Monofluoroacetanilidesの毒性機構の一端を明らかにするため,マウス組織におけるmonofluoroacetanilide (FAn), monofluoroaceto-
p-bromoanilide (FBA)および-
p-chloroanilide (FCA)の加水分解,およびその酵素特性の若干について研究し次の結果をえた.
(1)本加水分解酵素は肝臓,腎臓およびわずかに血液中に存在するが,脾臓,筋肉,脳,肺臓および心臓には全く活性が認められなかった.
(2)肝臓における活性が最も高く,腎臓の活性はその約1/3またはそれ以下であり,血液の活性はさらに腎臓の1/5またはそれ以下であたた.
(3)基質量6μmolに組織100mgを反応(pH 7.4, 38.4°)せしめた場合の,肝臓における化合物の分解はFCA〓FBA〓FAnであったが,腎臓および血液では逆にFAn>FBA〓FCAの傾向を示した.
(4)本酵素はかなり安定で,冷蔵保存2週間でも約65%の活性を推持する.最適pH 8.5,最適温度45°であり, Mn
2+, Mg
2+でわずかに賦活傾向が見られるが, Ag
+, Pb
2+, Cu
2+で強く阻害される.
(5) Monofluoroacetanilidesは,動物体内で一たん肝臓を経て加水分解された後,毒性を示すと考えられる.その毒性機構について若干の考察をこころみた.
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