(1) ヒマ種子の成熟期におけるグリセリドの生成とその組成変化について,複合脂質量,脂肪酸組成,種子中のリパーゼ活性などの変動とも関連して調査した.
(2) 開花後13日以後28日までの間に,脂質組成の大きな変動が起こり,トリグリセリドが急激に増加し,これと平行してリシノール酸含量およびリパーゼ活性も急増する.これに対し,遊離酸は減少し,複合脂質の含有比率も著しく低下する.リシノール酸を含むトリグリセリドは,開花後21日でかなりの量の蓄積が認められたが,成熟とともに
n-脂肪酸だけのトリグリセリドやモノリシノレオトリグリセリドの含有比率は漸減し,リシノール酸を多く含むトリグリセリド,特にトリリシノレインが顕著に増加した.
(3) ヒマ種子トリグリセリドの,すい臓リパーゼによる加水分解生成物を薄層クロマトグラフィーで分離,定性し,その結果を利用して,酵素分解法によるヒマ種子のグリセリド型分布測定を行なった.その結果,ヒマ成熟種子では,トリリシノレインが過半量を占め,ついで1, 3-ジリシノレオ-トリグリセリドが多いことを知った.
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