土木学会論文集
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2004 巻, 751 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 細矢 知秀, 酒井 秀昭, 上杉 泰右, 横尾 正幸, 小櫻 義隆
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 1-11
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らはコンクリートセグメントの形状管理システムにCCDカメラを利用した計測システムを適用した. 本システムでは, 計測精度を向上させるために高い位置決め精度を有する旋回装置の上にカメラを取り付けて計測する方法を採用した. 写真測量ではカメラがキャリブレーション時の位置から地盤沈下等により変位した場合基準点等により外部標定要素の補正を行うが, 本論ではこの方法がレンズ中心と旋回中心の一致していない装置においても有効であることを確認した. また, 本システムでは平面幾何の公式と共線条件方程式を使ってカメラ画像から部材厚を計測する方法を開発した.
  • 秋山 孝正, 安田 幸司, 奥嶋 政嗣, 椎谷 拓也
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 13-25
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市高速道路の都心部の混雑緩和方策として, 一般道路との関係を考慮した乗り継ぎ制が検討されている. これは, 都市高速道路の均一料金制を前提とした特別措置である乗り継ぎ制を混雑部分の迂回促進を意図した交通管理に応用しようとするものである. 本研究では, 現実的な道路網を対象として検討を行う. このため, まず乗り継ぎ制の基本的概念について述べるとともに, 乗り継ぎ制に関する既存研究の整理を行う. つぎに, 現実的な例として阪神高速道路および関連道路網をとりあげ, 交通均衡状態を基本とした乗り継ぎ制の最適導入ランプペアの設定について検討する. このとき, 乗り継ぎ制の運用計画面で重要となる乗り継ぎ地点の最適配置の問題を具体的に検討するため遺伝的アルゴリズムを利用する.
  • 三好 孝治, 李 偉青, 金田 和文, 山下 英生, 中前 栄八郎
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 27-38
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地図のデジタル化は, 空中写真, GPS等の情報から直接作成するものと, 既存の白地図 (ラスタイメージ) を細線化し, これをベクトル化するものに大別される. 後者の問題点は, 原図の伸縮, スキャナの特性等に起因するラスタイメージの幾何歪みの補正が必要なことである.
    本論文は, 膨大な白地図資源を有効に利用するため, 個々の地図がもつ固有の入力可能な座標情報を最大限活用した, 多様なケースに適応可能なインタラクティブな入力インタフェースと歪み補正システムを提案する. 入力効率および入力座標の精度, ならびに補正画像の精度について, 前者はカーソル利用の有用性を, 後者は誤差度数分布図等を用いた検証により, 提案手法が十分実用に供し得ることを確認した.
  • 赤松 隆, 長江 剛志
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 39-54
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    多くの社会資本整備事業は, 経済的活動と相関をもって不確実に変動するキャッシュ・フローを発生させる. 本研究では, このような事業を“市場で取引されていない資産”と見なし, その合理的な取引価格を動学的な枠組みの下で評価する手法を提案する. 本手法は, 以下の2つの特徴をもつ: 1) 市場で観測される証券・資産価格に整合的なリスク評価値を活用する; 2) 事業の売買を行う取引主体を導入し, そのリスク選好情報を明示的に考慮する. 本研究では, まず, 無裁定原理に基いて, Arrow-Debreu 状態価格に相当する Stochastic Discount Factor を, 証券・資産価格から推定する動学モデルを定式化する. 次に, この問題が, 効用最大化原理に基づいたリスク・ヘッジ問題に帰着することを明らかにする. 最後に, モデルの特性を活用した解法を開発する.
  • 林 良嗣, 土井 健司, 杉山 郁夫
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 55-70
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 社会資本整備に際しては費用便益分析法などの評価手法が定着しつつあるが, 一方で市民が持つ多様な価値観を反映できる総合的な評価指標が必要とされている. 費用や便益の最終帰着先である市民生活の状態を測るための指標である Quality Of Life (QOL) は, 広範囲な分野をカバーする性質上, 要素毎の評価を総合する段階で相互の重み付けを避けて通れない性質を持つ. 本論文ではQOLを5つの評価要素から説明し, これを市民の充足度に基づき計測する方法を提案している. その際, 要素の重みと代替弾力性の推定により充足度の総合化を可能とし, 加えて充足度の変化に伴う重みの補正機能を内包させている点に特徴がある, 本研究ではこの方法を広域交通社会資本の評価に適用し, QOLの with/without 比較に基づく整備効果の計測を試みている.
  • 菊地 渉, 青山 吉隆, 中川 大, 松中 亮治
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 71-82
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, まずCVM (仮想評価法: Contingent Vialuation Method) による非市場財の価値計測に対する近年の批判的主張の内容を整理するとともに, CVMの価値計測理論において財の数量変化や所得変化などに対する回答者の認識と評価値の関係など, 仮想的な状況下における人びとの選好がどのように説明されているかについて理論的に考察する. そして, それらの考察結果を踏まえ, 信頼性のある評価値を計測するためには財に対する「学習」が必要であることを示したうえで, それに対応する新たな価値計測手法としてCWを応用したデルファイ型CVMを提案する. さらに, 提案した手法を用いて, ケーススタディを実施し, その手法の有用性を検証する.
  • 谷本 圭志, 喜多 秀行
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 83-95
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    バス市場の参入・撤退規制が緩和され, 生活交通をどのようにして確保するかが中山間地域における自治体の課題となっている. その一つの方策として, 広域バス路線を設定してそのバス事業に複数の自治体が共同で補助を行う取り組みがある. これにより, 各自治体は補助金額を削減することができ, バス交通の維持が財政上容易になる. 共同での補助は, それに関与する自治体問での補助金の分担を伴うため, 各々の負担額への合意なしには実行不可能である. そこで本研究では, 実際の場面で広く用いられている走行キロ比に基づく補助金負担方式やそれに代替しうる方式が自治体間での合意形成の観点から有効であるかについて協力ゲーム理論を援用して検討する.
  • 織田澤 利守, 小林 潔司, 松田 明広
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 97-110
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究ではプロジェクトの評価費用を考慮した事前・再評価モデルを提案する. その際, リアルオプション理論を用いて, プロジェクト再評価により生じる損失回避便益 (中止オプション価値) とプロジェクト廃棄により過去にプロジェクトのために投下した費用 (サンク費用) が無駄になることを回避する便益 (タイミングオプション価値) を定式化するとともに, 最適なプロジェクト実施のタイミング, プロジェクト破棄のタイミングを決定できるような評価ルールを求める方法論を提案する. 本研究で提案する事前・再評価モデルの最適ルールは第2種フレドホルム型積分方程式の解として与えられることを示し, あわせてその解法を提案することとする. 最後に, 数値計算事例を用いて本研究で提案した事前・再評価システムの特性について考察する.
  • 小林 潔司, 北濃 洋一, 渡辺 晴彦, 石川 美知郎
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 111-125
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では下水道事業体の費用構造に関するクロス・セクションデータを用いて下水道システムの費用効率性を評価する方法論を提案する. その際, 下水道システムを処理施設, 管渠等のサブシステムとそれを統括する上位システムで構成される階層的システムとしてモデル化する. さらに, 階層的システムを対象とした確率費用フロンティアモデルを定式化し, 下水道システムのサブシステム, 上位システムの費用効率性を評価する方法論を提案する. さらに, わが国の下水道事業体を対象とした実証分析を通じて, 提案した方法論の有効性を検討する.
  • 藤田 素弘, 三田村 純
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 127-137
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 2000年9月11日夕刻に名古屋市域を中心に発生した東海集中豪雨における交通麻痺状況下において, 人々の帰宅交通行動がどのような状況であったかを, 特に自動車交通に焦点を当てて調査分析した. 本研究の結果から, 東海豪雨が帰宅時間帯に重なったことから, 徒歩速度と同程度の自動車走行を余儀なくされ, 出発地から目的地までの経路全体に渡って激しい渋滞に巻き込まれた様子が明らかとなった. また, 豪雨と帰宅交通のピーク時間帯に出発した車両と豪雨が収束した後で出発した車両とが結局同じ時刻に到着するという事例が多く確認されているなど, 降雨量の動きと交通量の状態を考慮して運転を控える等, 慎重に行動をとる重要性が改めて確認された.
  • FORMULATION AND DEVELOPMENT OF M-GATS ALGORITHM
    Kerati KIJMANAWAT, Hitoshi IEDA
    2004 年 2004 巻 751 号 p. 139-150
    発行日: 2004/01/20
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    In this paper, we discuss a formulation and solution approach for multilevel single allocation uncapacitated hub location problem (MSAUHLP). We present a quadratic programming formulation for the problem. We also developed an efficient heuristic algorithm using a heuristic model based on GA and TS namely M-GATS to solve the proposed model. We verified and demonstrated the applicability of our method by presenting extensive calculation results based on data given in well known dataset. Our proposed heuristic is very efficient in finding an optimal solution of a large size network (up to 200 nodes) with in a reasonable amount of calculation time.
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