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角田 秀雄, 永野 叡, 菊池 晃, 石川 義信
1977 年10 巻6 号 p.
615-624
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
教室で経験した早期胃癌症例51例につき, 臨床病理学的検討を加えた結果を報告する.
51症例54病巣中, m癌21病巣, sm癌33病巣である. 同期間の切除例に占める頻度は, 394例中51例で12.9%である. 最若年者は20歳女性, 最高年者は75歳女性である. 多発早期胃癌は3例, 早期胃癌と重複せる他臓器癌は肺癌と食道癌の2例である. 5年生存率は90.5%. 再発死亡例は4例あり, うち3例はsm癌, n (+) 例, 他の1例はm癌, n (-) 例であり, いずれも肝転移再発例であった. マイトマイシンC併用療法は早期胃癌の場合はsm癌, n (+) ly, v (+) 例で併用効果を期待できそうである.
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稲葉 征四郎
1977 年10 巻6 号 p.
625-633
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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胃癌患者の領域リンパ節の癌に対する免疫学的役割の解明を目的として, ヒトではMacrophage Migration Inhibition Test (M.I.T.) を指標とし, 動物実験ではCytotoxicity Test (C.T.) を指標として, 領域リンパ節の細胞性免疫について研究した. 胃癌患者においては, 遠隔リンパ節に比較し, 領域リンパ節のMacrophage Migration Inhibition Factor (M.I.F.) 活性はつよく, 癌の進行とともに低下する. とくにリンパ節転移陽性症例で低値である. ヒトM.I.T.陽性リンパ節細胞および担癌動物のリンパ節細胞から吸着細胞を除去し, それぞれ, M.I.T., CT. を施行して, リンパ球とマクロフアージの相互作用につき検索した結果, リンパ節では, リンパ球とマクロフアージの相互作用により, 細胞性免疫は発現する.
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遠藤 篤, 山口 敏朗, 塩崎 梓, 岡村 貞夫, 勝見 正治, 津田 忠昭, 中野 康宏
1977 年10 巻6 号 p.
634-641
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
末梢血中の赤血球数が著しく増加した状態を多血症といい, この合併症には外科的療法の適応となるものも多い. なかでも胃, 十二指腸潰瘍の合併は多くみられるが, その手術報告は本邦では皆無に近い.
われわれは著明な吐血, 下血を主訴とした消化性潰瘍を伴った多血症2例を経験し, それぞれ胃全摘, 胃半切除を行い, 良好な結果を得た. 多血症はその性質上, 出血傾向と同時に不完全な止血機構をも有するため, 消化性潰瘍を合併した場合, 顕出血例が多く, 手術適応となるが, 術前の血行動態へのコントロールが十分に行われていれば, むしろ積極的に手術に踏みきるべきである.
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岩谷 昭雄
1977 年10 巻6 号 p.
642-659
発行日: 1977年
公開日: 2011/08/23
ジャーナル
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pancreozymin (以下CCK-PZ) による胆嚢収縮ならびに再充盈機構を臨床例45例につき映像工学的に検討した. まず造影剤の点滴静注法とサーミスタ使用による呼気時X線曝射法とを併用した胆道低速X線映画を撮影し, そのフィルムをスクリーン映写法ならびにグラフペンシステムによる数量計測によって観察した. その結果, CCK-PZ 1単位/kgを静注すると胆嚢の面積推移曲線はいくつかのうねりをもって下降して静注後10分で最低の谷を形成した. 以後曲線は上昇し, 下降時より多くのうねりをもって推移し静注後30分で元の大きさに回復した. 胃全摘ρ吻合群, 胃亜全摘B II法群についても検討し, ほぼ同様の観察結果が得られた. 以上によりCCK-PZの作用機序ならびに胆嚢運動, とくにその再充盈機構につき2, 3の知見を得ることができた.
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統計学的解析による
松末 智, 柏原 貞夫, 倉本 信二, 前谷 俊三, 田中 英夫, 香川 嘉宏, 青木 孝文, 中村 義徳
1977 年10 巻6 号 p.
660-665
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
過去10年間に当科で施行された胆・膵系手術例で, 総ビリルビン10mg/dl以上の閉塞性黄疸を有する54例 (根治術施行例, 胆石症によるものは除外) の術後ビリルビン値の推移を解析し, 半減期 (T1/2) を算出し, 黄疸軽減効果の判定を行った. 内瘻より外瘻の方が, 有効例の割合, T1/2とも不良で, 内瘻間では肝腸吻合が効果不良であった. log T1/2と GPT, LAPとは逆相関を示したが, 術前T.B.値とは相関なく, 肝転移は黄疸軽減には余り影響が無かった.30日以内死亡 (10例) 原因は, 黄疸持続が6例と最高であった.閉塞性黄疸の治療には肝再生能力の十分な早期に手術を行う必要のある事を述べる.
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石黒 直樹, 福島 恒男, 嶋田 紘, 小林 衛, 土屋 周二
1977 年10 巻6 号 p.
666-671
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
外胆汁瘻を設置した胆道手術例より, 術後経時的に胆汁を採取し, その胆汁酸組成の変動を薄層クロマトグラフィーにて分析した.
術前に肝障害のない症例, 肝障害が軽度で手術により改善した症例では, G/T比は, 術後10日目頃までに上昇した. 外胆汁瘻よりの胆汁酸喪失を代償するために肝臓における胆汁酸合成が亢進したためと考えられ, T/D比も上昇した. 術後肝障害の改善が遅延した症例では, G/T比の上昇も遅延した. 切除不能な悪性胆道疾患, 肝硬変症等では, G/T比, T/D比とも低値が持続し, これは肝臓において十分な代償作用が働かなかったためと考えられた.
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田中 忠良, 宮原 義門, 森重 一郎, 木村 安行
1977 年10 巻6 号 p.
672-679
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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盲腸憩室炎の7例を報告し, 検討を加えたが, 近年, 症例数が増えつつあり, 実地臨床上, 急性虫垂炎との鑑別が困難で, 常に念頭に置かなければならない疾患である. 重篤な合併症を起こすことはきわめてまれで, 保存的に治療を行うことが第一で, いったん治癒すれば, まず再発しないといわれている. しかし, われわれは3例の再発例を経験し, 保存的に治癒しても, 経過観察の必要があることを痛感した. また, 緊急手術時に遭遇する機会が多いが, 重篤な合併症がない限り, minor surgeryを行い, 待期手術に持って行くように心掛けるべきである.
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辺 秀俊, 鄭 容錫, 笠井 孝洋, 中尾 昭治, 長山 正義, 奥野 匡宥, 紙野 建人, 梅山 馨
1977 年10 巻6 号 p.
680-685
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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消化管縫合不全に対する高カロリー輸液は腸管の安静, 消化管液の減少, 栄養状態の改善をもたらし, 縫合不全の自然治癒を期待しうる. 著者らは教室における最近3年間の消化管術後の縫合不全の発生状況, および縫合不全20症例の高カロリー輸液成績について検討した. 縫合不全は全消化管手術428例中約5.8%に発生し, 高年齢にその頻度が高く, T.P., Alb., RBC, GOTの異常と縫合不全発生に関連がみられた. 高カロリー輸液による縫合不全の治癒率は自然治癒60%, 手術治癒10%, 計70%であったが, この成績を向上させるには, 併存する腹膜炎に対する有効な排液処理ならびに, 栄養不良の患者に対する術前よりの高カロリー輸液が必要と考えられた.
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小林 誠一郎, 高崎 健, 浜野 恭一, 山田 明義, 鈴木 茂, 青木 暁, 武藤 晴臣, 原田 瑞也, 秋本 伸, 岩塚 迫雄
1977 年10 巻6 号 p.
686-690
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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腸管吻合器の消化管手術分野への応用について, 私どもの58例の臨床経験を述べた. 食道静脈瘤に対する食道離断術, 食道癌に対する食道胃吻合術 (胸壁前および胸腔内吻合) 噴門部癌に対する食道空腸吻合術, 直腸結腸病変に対する低位前方切除術などに関して, その利用法, 手術手技について略述した. 器械を用いることの利点としては, 吻合の確実性, 手術時間の短縮, ひいては手術侵襲の軽減などがあげられよう. とくに下部食道噴門部癌に対する経腹的操作のみによる, 縦隔側高位での食道切離食道空腸吻合術については, 吻合器使用の良い適応であると考えている.
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三輪 恕昭, 浜崎 啓介, 鶴身 孝文, 折田 薫三
1977 年10 巻6 号 p.
691-694
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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16歳, 男性. 膵頭部腫瘤を主訴とし入院精査中, 急激な閉塞型黄疸の増強を来したため外胆嚢瘻造設を行い, その際膵頭部に腫瘤を触れ膵頭部癌を思わせた. 術直後より著明な白血球の減少とリンバ芽球の出現あり, 骨髄像より急性リンパ性白血病と判明. 白血病に対する治療で膵頭部腫瘤の消失と末梢血, 骨髄像の改善をみた腫瘤形成性白血病の1例の報告と若干の文献的考察を行った.
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とくに小腸大量切除後の脂肪の消化吸収動態について
藤田 佳宏, 渡辺 信介, 王 昭崇, 橋本 京三, 栗本 貴志, 後藤 幸勝
1977 年10 巻6 号 p.
695-699
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
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教室肝内結石症の検討から
嶋野 松朗, 小野 慶一
1977 年10 巻6 号 p.
700-707
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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中山 和道, 村石 信男, 緒方 峰夫, 小林 重矩, 小島 伸彦, 友田 信之, 池田 明生, 松永 章, 吉田 晃治, 古賀 道弘
1977 年10 巻6 号 p.
708-714
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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急性閉塞性化膿性胆管炎におけるendotoxemiaの発来機構について
三樹 勝, 古谷 政一, 山本 裕, 山口 健次, 山本 保博, 関谷 宗則, 山下 精彦, 吉岡 正智, 代田 明郎, 相原 薫, 田沼 ...
1977 年10 巻6 号 p.
715-723
発行日: 1977年
公開日: 2011/08/23
ジャーナル
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急性閉塞性化膿性胆管炎患者にみられるbacteriemiaないしendotoxemiaの発来機構を解明するために, 胆道閉塞イヌの閉塞胆管内へE. Coli 0-26およびこのendotoxinを注入して肝動脈, 門脈血流量を中心とした肝循環動態の変動を測定した. 胆道内圧を一過性に400-550mmH2Oと上昇せしめることによって, 胆道閉塞後1-7週間経過したものはもちろん, 閉塞直後のものでも著しい肝循環諸量の減少, ショック状態を誘発せしめ, endotoxemiaを認めることができた. またTechnovit, Neoprene Latexによる閉塞性黄疸ウサギ肝の鋳型標本, 0.109μおよび0.481μPolystyrene Latexを標識物質としてイヌおよびウサギの閉塞胆管内へ注入した電顕像で, 胆管系と静脈系の直接交通 (cholangio-venous shunt), 肝細胞, Disse腔, 類洞内へのこれら粒子の流出 (cholangio-venous refluxあるいはjunctional complexの解離による) が認められた. この成績から, 重篤な胆道感染にさいしみられるいわゆるbiliary sepsisないしはbiliary endotoxemiaは, 胆道閉塞による肝の組織構造上の変化に加えて, 胆道内圧の急激な上昇が誘因となって起り得るものと考える.
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木下 博明, 白羽 弥右衛門, 津田 勇平, 大森 国雄, 枝川 篤永, 松本 正美, 米山 泰平, 成山 多喜男, 広橋 一裕, 太田 泰 ...
1977 年10 巻6 号 p.
724-728
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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永川 宅和, 楊 伯仁, 高田 道明, 魚岸 誠, 小森 和俊, 滝田 佳夫, 薬袋 俊次, 浅野 栄一, ソンディ , 佐々木 紘昭, 倉 ...
1977 年10 巻6 号 p.
729-735
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
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菅原 克彦, 河野 信博, 三谷 進, 岩月 淳, 長尾 桓, 金高 伸也
1977 年10 巻6 号 p.
736-741
発行日: 1977年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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高度の肝外閉塞性黄疸を呈する症例の手術成績が悪い原因には原因疾患の特殊性のほか, 肝をはじめとする重要臓器障害があげられる. 閉塞解除前後の肝障害を細胞レベルで検討した. 閉塞解除による肝細胞周辺部の修復は早いが, 細胞内微細器管の形能と機能の回復は遅延した. 一般的肝機能検査値は閉塞解除後比較的速かに正常化するが, 細胞のエネルギー代謝病態の改善は表現されない. 胆管閉塞に伴う肝の予備力障害はATP生成能のほか, 血清ミトコンドリアGOTの動態に反映され, この推移は障害肝の実態を知るのに有用である. 肝の予備機能の改善にはインスリンの補充投与のほか, 肝血行動態に関与するSubstance Pの投与が有効であった.
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秋田 八年
1977 年10 巻6 号 p.
749-755
発行日: 1977年
公開日: 2011/02/17
ジャーナル
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1977 年10 巻6 号 p.
756-793
発行日: 1977/11/30
公開日: 2011/02/17
ジャーナル
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