明人, 岡芹 繁夫, 木村 嘉憲, 中田 宗彦, 黒水 丈次, 山高 謙一, 中山 隆市
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2208-2213
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1970年8月より1984年1月までの13年6ヵ月間に, 当院外科で取り扱った原発大腸癌症例223例の臨床的分析による治療上の問題点を, 初発症状, 多発癌, 早期癌, 若年者癌, 病期分類別生存率, 術後補助化学療法別生存率を主とした観点で検討した. その結果, 1) sm大腸癌はポリ-プ型, 高分化, 断端浸潤陰性, 脈管侵襲陰性の場合はポリペクトミーでよい. 2) 5年生存率では, 臨床病期IIとIII, Astler-Coller分類B1とB2の間に明瞭な差が認められた. 3) 切除症例の術後補助化学療法別生存率の検討より, 早期大量投与の効果と長期連用投与の必要性が示唆された.
  • 血管郭清, 筋層結紮, 脾摘法について
    中田 芳孝, 鍋谷 欣市, 花岡 建夫, 小野澤 君夫, 新井 裕二, 宮島 久仁, 福島 久喜, 平松 克輝, 伊藤 賢一郎
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2214-2217
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 山田 英夫, 奥山 和明, 磯野 可一, 小野田 昌一, 山本 義一, 大島 郁也, 佐藤 博
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2218-2221
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 柴田 信博, 野口 貞夫, 藤本 直樹, 相川 隆夫
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2222-2225
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 関川 浩司, 渡辺 岩雄, 川口 吉洋, 遠藤 辰一郎
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2226-2229
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 松田 孝一, 藤井 宏二, 東 健, 高橋 滋, 泉 浩, 加藤 元一, 竹中 温, 沢井 清司, 徳田 一
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2230-2233
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 朝倉 孝弘, 小山 星甫, 山下 昭彦, 磯村 泰之, 野田 和人, 山田 育宏, 田原 昌人, 木曽 光則, 松井 俊行, 光野 正人, ...
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2234-2237
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 寺島 信也, 三瓶 光夫, 佐戸川 弘之, 畑 穆, 鈴木 伸一, 河原田 保佑, 吉田 直衛, 元木 良一
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2238-2241
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • ヌードマウス移植腫瘍による検討
    高橋 豊, 秋本 龍一, 磨伊 正義, 草間 悟
    1984 年 17 巻 12 号 p. 2242
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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