(1) ラット肝セリンヒドロキシメチル転移酵素(m-およびs-SHMT)に対するD-アミノ酸の阻害効果については, D-システイン, D-セリン, D-アラニンが本酵素を阻害した.
(2) D-アミノ酸のβ-炭素原子については, β-炭素原子に結合している官能基のなかで本酵素に対し効果的な阻害作用を示すものは, -SH基, -OH基など親水性基を持つものであった.さらに,両酵素に対するD-アミノ酸の阻害作用は-CH
2-基の長さに反比例の関係にあることがわかった.
(3) s-SHMTとD-アミノ酸の反応性については, D-アラニンの場合は,ピルビン酸生成の確認ができた.また, D-セリンでもわずかのα-ケト酸生成の確認はできた.
(4) s-SHMTとD-アミノ酸複合体の吸収スペクトルについては, D-アラニン-s-SHMT複合体の場合は, 330nm, 430nm, 505nm付近にピークを持つ吸収スペクトルを示した. D-システイン-s-SHMT複合体は270~280nm, 330nm, 430nm付近にピークを持つ吸收スペクトルを示した.
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