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仙誉 軍一
1979 年 12 巻 12 号 p.
879-890
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
食道壁内の血管網は非常に豊富であることは過去の犬の実験などで報告されているが, ほとんどが色素を注入した顕鏡的な局所所見が主であるため確証に乏しい.
著者はミクロパークを用いて食道各層の造影が可能な方法を考案し, 長軸, 横軸方向に種々の厚さの切片を作製して超軟X線撮影を行い, されを拡大複写して検討した.
これにより食道における血管網の証明と血管構築を解明し得た.
さらに犬にヒト食道手術の際と同様な剥離操作を行い, 頚部よりの血流保持がいかに行われているか, 粘膜下層における血管網とともに外膜, 周囲結合織の存在が手術後の血流に大きな役割を演じていることを証明した.
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外科治療上の問題点に関する知見補遺
内田 雄三, 野川 辰彦, 山下 三千年, 橋本 茂廣, 藤井 良介, 畦倉 薫, 橋本 芳徳, 石川 喜久, 小武 康徳, 猪野 睦征, ...
1979 年 12 巻 12 号 p.
891-900
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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癌浸潤が肉眼的に胃, 十二指腸の両側におよんでいるとみなされた79例について, 臨床的ならびに病理組織学的に検索し, 切除度および術後再発を左右する因子について検討した.臨床的十二指腸壁に癌浸潤が確認された症例は79例中35例 (44.3%) で, その発生側はほとんどの症例で明らかでないが, 胃癌の十二指腸浸潤と考えるよりは, その進展の態度ならびに臨床的意義から, 胃・十二指腸境界部癌の概念で把握するのが妥当と思われる症例が6例みられた. この概念に該当する症例は肉眼的にBorrmann 1, 2, 3型である.十二指腸壁内先進部はmおよびsmにあり, リンパ管内蔓延が問題となる.転移では (8),(12) および (13) リンパ節が第一群リンパ節としての意義を有する.
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副島 清治
1979 年 12 巻 12 号 p.
901-907
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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経口制癌剤外来長期投与の適応について, 胃癌の制癌剤に対する感受性, 制癌剤の腫瘍到達性の二点から検討した.
胃癌症例140例について観察した胃癌の制癌剤に対する感受性は, Diffusion chamber法によると, 症例の約70%が制癌剤に有効性を示し, 約30%は制癌剤に無効であった. 組織型別では, 高分化型が制癌剤高感受性の傾向を示し, 低分化型は低感受性傾向を示した.
経口制癌剤FT 207 capsule, 5FU dry syrupともによい胃癌腫瘍内到達性を示し, 組織型別では高分化型が高い到達性, 低分化型が低い到達性を示した.
胃癌非治癒切除例で外来長期投与が有効と考えられた症例は, 組織型高分化, 制癌剤高感受性, 制癌剤血中高持続性の傾向を示した.
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木南 義男, 宮崎 逸夫, 倉知 圓, 高島 茂樹, 新村 康二, 新野 武吉
1979 年 12 巻 12 号 p.
908-913
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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過去18年間に肝内胆管癌12例および肝門部胆管癌43例を教室で手術したが, とくに腫瘍切除例の治療成績を検討するとともに胆管癌多発例の検索を行った. 腫瘍切除率は肝内胆管癌が58.3%で, 肝門部胆管癌が16%であり, 耐術例の平均生存期間は前者が11.6ヵ月で後者は18.4カ月である.肝内および肝門部胆管癌とも腫瘍切除例の予後は姑息手術例に比し良好である. 胆管癌多発例は5例で肝内胆管癌の33.3%に, 肝門部胆管癌の2.3%にみられ, 2-6年の病悩期間を有し, 手術時に胆石の合併を3例に認めた. すなわち, 肝内および肝門部胆管癌に対しては肝切除を含む腫瘍切除が望まれるが, 胆管癌多発の可能性をその適応に加える必要性が認められた.
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武藤 良弘, 鮫島 恭彦, 脇 慎治, 林 輝義, 立花 正, 大津 哲雄, 内村 正幸, 岡本 一也
1979 年 12 巻 12 号 p.
914-918
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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良性胆嚢疾患で摘出された症例の中, 肉眼的に診断可能と考えられる (組織標本上1mm以上の肥厚があり1cm以上の広がり) 粘膜肥厚例12例を対象に臨床病理学的に検討した.症例の平均年齢は51歳で, 男性7例, 女性5例であり, 主疾患の内訳は胆石症6例, 他の消化器疾患4例, 残りの2例は粘膜肥厚が主疾患であった.粘膜肥厚部は肉眼的に粗大顆粒状の平坦肥厚を示し, 組織学的にvillous typeの粘膜上皮の増殖例が多く, 頚部に局在する傾向がうかがえた.本症の成因は不明でありそのために独立疾患か否かの究明が不可欠である.さらに早期胆嚢癌との鑑別を要し, 加えて癌との関連性の検討が必要と考える.
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外間 章, 正 義之, 遠藤 巖
1979 年 12 巻 12 号 p.
919-922
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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佐々木 洋, 今岡 真義, 松井 征雄, 石川 治, 谷口 健三, 岩永 剛, 青木 行俊, 寺沢 敏夫, 遠藤 義彦
1979 年 12 巻 12 号 p.
923-926
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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断端神経腫による閉塞性黄疸の1例
小西 孝司, 永川 宅和, 山口 明夫, 加藤 修, 宮崎 逸夫
1979 年 12 巻 12 号 p.
927-930
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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胆管合流異常と胆嚢癌合併症例
鮫島 恭彦, 内村 正幸, 武藤 良弘, 脇 慎治, 林 輝義, 立花 正, 大津 哲雄
1979 年 12 巻 12 号 p.
931-935
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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佐々木 昭治, 高橋 恒夫, 櫛田 正敏, 岩崎 貴, 柏木 秀幸, 羽生 信義, 青木 照明, 長尾 房大, 藤巻 延吉
1979 年 12 巻 12 号 p.
936-939
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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輪状膵は, 比較的まれな疾患で, 本邦での成人の報告例は38例である.また, 多くは十二指腸狭窄・胃十二指腸潰瘍のもとに開腹手術が行われ, 偶然発見されており, 術前に診断されたものは20%以下である.われわれは, 長い経過をとった十二指腸狭窄症例に, 内視鏡検査と同時に十二指腸造影を行い, 術前に診断しえた症例を経験した.術式は, 胃液酸度が高酸を示したため幽門側広範囲胃切除術に選択的迷走神経切離術を付加し, Billroth II法で再建, さらに十二指腸口側断端と十二指腸肛門側とにダイヤモンド型の側々吻合を加え好結果を得た.
輪状膵の診断とその手術々式について文献的考察を加え報告する.
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畑山 浩毅, 柴田 信博, 門田 守人, 天方 大弼, 岡村 純, 神前 五郎, 大久保 勝巳
1979 年 12 巻 12 号 p.
940-943
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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先天性総胆管拡張症に膵管の拡張と膵石を合併した1例を報告する.いままでの先天性総胆管拡張症に関する報告のほとんどは, 肝内・肝外胆管および膵管胆管合流部についてのものに限られている.この症例は, 29歳, 女性, 主訴は右季肋部痛であった.胆道造影にて診断を下し, 逆行性膵胆管造影では膵石と境界明瞭な膵管の拡張がみられた.PPSテストでは膵外分泌機能正常であった.術式は嚢胞切除・肝管空腸吻合術に拠った.術中膵胆管造影では乳頭部に狭窄はなかった.この膵管の拡張には先天的な因子とともに, 後天的な因子の関与が考えられる.
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胃癌手術における脾摘の意義と問題点
吉野 肇一, 春山 克郎, 中村 修三, 松本 純夫, 山田 好則, 磯部 潔, 久保田 哲朗, 熊井 浩一郎, 石引 久弥, 阿部 令彦
1979 年 12 巻 12 号 p.
944-949
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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リンパ節郭清のための脾摘と, 免疫学的な立場よりの脾温存について胃癌術後の累積生存率より検討した.
対象は組織学的治癒切除の施行された胃癌初回手術610例である.
上・中部胃癌の検討では, 脾温存群の5生率が61.3%, で, 脾摘群の47.6%よりも良好であった (P<0.05). 中部胃癌で脾門部をすだれ状に郭清して脾温存をした群と, 脾摘群を比較すると, 前者の5生率は65.4%で後老の26.2%よりも良好であった (P<0.05).
脾門リンパ節転移陽性例の分析では, 深達度などからみて, 著しい進行癌が多かった.
したがって, 脾摘の適応は慎重にすべきであると思われる.
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杉町 圭蔵, 福田 誠二, 岡村 健, 兼松 隆之, 玉田 隆一郎, 児玉 好史, 井口 潔
1979 年 12 巻 12 号 p.
950-954
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
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とくに脾または膵脾合併切除の意義について
西岡 文三, 藤田 佳宏, 渡辺 信介, 水野 光邦, 間島 進, 徳田 一, 松本 真一
1979 年 12 巻 12 号 p.
955-960
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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進行胃癌の胃切除・周囲臓器合併切除例239例について検討した.合併切除例は一般胃癌切除例に比べて予後が不良であったが, これは合併切除例にはとくに進行した症例が多数を占めていたためと思われた.
中上部胃癌・進行癌で胃全摘または噴門側切除を受けた症例について, 脾温存例, 脾合併切除例, 脾膵合併切除例を主として予後の面から比較した.脾を温存させることによる優位性は認めなかった.比較的初期の癌では脾を温存した方がむしろ予後不良であった.脾膵合併切除に関しては高度に進行したもの, リンパ節転移の著明なもので合併切除により治癒切除が可能となるものでは積極的な合併切除がのぞましいと思われた.
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膵温存手術の適応と臨床成績
丸山 圭一
1979 年 12 巻 12 号 p.
961-965
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
フリー
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平山 廉三, 仁瓶 善郎, 宮永 忠彦, 宇都宮 譲二, 出雲井 士朗
1979 年 12 巻 12 号 p.
966-970
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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岸本 宏之, 田中 公晴, 前田 迪郎, 古賀 成昌
1979 年 12 巻 12 号 p.
971-975
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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とくに免疫学的検討
藤本 茂, 高橋 誠, 南 智仁, 石神 博昭, 宮崎 勝, 伊藤 健次郎
1979 年 12 巻 12 号 p.
976-982
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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とくに膵脾合併切除について
愛甲 孝, 西 満正
1979 年 12 巻 12 号 p.
983-988
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
ジャーナル
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佐藤 裕俊, 佐藤 博, 磯野 可一, 小池 良夫, 小野田 昌一, 石川 達雄, 塚原 則幸, 小出 義雄
1979 年 12 巻 12 号 p.
989-992
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
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とくにリンパ節転移について
大橋 一郎, 高木 国夫, 太田 博俊, 神谷 順一, 中越 享, 梶谷 鐶
1979 年 12 巻 12 号 p.
993-999
発行日: 1979年
公開日: 2011/03/02
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進行胃癌の根治手術のために, 膵尾側脾合併切除を積極的に施行している.1949年より1972年迄に797例で, 進行胃癌切除例の17.8%となり, 最近では26%になる.直接死亡率は3.8%, 5年生存率は22.6%であった.CおよびM癌では, 膵脾切除による脾門 (10), 脾動脈幹 (11), リンパ節転移率は41.3%で, 浸潤型, 中間型, s
1以上に転移が多いが, s
0でも28.2%, C癌では限局型でも28.9%の転移がある.膵脾切除例の5年生存率は27.7%で,(10),(11) 転移陽性例は16.6%, 陰性例は35.3%であった.(10),(11) リンパ節のみに転移陽性は11例でその中5例は肉眼的に転移陰性とし, 組織学的に陽性となったもので術中 (10),(11) 転移の有無の判定は困難な症例があり, リンパ節廓清の為に膵脾合併切除が重要である.(10),(11) リンパ節転移率と5年生存率の面から, 膵脾切除の意義を検討した.
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