デザイン学研究
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40 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 林 振陽
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 1-6
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    前報「精神薄弱児の基本形態と製品形態に対する認知」に引き続き,本稿は扇風機のボタン操作における認知と反応についての実験をまとめたものである。形状や付加記号や色彩の異なるボタンに対する精神薄弱児の認知と反応を調査・検討した。ボタン操作実験では,使用するボタンの形を正方形,長方形,円形,三角形,楕円形の5種類に,記号と色彩の配合をI:無記号・無着色ボタン,II:アラビヤ数字ボタン,III:漢字ボタン,IV:ローマ数字ボタン,V:1色着色ボタン,VI:3色着色ボタンの6種類に設定した。実験対象は台湾省台南啓智学校在学生30名で,すべて6〜15歳の軽・中度精神薄弱児である。実験は,実験組15名と,制御組15名の2班に分けて行なった。結果として,ボタン形状に対する認知において,三角形と円形と正方形の正答率が高く,文字・記号・色彩などが付けられた場合は上記VI・IV・IIの正答率が高いという知見が得られた。本研究で得られた知見は,精神薄弱児により適切な生活製品を提供するための参考になると思われる。
  • 張 育銘, 野口 尚孝, 森 典彦
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 7-14
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    多目的最適化手法をデザインに使えばデータに基づく内挿的なデザイン最適解(普遍解)は求められるが,デザイナーが主観的な考えに基づいて発想する意外性あるデザインのような外挿的なデザイン解(特殊解)については推論できない。本研究においては,データに基づいて製品群をいくつかの領域に分割し,目的(コンセプト)に対する最適領域以外の他領域よりニューラルネットワークで推論する方法を用いて,特殊解を推論できるようなシステムの構築を試みた。実例によりモデルの有効性を示し,領域外推論法によって,特殊解の推論が可能であることを明らかにした。
  • 古屋 繁, 碓井 誠一
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 15-22
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本論文は,形状の連続的変化に対する形状認識において重視される項目の抽出とその程度(主効果)を求めることにより実務上の示唆を得ようとするものである。調査にあたっては,その精度をあげるため直交配列表をもとにサンプルを作成し,要素の変化に対する主効果を求め,単位寸法と1σあたりの主効果で検討を行った。この結果,両者の主効果がともに高い部位は,形状変化の分散が大きく,その変化を特徴として認識している「変化が期待される部位」であることが判明した。これに対して,前者は大きいが後者が小さい部位は,ほとんどの乗用車で変化がない「変化が期待されない部位」であり,それが思いもよらず変化したため,変化量がわずかでも寸法あたりの効果が大きくなったものと考えられる。この部位は今後の展開の可能性が大きい。以上のことは,人間のもつ形状認識のための情報には,判定に効果のある形態要素だけでなく,変化の可能性,つまり形状の変化の分散の大きさを一般化した情報をあわせてもっていることを示唆している。
  • 富松 潔, 宮崎 裕夫
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 23-30
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    形態設計はその時代のさまざまな市場のニーズや技術革新に支えられる一方で,生産を目的とした製造技術に制約されたり,加工技術の影響を受けている。今日ではデザイナーが道具としてコンピュータを使い,3次元形状データを作成し,レンダリング表現によって形状のシミュレーションをすることが可能になった。このようなデザインプロセスでは,サーブエイズモデルやソリッドモデルによる3次元形状データ作成が中核となり,データベースを利用した部品レイアウト,外観デザイン,製品のバリエーション展開が行われる。この3次元形状データは製品設計の後工程になる機構設計の工程に出力されると同時に,3次元CGによるプレゼンテーションやDTPの素材として利用される。本稿では実例を上げて形態情報処理法の理論的意味と概念の構築を試みた。
  • 宮崎 清, 田中 みなみ, 三橋 俊雄
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 31-38
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本稿は,筆話の経験に基づき,「内発的地域振興」に必要な視座と方法を具体的に記述したものである。この小論のなかで,筆者は,次の点を明記した。(1)「内発的」は,「デザイン」に対応する「意匠」の哲学,とりわけ,「意匠とは人心の華なり」の理念に立脚して初めて可能である。(2)「内発的は」は,「地域とは,歴史であり,個性である」「地域づくりの始点は,地域の華の再確認にある」「地域づくりは,内向きの発想で」の三原則に準拠して初めて可能である。(3)「内発的」は,地域住民による失敗を恐れない実践の積み重ね,ならびに,それに連動して生起する意識・認識の高揚のなかから,自ずと展開されるものである。(4)「内発的」が「地域住民こそ地域づくりの主人公である」ことを意味する以上,デザイナーは黒子としての役柄を果たすというスタンスで,一貫して,「地域づくり」に関係していくことが肝要である。
  • 田中 みなみ, 宮崎 清, 町田 俊一
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 39-46
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    本稿では,『伝統的工芸品の指定の申出書』を素資料として,同資料に記載の使用木材,木材調達経路,木材利用法,椀木地制作,下地処理に関する情報を抽出し,数量化III類により,伝統的漆器産地の型分類を行った。また,木地師・漆工の技術移転に関する資料整理を通して,産地形成の要因を考察した。その結果,以下の点が明らかになった。(1)各産地は,木材の調達経路,および,板物ないしは挽物としての木材適性に依拠しつつ,個々の特性を形成してきた。(2)挽物としての椀木地の木取りと下地処理の点から漆器産地の型抽出が可能だが,技術面におけるこの型分類は,木地用木材の種類・特性とともに,木取り法を左右する木地師の系譜に強く依存している。(3)木地制作技術保持者としての木地師の漂泊・短期滞在によってもたらされた木地づくり・漆工の技術移転は,今日の伝統的漆器産地の基礎的生起要因をなしている。
  • 富松 潔, 宮崎 裕夫
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 47-54
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    形態情報処理の分野では,3次元CGシステムを使用してフォトリアリスティックなレンダリングを制作し,製品の外観形状を検討することが可能になり,デザイナーの意図する形態のイメージをシミュレーションにより確認し,さらにアニメーションを制作し,デザイナーの意図を第3者に伝達するプレゼンテーションに用いられている。一方,シーケンシャルな情報処理作業ではデザイン本来に求められているアイデアやイメージを展開する発想支援が困難となっている。そこで,本稿では3次元CADシステムにより作成された3次元形状データを3次元CGで扱いやすい多面体モデルに変換し,属性要素の分類とデータベース化を行ない,パラメータ設定の整理統合を行ない,形状,属性,環境をそれぞれ可変的に変化させ可視化し,さらにダイナミックな動きを与える方法で,可変的なデザインイメージの展開が行なえる形態情報処理法の構築を試みている。
  • 寺内 文雄, 青木 弘行, 大釜 敏正, 久保 光徳, 鈴木 邁
    原稿種別: 本文
    1993 年 40 巻 3 号 p. 55-62
    発行日: 1993/09/30
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル フリー
    居住環境を構成する建材23種類(有機質材料20種類・無機質材料3種類),植物精油8種類,芳香剤2種類の計33種類の有香物質が有するニオイを対象として,官能評価実験を行った。得られた結果を因子分析法を適用して解析した結果,ニオイの評価構造は[認容性・嗅質性・力量性]の3因子により構成されていることが判明した(累積寄与率:89%)。建材のニオイは,認容性と嗅質性の2軸で構成される平面により,[天然有機質材料,無機質材料,人工有機材料]の3種類に分類することができた。また,木材や畳は建材のなかでは最も快く,素朴で自然なニオイを有している。木材精油のニオイは,木材と同程度に自然であると体感され,ジャスミン精油や樹葉精油に比較して素朴で自然なニオイを有していることが明らかとなった。これは,モノテルペン類の含有量が少ないことに起因している。一方,ニオイ評価に視覚情報を与えることにより,嗅質性や力量性の評価において評価差が現れることが判明した。なお,男女間のニオイ評価には有為な評価差は認められなかった。
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