(1)
Morganella morganii A17-3-1の培養濾液からのAF B
1分解関与物質の抽出方法を検討した.その結果,pH9.0前後でクロロホルムで抽出後,抽出液を蒸留水で水洗する方法により,培養濾液38
lから約15gの粗抽出物を得た.
(2) 粗抽出物をsilica gelカラムクロマトグラフィー,PLCおよびSephadex LH20カラムクロマトグラフィーにより精製した結果,106mgの白色粉末状物質を得た.
(3) AF B
1分解関与物質(白色粉末状物質)の薄層プレート上での各種検出試薬に対する定性試験では,ニンヒドリンとヨウ素(蒸気)についてのみ陽性であった.
(4) AF B
1分解関与物質の理化学的性状,元素分析, UV, FT-IR,
1H-NMR, MSスペクトルについて検討した結果, AF B
1分解関与物質はβ-PEAの炭酸塩(C
6H
5CH
2NH
2・1/3 H
2CO
3)と推定された.市販β-PEAのUV, FT-IR,
1H-NMRスペクトル, MSスペクトル, TLC, GCについて検討した結果, AF B
1分解関与物質(白色粉末状物質)と全く一致した.よって,β-PEAの炭酸塩は精製時において生じたものであることから,最終的にAF B
1分解関与物質はβ-PEAと結論した.
(5) AF B
1分解関与物質によるaflatoxin B
1の分解産物について,精製AF B
1分解関与物質とAF B
1の及応混合物をTLCを用いて検討した結果, AF B
1のスポットは消失し,9個のスポット(うち1個, originはβ-PEAのスポット)が検出された.主な分解産物はcomponent 3 (
Rf値0.68)とcomponent 7 (
Rf値0.24)であった.両者は各種検出試薬に対し,AF B
1とは異なった反応を示した.
よって,AF B
1分解関与物質によりAF B
1は分解されたものと結論した.
(6) 精製AF B
1分解関与物質とAF B
1を37°C, 120分間反応させ,その反応混合物の毒性を鶏胚法(気室内接種)を用いて検討した結果,反応混合物の死亡率はAF B
1の死亡率と比較して毒性が消失していること,ならびにAF B
1の分解を確認した.
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