日本農村医学会雑誌
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69 巻 , 2 号
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原著
  • 中前 健二, 沖島 正幸, 川口 鎮
    2020 年 69 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     CHDF(continuous hemodia filtration)を代表とする持続的血液浄化療法(continuous blood purification therapy:CBP)は,renal indicationのみならず,重症急性膵炎や肝不全等のnon renal indicationにも適応拡大され,集中治療では必要不可欠な治療と言える。しかし,各学会からの明確な施行条件等の基準がなく,各施設,条件や膜の選択等試行錯誤しながら実施されているのも現状である。今回,平成29年度に東海地区及び北陸地区一部を対象に東海CHDF技術検討会にて実施したアンケート調査を基にCBP施行条件・管理方法についての現状を検証した。アンケート内容は,年間症例数,使用膜,施行条件,施行中の管理,活性化凝固時間,CEの当直体制の項目を加えた全30項目とした。アンケートの回収施設は,愛知・岐阜・三重・静岡の69施設,北陸地区の14施設で合計83施設であり,年間症例数の違いがあるものの,急性期における様々な疾患に適応されていたと推測される。施行条件,プライミングの方法及び症例による違いはあるが,管理方法等一定の方向性は見出せた。一方,施行中の薬剤交換,条件変更,トラブル対応などの管理は,臨床工学技士が関与している施設が多く,臨床工学技士が常に関わり適切な管理を行なうための一端を担っていると考えられた。今後も我々臨床工学技士の24時間管理体制やCBPの標準化にも積極的に関与すべきと示唆された。
  • 木村 裕美, 西尾 美登里, 古賀 佳代子, 久木原 博子
    2020 年 69 巻 2 号 p. 111-120
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     本研究は,介護者のパーソナリティーである対人信頼感によって介護負担感におよぼす影響と要因を明らかにすることを目的とした。対象はA県にある訪問看護ステーション,通所リハビリテーションのサービスを利用している在宅認知症高齢者を介護する家族主介護者とした。方法は自記式アンケート調査を留め置きにて実施した。内容は,介護者の基本属性(年齢 性別 続き柄 同居の有無等),対人信頼性尺度,日本語版J-Zarit8(以下,J-ZBI8),Family Adaptation and Cohesion Evaluation ScalesⅢ日本語版(以下,FACESⅢ),Medical Outcome Study MOS 8-Item Short-Form Health Survey(以下,SF-8)である。在宅で生活する認知症高齢者の介護負担感を,介護者の対人信頼感尺度得点の平均点を基準に2群に分け比較した。介護負担感は対人信頼感が高い群が有意に低かった。他者との信頼関係の作りやすさや介護の困りごとの対処を家族や友達に相談できることは,介護者の対人信頼感に関連すると推測された。介護負担感の有意な要因は,対人信頼感,家族以外の協力者,家族のタイプ等が認められた。対人信頼感が介護負担感に影響することが示唆された。
研究報告
  • 堀田 彰一朗, 前島 裕子, 重富 秀一, 下村 健寿
    2020 年 69 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     ウイスキー樽に用いられるオーク材には,抗炎症作用を有するバニリンとバニリン酸の前駆物質であるフェルラ酸が結合していることが知られており,オーク材から抽出できれば有効利用が期待される。しかし,今日にいたるまでオーク材からの有効な抽出法は報告されていない。今回,我々は日本酒の中に含まれる麹菌由来フェルラ酸エステラーゼに注目し,ウィスキー熟成用いられたオーク樽に日本酒を入れ,さらに熟成することでフェルラ酸,さらにはその酸化生成物であるバニリン,バニリン酸の抽出を試みた。その結果,2週間から2年間の熟成によりこれらの物質を多く含む日本酒を産生することに成功した。本方法はアルコール摂取による消化管や肝臓に対するストレスを一部緩和できる手法として将来の活用が期待できる。
  • 齊藤 崇, 作左部 大, 畑澤 千秋, 駒形 友康, 杉本 侑孝, 伊藤 善昭, 田村 芳一, 松岡 悟, 阿部 元, 庄司 亮, 加藤 宗 ...
    2020 年 69 巻 2 号 p. 126-136
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     当院における2019年4月から半年間の救急患者・救急搬送事例について検討するとともに,受診後の入院率が特に高い高齢者心不全例の臨床像を解析した。年齢構成を見ると70歳以上が救急患者の38.7%,救急搬送患者の61.7%を占めた。疾患構成は整形外科疾患が20.1%と最大で,次いで消化器,耳鼻科,呼吸器,脳神経,皮膚,循環器疾患の順であった。救急からの入院患者中70歳以上の高齢者は57.6%,救急搬送患者では72.8%であった。高齢者心不全入院患者は56名で,平均年齢83.5±8.3歳,男女比は1:1.67であった。入院前の居住場所は自宅が66.1%で,介護・福祉系施設からの搬送が33.9%を占めた。死亡退院は19.6%であり,退院後施設への入居例が35.7%を占めた。高齢者心不全は終末期病態の1つであり,生命予後ではなく,入院回避のための予防,QOLの希求,全人的苦痛の制御を疾患管理目標とすべきである。
  • 鈴木 千波, 小林 順子, 千葉 美由紀, 髙取 士剛, 水谷 彰史, 佐藤 裕資, 森田 眞樹子, 久保 淳一, 高木 明彦, 佐藤 公人
    2020 年 69 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     遠軽厚生病院は2018年4月より院外処方への切り替えを契機とし病棟での薬剤師業務の拡大を行なった。そこで薬剤師の病棟業務拡大による看護業務への影響について調査した。薬剤師病棟業務拡大として配薬管理,中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition:TPN)混注対象薬剤拡大,24時間継続投与する輸液製剤(末梢静脈栄養(Peripheral Parenteral Nutrition:PPN)を含む)の無菌調製を随時開始した。その影響を,2018年4月を業務拡大前,2018年5月から9月を拡大後とし,看護師の超過勤務時間,患者の問題点に焦点をあてたカンファレンス件数について比較検討した。また,現場で感じている変化については,ヒアリングを実施した。配薬管理は平均3,150件/月。TPN混注件数は対象薬剤拡大前25件/月であったが,対象薬剤拡大後は88件/月に増加した。また,24時間継続投与する輸液製剤の混注件数は296件/月であった。看護師の超過勤務時間は明らかな減少には至らなかったが,カンファレンス件数は47件/月から79.4件/月へ増加した。ヒアリングではカンファレンス開催回数が増加した,患者ケアの時間がより確保できるようになった等の肯定的回答が得られた。今回,薬剤師と看護師の協働により,それぞれの専門性を活かし,業務改善を実施し一定の成果を得たことは医療の質の向上や医療安全に貢献できたのではないかと考える。
症例報告
  • 高橋 幸治
    2020 年 69 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     症例1は82歳,男性。発熱と右季肋部痛があり,急性胆嚢炎の診断となった。入院日に経皮経肝胆嚢ドレナージ術(Percutaneous transhepatic gallbladder drainage。以下,PTGBD)を施行したが,発病前のPerformance Statusは4であり,胆嚢摘出術には耐えられないと判断した。第16病日に超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ術(Endoscopic ultrasonography-guided gallbladder drainage。以下,EUS-GBD)を施行し,第22病日に,PTGBDチューブを抜去した。経過は良好で第35病日に退院した。症例2は72歳,女性。発熱,右季肋部痛があり,急性胆嚢炎の診断となった。第2病日にPTGBDを施行し,全身状態は改善したが,PTGBDチューブ造影では結石による胆嚢管閉塞が解除されていなかった。肝転移を伴う直腸癌があり,胆嚢摘出術による侵襲が生存期間を短縮させる危険性が高いと判断したため,第10病日にEUS-GBDを施行し,第18病日に,PTGBDチューブを抜去した。経過は良好で第39病日に退院した。
  • 箱守 正樹, 豊田 和典, 早坂 未来, 冨滿 弘之
    2020 年 69 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     レボドパ/カルビドパ配合経腸用液療法(以下,LCIG)を導入した60歳代女性のパーキンソン病患者の理学療法(以下,PT)を経験した。LCIG導入前は,日中Off時間が約6時間で,Off時の無動に対する不安の為,6年間外出できなかった。Hospital Anxiety and Depression Scale(以下,HADS)におけるDepression(以下,D)は14点,Anxiety(以下,A)は,11点で抑うつ,不安症状と持久力,バランス能力の低下が認められた。LCIG導入と並行してPTでは今後の活動目標を共有し,必要な課題練習と持久力向上,バランス練習を実施した。導入から4ヶ月後,日中Off時間は無くなった。HADSはDが6点,Aは3点に改善し,持久力の向上,バランス能力が向上した。設定した活動目標は達成され,毎日の外出が習慣化した。LCIG導入症例に対するPTは,導入前評価の問題点に対する介入に加えて,導入後の活動目標を共有し,必要な課題練習を行なう事が重要と考える。
  • 蟹江 恭和, 久留宮 康浩, 水野 敬輔, 世古口 英, 菅原 元, 井上 昌也, 加藤 健宏, 秋田 直宏, 鳥居 直矢, 佐久間 政宜, ...
    2020 年 69 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     症例は52歳女性。下行結腸癌に対し腹腔鏡補助下下行結腸切除術を施行した。郭清はInferior Mesenteric Artery(以下,IMA)根部を温存した3群郭清で,再建は機能的端々吻合で行なった。術後1年の下部消化管内視鏡検査で吻合部に2型腫瘍を認め,吻合部再発と診断しIMAを根部切離する腹腔鏡補助下高位前方切除術を施行した。吻合部周囲の癒着が強かったが,直腸切離を先行し腹腔鏡下に完遂した。腫瘍は吻合部のstaple直上に存在し,病理検査結果と併せて初回手術時の吻合部再発と診断した。吻合部再発例に対し,再度の腹腔鏡手術を施行し得たので貴重な症例と考え報告する。
  • 高瀬 千尋, 白井 謙太朗, 渡辺 章充
    2020 年 69 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     家族性乳児けいれんと発作性舞踏アテトーシスの合併はICCA(Infantile convulsions and choreoathetosis)症候群として知られていたが,その多くがProline-rich transmembrane protein 2(PRRT2)遺伝子の病的多型が原因であることが明らかとなり,最近ではPRRT2-paroxysmal movement disordersという疾患概念に含まれるようになった。本症は常染色体優性遺伝疾患であり,疾患を来たす病的多型をヘテロ接合体で持つことが原因となる。我々は生後4か月時に無熱性けいれんを繰り返した乳児を経験し,父親も同様の既往があったことから本疾患を疑い,PRRT2遺伝子の解析を行なったところ,親子とも疾患原因として既報の1塩基挿入によるフレームシフト多型(c.640_641insC,p.R217Pfs*8)が検出された。本症は少量のcarbamazepineが著効することが知られており,患児のみならずてんかんと診断され長年,有効な治療がなされていなかった父親にも適切な治療を始める事ができた。適切な治療によるQOLの改善のため,また遺伝性疾患として家族への正しい情報提供のため本症の概念を念頭に置いた正確な診断が重要である。
  • 藤田 浩平, 中尾 心人, 渡辺 綾野, 杉原 守, 荒川 総介, 酒井 祐輔, 鈴木 悠斗, 佐藤 英文, 佐々木 謙成, 村松 秀樹
    2020 年 69 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     38歳男性。発熱,皮疹にて当院紹介受診され,皮膚筋炎の診断で入院した。ステロイドや免疫抑制剤による治療を行なっていたが,第48病日から右肺S9に約2cm大の結節影が出現し,細菌感染や真菌感染を疑い抗菌薬治療や抗真菌治療を開始した。治療開始後も改善乏しく,1週間後に陰影は約6cm大の腫瘤影にまで増大し,第57病日に同病変に対して気管支鏡検査を行ない肺結核と診断した。本症例では免疫抑制治療開始前のインターフェロン-γ遊離試験(IGRA)は陰性であり,潜在性結核感染症(LTBI)としての治療は行なっていなかった。イソニアジド,リファンピシン,エタンブトール,ピラジナミドによる結核治療を9か月間行ない軽快した。免疫抑制治療開始前のIGRAが陰性であった若年日本人男性が,入院中に肺結核を発症し,肺結核病巣の急速な増大を認めた稀な症例であり報告する。
  • 高橋 幸治
    2020 年 69 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     症例は87歳,女性。食思不振と黄疸があり,精査の結果,十二指腸乳頭部腫瘍による閉塞性黄疸の診断となった。上十二指腸角部に狭窄があり,経乳頭的胆道ドレナージは困難であったため,経皮経肝胆道ドレナージを行なったが,チューブ刺入部の疼痛による苦痛の訴えがあった。超音波内視鏡下胆管十二指腸吻合術(Endoscopic ultrasonographyguided choledochoduodenostomy。以下,EUS-CDS)を施行し,その3日後に,十二指腸下行脚から胃内にかけて,EUS-CDSステントに意図的に干渉し肛門側端を覆う形で十二指腸ステントを留置し,経皮的胆道ドレナージチューブは抜去した。EUS-CDSから98日後の血液検査でも黄疸は認めず,その後も胆道系・消化管ともに追加処置を必要とするような状況は起こらず,EUS-CDSから146日後に永眠された。
看護研究報告
  • 洞毛 初美, 奥庭 睦美
    2020 年 69 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     看護教育における臨地実習は,学生がさまざまな患者と直接触れ合い多くの看護実践を経験する場となる。医療の高度化や複雑化により,学生はあらゆるニーズを持った患者に対応していくために看護実践能力の強化が求められている。臨地実習はそのような看護実践能力を培うために学内で学んだ知識と技術を統合し実践する重要な過程である。臨地実習では,病院や診療所,福祉施設で働く医療従事者が指導にあたる。指導者の資格については「原則として必要な研修を受けたものであること」1)また「実習の充実を図るためには実習指導者を専任で配置することが望ましい」2)ことが言及されている。しかし当院では,実習指導者研修を受講したスタッフが少ないことに加え,勤務状況により専任の配置ではなく様々なレベルのスタッフが実習中を日々交代で指導にあたっているのが現状であった。そこでこのような状況下でも,実習目標を達成するための指導ツールとして「学生指導者連絡表」を作成し活用を試みた。その結果「実習指導者にとってのロールモデル同様の存在」「実習指導者間の連携」「実習レディネスに合わせた指導」といった実習指導者側の3つの効果が見出され,「学生指導者連絡表」の活用は個々の学生のレベルに合わせた継続的指導が実現し有用性が示唆された。
  • ─退院時行動変容ステージ準備期患者群と関心期患者群との比較─
    柴山 健三, 森脇 佳美, 中神 友子
    2020 年 69 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     生活習慣改善の指導には,対象者の行動変容ステージ(ステージ)に応じた支援が必要と考えられている。しかしながら実際の多くの病棟では,急性心筋梗塞(AMI)患者への退院指導方法をマニュアル化し,ステージの関心期あるいは準備期にあるAMI患者に対して同様に実施していることが多い。このような指導方法では,退院後にステージの実行期への行動変容に有効性が低いのか,病棟の勤務を評価する上で明らかにする必要があると考えられる。本研究では,退院後の軽度な運動の実施(運動習慣)への行動変容に関して,AMI患者の退院時のステージ(関心期と準備期)により,退院後6か月時の実行期への行動変容(運動習慣の実施)に違いがあるのかを比較した。退院後6か月時の運動者数は,関心期群4名(23.5%),準備期群7名(43.8%)で,2群間に有意な差はなかった。本研究対象のAMI患者は退院時のステージが関心期と準備期の2群間に有意な差はないことより退院時の行動変容ステージに応じて指導を変えなくても,一定の行動変容達成が得られる可能性が示唆された。しかしながら,有意差はないが関心期群が準備期群に比べ行動変容率が低い結果であり,現在の指導方法は準備期群に効果的であるとも考えられた。
資料
  • 和田 剛宗, 山本 隆美, 大森 秀也
    2020 年 69 巻 2 号 p. 189-196
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー
     久喜すずのき病院では,治療的環境の整備,職員の士気と役割意識の向上を目的として職員への報奨制度を立ち上げた。本稿では,一連の実践を振り返り,職員を対象とする報奨制度について検討することを目的とした。運営は委員会制をとり,多職種によって構成される推進委員会の職員が制度を策定・運用し,各部署の管理者および職員によって構成されるハンドブック委員会のメンバーが所属部署内での実務・連絡調整を担った。対象となる職員には,“患者および家族への治療的な取り組みにつながる実践報告”および“治療に関わる疑問の提示とその回答を行なう一問一答”のそれぞれを,病院のイントラネットを介して投稿してもらった。秀逸な投稿は月間表彰し,それらをさらに年間で選別して表彰した。投稿や表彰には規定に則ってポイントを付与し,その蓄積に応じた報奨を職員に選んでもらった。本制度の運用により,職員の士気が高まるとともに,治療にまつわる成功事例やアイデアが集積され,成果をまとめた冊子は職員の教育や院外への宣伝活動に利用できた。
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