デザイン学研究
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50 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 文献目録等
    2003 年 50 巻 2 号 p. Misc1-
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
  • 宮岸 幸正, 西應 浩司, 杉山 貴伸
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 1-8
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は、方向感覚の個人差の視点から街路空間の連続的認識について議論する事を目的に行った実験の報告である。実験は格子状の街区で行われた。被験者数ha19名(男性13名、女性6名)であった。実験前に被験者には来街経験と、道に迷う程度について質問した。被験者は実験地で25分間の自由散策行動を行った。被験者の経路選択時のプロトコルデータ、撮影写真と認知地図、歩行経路行動を分析した結果、空間認識のレベルが高い被験者は、街区の全体的な空間構造を把握して移動するため行動範囲が広かったが、空間認識のレベルが低い被験者は、街区の全体的な空間構造を把握していないため、自己の行動範囲が制限され、行動範囲が狭かった。このことから都市における空間構造の明確化と、それを分かりやすく示すサインをつくることが、空間認知度の低いグループの行動範囲を拡大し、既存の都市のレジビリティを向上させる有効な方法となることが分かった。
  • 梁 慧正, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 9-18
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、韓国済州島における柿渋染めの労働着・ガルオッづくりの工程解析に基づきながら、伝統的な柿渋染め文化が有する今日的価値を考慮したものである。参与観察ならびに聴き取り調査と通して、次の諸点を明らかにした。(1)厳しい環境・風土に対応して生まれた済州島の伝統的労働着には、柿渋のもたらす効能が凝縮されている。(2)自給自足・自律経済のなかで生み出された柿渋染め文化は、すぐれて、自然との共存の所産である。そこには、エコロジカルな循環型システムが形成されている。(3)柿渋染めによるガルオッづくりは、済州島の人びとの一年間の生活スタイルとすぐれて対応していた。(4)今後の柿渋染め文化の再興をめぐっては、伝統を正しく学ぶ地域づくり、エコロジカルな生活環境づくり、地域コミュニティづくりなどを相互連関的に推進することが肝要である。
  • 常見 美紀子
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 19-26
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    桑沢洋子は第二次大戦前に構成教育を新建築工芸学院で受け、その後雑誌のリポーターや編集者になった。戦後、彼女は作業服のデザインに没頭し、作業服デザイナーとして高い評価を得た。その結果、桑沢は1969年のサービスマンのためのユニフォームのデザイナーに指名された。1969年のユニフォームと1973年のユニフォームを比較すると、デザインに大きな変化が見られ、それは日本のファッションが大きく変容したことを表していた。調査、検証の結果、日石サービスマンのユニフォームは、デザイン史上、次の5つの意義が認められた。1)ユニフォームは、当初からコーポレーションアイデンティティ(CI)として企画デザインされ、成功した。2)ユニフォームの企画は、デザインサーベから始まる工業デザインの手法を使用した。3)新たに整備士用のユニフォームとしてオーバーオールを採用、整備服のプロトタイプとなった。4)ユニフォームデザインのために、コーディネートという手法を用いた。5)1973年版のデニム素材のユニフォームとストライプ柄のオーバーオールは、日本の代表的ユニフォームとなった。
  • 李 宜欣, 宮崎 清, 植田 憲
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 27-36
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、「生活工芸運動」が展開されている福島県三島町の高齢者へのアンケートならびにインタビューを通して、「ものづくり」が高齢者の生き甲斐づくりにどれほど寄与しているかを検討したものである。その結果、次のことを明らかにした。(1)三島町の高齢者は、自らの「ものづくり」によって、「健康」「自己存在の確認」「人びとの交流」「自然と触れ合い」の四つを獲得し感得している。(2)「ものづくり」を行っている多くの高齢者たちは、それら四つの意義をもたらす「ものづくり」を生き甲斐としてとらえている。(3)現在「ものづくり」を行っていない高齢者のなかにも、「ものづくり」に四つの意義を認めている者が少なくない。(4)「ものづくり」を行っている高齢者は、「よりよく生きる」ための要求・願望を抱き、「ものづくり」の十全な展開への指針を提示している。超高齢者を眼前に控えている今日、高齢者が能動的に生きるための活動のひとつとして「ものづくり」を位置づけ、その展開を図っていくための示唆を、本稿の諸データならびに考察は有している。
  • 大森 峰輝
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 37-42
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、CG映像で構築された仮想都市に着目し、そこをドライブした際の空間認知特性についての分析を試みた。その結果は、以下のようにまとめられる。1)被験者は学習に伴って能動的に仮想都市の体験の仕方(見方や探索方法)を変えていったことが示唆された。換言すれば、情報の獲得と検証を繰り返しながら認知が進んだ。2)今回行った実験では、道路構成(パターン)等の基礎的な情報でさえも即座に認知することが難しかった。学習を重ねるごとに仮想年の認知に関する精度は高まっていったが、個人差は大きかった。3)視野が狭い、思うように施設建築物等を注視することができない等により認知行動が阻害されるため、仮想都市の認知はかなり困難であったと考えられる。また、特に距離感を把握しづらかったことが示唆された。
  • 小林 正子
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 43-52
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本論文はC.F.A.ヴォイジー(1857-1941)の住宅作品における屋根形態を通じて、彼が主張する伝統性に依拠した設計方法について検証を試みるものである。屋根形態がデザイン要素として最も重要であるとするヴォイジーは、彼の設計する多くの住宅作品にウィールデン・ハウスの屋根形態と類似性をもった単純な寄棟屋根を採択した。ヴォイジーの住宅作品での単純な屋根形態の採用に、近代建築批評家たちは近代性を見て取る。だがヴォイジー自身は、近代建築を目指したのではなく、地域環境への適合性から導かれる伝統性重視の思想を主張するのである。ヴォイジーが彼の活動拠点となった地域であるイングランド南部、ウィールド地方の伝統的なウィールデン・ハウスの寄棟屋根を参考にするに到ったのは、ヴォイジーの師であるディヴィの影響もさることながら、ウィールデン・ハウスの単純な寄棟屋根の形態が、地域特性に合致し理にかなっていると考えたからであった。
  • 大塚 康平, 植田 憲, 宮崎 清, 朴 燦一
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 53-62
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、江戸時代に、どのような経路を経て、裂き織りの材料となった古布・木綿布が木綿を栽培することができなかった寒冷地・東北地方に渡ったかを、文献資料に基づいて整理したのもで、以下の点を明らかにした。1)裂き織りの材料となる古布・木綿布は、近郊に生産地を抱えていた大阪に集積され、交易船によって、大阪から大消費都市・江戸に運ばれた。寒冷地・東北地方の港には、西廻り航路(北前船)、東廻り航路で運ばれ、港からは河川交通によって内陸部に搬送され、陸揚げ後は、陸路を通じて移送された。2)東北地方や蝦夷地の帰り荷として、鰊や鰯の搾り粕が木綿を育てるための肥料として運ばれ、畿内を中心とする木綿栽培地で活用された。3)主要な寄港地に存在した古着屋は、裂き織りの材料としての古手・ボロ布の流通に重要な役割を果たした。とりわけ、大消費地・江戸の古着屋は、資源循環・再利用機構の要をなした。
  • 延 明欽, 原田 昭
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 63-72
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は、エレベータの「開閉」サインの識別容易性を実験により評価したものである。研究目的は、英語、漢字、矢印という3つの類型のサインの中で、どのサインが識別しやすいか、識別容易性に影響を及ぼす要因は何かを、究明することであった。実験のタスクは、人がエレベータに乗ったり降りたりするシーンを被験者に提示し、その状況に相応しいサインを選んでもらうことであった。実験結果、英語の「OPEN/CLOSE」サイン、漢字の「開/閉」が「OPEN/CLOSE」より識別しにくかった理由を究明するため、「押/引」と「Push/Pull」サインを比較するドア実験を行った。その結果、形状が似ている「Push/Pull」サインの法が識別しにくいことが明らかとなり、サイン形状の類似性が識別に影響を及ぼす重要な要因であることがわかった。また、英語圏の被験者は英語サインを、漢字圏の被験者は漢字サインをよく識別したことから、文字に対する「慣れ」も重要な要因であることがわかった。そして、矢印サインが識別しにくい原因や状況提示の重要性などを考察したうえ、エレベータ・サインの識別容易性とその要因をまとめた。
  • 耿 鳳英, 宮崎 清, 朴 燦一
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 73-82
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    「文化中心」は、台湾における地域博物館の典型である。本稿では、1980年代、地域社会における生活文化振興を目的として台湾各地に設置された「文化中心」の形成要因を探るとともに、その展開過程を整理したものである。その結果、次の知見を得た。(1)「文化中心」は、発足当初は、中央指導型の博物館機能のみを有していたため、地域住人にとっては疎遠な存在として受け止められてきた。(2)1990年代以降、工業化・近代化・国際化が進展していくなかで、台湾固有の文化資産見直し作業の必要性が認識され始め、「文化建設委員会」「文化処」「社区総体営造」などの組織や活動の生誕とともに、「文化中心」は地域社会における文化振興の中枢として位置づけられるようになった。(3)しかしながら、今日、地域における文化振興を担う「文化中心」にとって、あるべき活動・運営の実像が必ずしも明らかになっているのではない。その実像を自ら探求していくために、self-learningの視点に立脚した相互学習の場づくりが不可欠である。
  • 糸井 久明
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,国内製造業を対象とするアンケート調査結果を分析,考察することにより,企業における意匠権管理の業態別の戦略特性を明らかにすることを目的としており,デザイン学研究Vol.47 No.6 2001で発表した論文の続稿である。本研究によって,8業態の意匠権管理に関する要因,OA化,経費に関する基本的な考え方と戦略特性が明らかとなった。1. 電気機器業態が最も多くの意匠権管理業務要員を抱え,また法科系出身者の意匠調査要員も最も多い。2. 意匠権業務のOA化は全業態で不足しており,その中で電気機器業態が調査資料のデータベース化のためのOA化を積極的に行うとしている。3. 意匠権管理,意匠調査,意匠出願に要する年間経費,また特許庁へ支払う年間経費とも,電気機器業態が高水準にある。
  • 糸井 久明
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 91-100
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,デザイン学研究Vol.47 No.6 2001で発表した論文の続稿であり,意匠調査と意匠出願の実態,並びに問題点などについて,8業態の戦略的特性が明らかになった。1. 意匠調査は,電気機器業態に続いて機械業態が,デザインプロセスの初期段階から入念に行っている。2. 意匠調査の問題点は,意匠類批判定基準が不明確なこと,続いて意匠調査資料の検索である。3.意匠登録出願し権利化したデザインを活用しようとするデザイナー意識も組織風土も希薄な実態がある。4.意匠登録出願の問題点は,商品ライフサイクルの短縮化による投資効率の悪化と有効な意匠登録出願施策の不足である。
  • 樋口 孝之, 宮崎 清
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    今日の日本で,デザインということばは日常語として用いられている。西洋概念の受容以前に,「たくむ」「たくみ」は,デザイン行為の概念と重なる意味を含んだ日本語として存在した。本文では,その語義の形成と変遷について検討を行った。「たくむ」「たくみ」はヤマトコトバであり,もとは手わざを意味するものではなく,「考え出す」「工夫する」「計画する」という思考を意味する概念を有していた。語源は確定されないが,「手組」として理解されていたことがわかった。「たくみ」は,漢字の移入によって,「匠」「工」「巧」などの単字,「工匠」「工人」「匠者」などの熟字と対応関係を築いた。また,律令制度のなかで官職や雇役民の名称となり,職能や人の身分を示すことばとして定着した。近代以後,「たくむ」「たくみ」とも仕様される度合が減じた。日常的な話ことばにおいても,意味を代替する漢語(および漢語サ変動詞)が用いられることが顕著になったことによる。これらのことばが元来有する語義を,あらためて認識することの重要性が示唆された。
  • 時長 逸子, 荒生 薫
    原稿種別: 本文
    2003 年 50 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    情報教育の導入部となる初等教育において,コンピュータはどのような教科でどのような使われ方をしているのか,その現状とその評価がどのようにされているかを把握することを目的として調査を行った。この結果,初等教育ではその主たる利用目的が,CAI,コンピュータ教育,調べ学習,情報発信にあることがわかった。特に高学年で展開する調べ学習と情報発信は,情報リテラシーとして位置づけられる。情報リテラシーでは最終的には加工した情報を表現することが求められる。しかし,このことは情報を発信する者には,情報を閲覧する立場に立った表現が求められることを意味している。「表現する」ことに関して,現行の図画工作科では児童の創造性という観点から,第三者の評価を意識した表現は求められていない。一方で,そのような表現に対する評価の基準は確立されていない。本論文では,この点を明らかにし,今後の図画工作科に対して改革の必要性を示した。
  • Akira UEDA, Toshio MITSUHASHI, Shiro MOCHIZUKI, Kiyoshi MIYAZAKI
    原稿種別: Article
    2003 年 50 巻 2 号 p. 117-126
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2017/07/19
    ジャーナル フリー
    This study collected approximately 150 regional development programs in various parts of Japan and classified them according to their development philosophy and orientation in order to examine the characteristics of endogeneous regional development programs. The examination revealed the following: (1)The characteristics of regional development programs can be identified by four qualities, [spontaneity], [wholeness], [continuity] and [flexibility]; (2)Endogeneous regional development programs have these four qualities in an integrated and comprehensive manner; (3)These four qualities coincide with the findings of preceding studies of endogneous regional development inside and outside Japan, which began to be proposed since 1970s. In addition, the classification of regional development programs presented in this study is expected to serve as the 'measurement' to determine the approximate nature of planned or ongoing regional development programs across Japan.
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